mysound SPECIAL INTERVIEW!! Predawn

mysound SPECIAL INTERVIEW!! Predawn

今もっとも気になるあの人はどんなテーマで、どんな曲を選ぶのか。mysoundが注目するアーティストがプレイリストを作成、それぞれの曲について解説してもらうというこの大好評企画。今回は9月21日に3年半ぶりの2ndアルバム『Absence』をリリースして話題を呼んでいるPredawnに登場していただきました。今回のテーマは『私がカバーしたことのある曲』。1曲1曲を紐解くことで彼女のルーツが垣間見えてくる、そんなエピソードも満載です。柔らかくも芯の強い包容力のある歌声、ドリーミーでありながらもシャープに覚醒したサウンド、どこかシニカルで、けれど救いを秘めたPredawnの世界をより深く知るきっかけにもなるかもしれません。『Absence』にも、プレイリストの楽曲たちにもぜひ触れてみてください。









NEW RELEASE

INTERVIEW



  • "そこに何かがあるから切実にやってるのかなって思います"


    ――まずは2ndアルバム『Absence』について。3年半ぶりのリリースとなると、やはりご自身も久しぶりな感覚ではなかったですか。

    そうですね。でも特にすごく休んでたというわけではなくて、曲を作ったりライブをしたりしている間に、気づいたらそれぐらい経ってたっていう(笑)。たぶん2年前くらいには"アルバム作れるな"って思ってたんですよ。ただ、その間にも曲が増えたり、あと、自宅でレコーディングしてるので機材を集めたりとか環境を整えるのに時間をかけたりとか。

    ――今回もすべての作業をおひとりで?

    ドラムとベースは全てレコーディングもエンジニアさんに録ってもらったんです。最終ミックスは前からその方に頼んでいるんですけど、リズム隊の音を録るためにはスタジオも機材も自宅では難しいので。

    ――リズム隊を入れるのは今回初ですよね。

    はい、ひとつ前に進んだかなって思います。閉じていた扉がちょっと開いたというか(笑)。今回はいつものライブメンバーがやってくれてるんですけど、一緒にライブを重ねるにつれ、慣れてきたところもあるし、バンドのどっしりした感じがほしい曲もいっぱいあったんですよ。そのときそのときに必要なものを取り込んでいけたらっていうのは最初から思っていたことでもありますし。

    ――ところでアルバムタイトルですが、"absence"って"欠如"とか"不足"という意味の英単語じゃないですか。なぜこれをタイトルにしようと思われたんでしょう。

    1曲1曲の歌詞を見ていると、足りない何かを探し求めたり、足りないから諦めて他のものに依存したり、すごく落ち込んでしまったり・・・そういう姿をどの曲も見せてる気がしたんです。なので"absence"っていう言葉がしっくりきて。

    ――ご自身も足りないものや欠けているものを埋めたくて音楽をやっていたり?

    基本的にはそうですね。満たされるかどうかはともかく、そこに何かがあるから切実にやってるのかなって思います。

    ――"切実"ってすごくわかる気がします。では、プレイリストのお話も聞かせてください。テーマは「私がカバーしたことのある曲」ですが、ライブでもよくカバーはされるますか。

    はい。そのときそのときで"歌ってて気持ちいいな"っていう曲があるんですよ。私がカバーするときって大体がその曲を聴かなくなった頃に"あの曲よかったな"って、歌詞だけ見て思い出しながらが多いんですね。うろ覚えのままなので、ちょっとオリジナルとは違っちゃうんですけど、その違う具合が私は気に入っていて。

    ――Joni Mitchell"Both Sides Now(青春の光と影)"はずいぶん古い曲ですよね。どんなきっかけで出会ったんです?

    何かで聴いて"いい曲だな"って。すごく綺麗なメロディで、歌ってて楽しそうだなっていうのが最初の印象で。ジョニ・ミッチェルは他の曲もそうですけど、女性ならではの達観した感じや見据えてる感じがあって、そこにすごくハッとするんです。

  • Both Sides Now/Joni Mitchell
    Both Sides Now
    Joni Mitchell

    • シングル
    • アルバム

  • ――Mandy Moore & Zachery Levi"I See the Light(輝く未来)"はディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の主題歌ですよね。

    この映画を観たのは公開されたずっと後だったんですよ。高校生のときにマンディ・ムーアの出てる映画を観て、友達と"かわいいよね!"って言っていて。で、あるとき"あのときのあの子がディズニー映画の声優をやってるんだ"って懐かしいなと思って観たんです。ちょうどプラネタリウムでライブをやるっていう企画をしていたときでもあったし、そのイメージとも合っていたのでカバーしようかなと。


  • ――Aimee Mann"Wise Up"は映画『マグノリア』の主題歌で。

    映画も大好きなんですけど、実は映画を観るより先にエイミー・マンの入門編的な感じサウンドトラックをすごく聴いていたんです。エイミー・マンって明晰な女性で、人間に対する洞察力がすごいんですよ。

  • Wise Up/エイミー・マン
    Wise Up
    エイミー・マン

    • シングル
    • アルバム

  • ――この曲も救いがないくらいに切ないですね。

    でも、私は"救いがないことが救い"っていうこともあるなと思っていて。そういう曲が好きなんですよね。

    ――そしてThe Velvet Underground"Stephanie Says"。

    大学生のときに組んだバンドで、当時、すごいヴェルヴェット・アンダーグラウンドが流行ってて。これはたしかベストに入ってた曲なんですけど、ドラムの子がモー・タッカー(モーリン・アン・"モー"・タッカー)の完コピとかしてて(笑)、それでカバーした思い出があります。今でもたまに引っ張り出して、歌ったりしてますね。


  • ――ルー・リードは好きですか。

    大好きですね。聴いてるとすごく落ち着くんですよ。落ち着くし、頭のどこかをこじ開けられる気がするというか、何かが開ける感覚があるんです。

    "4フィンガーでコードを弾くっていうのはボサノバの影響が大きいです "


    ――Elis Regina & Antonio Carlos Jobim"Aguas de Marco(三月の雨)"はまたかなり古いボサノバの曲ですが。

    中学か高校ぐらいにボサノバにハマってて。この曲は2人の掛け合いもすごく楽しそうだし、歌詞も詩的で美しくて、ホント非の打ち所がない曲だと思ってるんですよ。当時、ボサノバ風ギターを練習してて、この曲もすごく頑張って練習してたんですけど、おかげでボサノバ風にしかあんまり弾けなくなっちゃって(笑)。親指でルートを弾いて、4フィンガーでコードを弾くっていうのはボサノバの影響が大きいです。


  • ――意外だったのはBlack Sabbath"Sabbath Bloody Sabbath (血まみれの安息日)"、まさかヘヴィメタルをカバーされていたとは。

    聴いたのはたぶん兄の影響なんですけど、カバーしたのにはちょっと理由があって。大学のときに半年だけ軽音のサークルに入ってたことがあるんですよ。全然、馴染めなかったんですけど(笑)。で、辞める直前、最後に学園祭のライブに出て、この曲をアコースティックギターで歌ったんです。

  • Sabbath Bloody Sabbath/Black Sabbath

  • ――おお!カッコいい!

    そのときはもうパンク精神に満ちてました(笑)。

    ――じゃあカバーはそれっきり?

    いや、そのバージョンが気に入ったので、何回かしてます。最後のシャウトはしないですけど(笑)。

    ――聴いてみたい(笑)。Nick Drake"Time of No Reply"、これはわかる気がします。

    声とか音の佇まいとかもそうですけど、ニック・ドレイクは特に歌詞が好きで。いろんなことが想像できるし、いろんなふうに解釈できて、余韻がすごいんですよ。これもライブで何回かやってますね。

  • Time Of No Reply/ニック・ドレイク

  • ――それにしてもホント渋い曲揃いで。Eels"Living Life"でやっと世代感が戻ってきましたね。

    といっても、この曲自体、ダニエル・ジョンストンのカバーなんですけどね(笑)。これは友達から借りたダニエル・ジョンストンのトリビュート盤に入ってていいなと思ったので、カバーしました。そのトリビュート盤は参加しているアーティストがみんなそれぞれ、ダニエル・ジョンストンを上手いこと解釈していて、好きなんだなってことが伝わってくるんで、全部好きなんですけど。


  • ――どの曲もPredawnの世界に通じるものがある気がしますが、こうしてプレイリストを作ってみて、何か発見はありましたか。

    節操ないなって(笑)。でも全部、歌ってて楽しいです。メロディが綺麗とか言葉の並べ方が好きとかいろいろありますけど、カバーしたくなる曲ってやっぱり歌ってて楽しいのがいちばんなので。





MESSAGE

ORIGINAL PLAYLIST

Predanwnがカバーしたことのある楽曲プレイリスト

DISCOGRAPHY

PROFILE

シンガーソングライター 清水美和子のソロプロジェクト。1986年新潟県生まれ、東京都郊外育ち。2008年からPredawnという名前でソロ活動を始める。完全自主制作盤『10minutes with Predawn』をライブ会場と一部店舗で販売し、1年半で約2000枚を完売させる。2010年6月に、作詞/作曲/演奏/歌唱/録音をすべて一人で行った、1stミニアルバム『手のなかの鳥』をリリースし、日本全国でロングセールスを記録。その後、<FUJI ROCK FESTIVAL>、<SUMMER SONIC>、<RISING SUN ROCK FESTIVAL>、<ap bank>など数々の大型フェスやライブ活動を重ねつつ、2013年3月に1stフルアルバム『A Golden Wheel』をリリース。発売した初週にオリコンインディーズチャートで1位となる。 そして、2016年9月に2ndフルアルバム『Absence』をリリース。またRayons/andymori/QUATTRO/Eccy/Marble Sounds[ベルギー]/Turntable Films/菅野よう子/TOWA TEI/大野雄二など、錚々たるアーティストの楽曲へのゲストヴォーカル参加、木村カエラとのコラボ、映像への楽曲書き下ろしなど、多岐にわたって活躍している。

アーティストページ

LIVE

■<Predawn "Absence" Tour>
日程:2016年12月15日(木)
会場:梅田 Shangri-La
時間:OPEN 19:00/START 19:30
料金:ADV ¥3,500

日程:2016年12月16日(金)
会場:名古屋 APOLLO BASE
時間:OPEN 19:00/START 19:30
料金:ADV ¥3,500

日程:2016年12月19日(月)
会場:恵比寿 LIQUIDROOM
時間:OPEN 18:30/START 19:30
料金:ADV ¥3,500


詳細はオフィシャルサイトで

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