mysound SPECIAL INTERVIEW!! カジヒデキ×KONCOS<後編>

mysound SPECIAL INTERVIEW!! カジヒデキ×KONCOS<後編>

8月20日(土)、21日(日)に開催されるカジヒデキさんも企画・運営にかかわる音楽フェス<PEANUTS CAMP>の開催を記念して、2回にわたってお届けするカジさん×KONCOSの古川さんのクロストーク。「キャンプの行く道を盛り上げるプレイリスト」をテーマにカジさんの選曲を教えてもらった前編に続いて、この後編では古川さんのプレイリストを発表してもらいます。

10年の“カジヒデキとRiddim Saunter”名義のコラボ作『TEENS FILM』で共演して以降、KONCOSがカジさんの作品に参加したり、ライヴでバックバンドを務めたりと親密な関係を築いてきたカジさんと古川さん。今年は5月にカジさんがソロ20周年を迎えて最新作『THE BLUE BOY』(KONCOSも制作に参加)をリリースし、7月には古川さんが3人組のバンド体制となったKONCOSで最新作『Colors & Scale』をリリース。これらの楽曲を大自然の中で聴けることも、<PEANUTS CAMP>のポイントのひとつです。

そこでこの後編では、古川さんのプレイリストに加えて、2人にお互いの新作についても語ってもらいました。これを読めば、当日のライヴもより楽しめるはずですよ!









NEW RELEASE

  • 『THE BLUE BOY』
    カジヒデキ

    2016.05.25 Release
    DDCB-12088 / SPACE SHOWER NETWORK / ¥2,800(+tax)


  • アルバム/THE BLUE BOY/カジヒデキ
    THE BLUE BOY
    カジヒデキ

    ソロ活動20周年を飾る15thアルバム!KONCOS古川太一、佐藤寛を中心としたメンバーとのバンドサウンドが心地よい1枚!

    • アルバム
    • 11曲収録
  • 『Colors & Scale』
    KONCOS

    2016.07.20 Release
    DDCB-12091 / Colors & Scale / ¥2,500(+tax)


  • アルバム/Colors & Scale/KONCOS
    Colors & Scale
    KONCOS

    • アルバム
    • 15曲収録

INTERVIEW



  • 古川"僕らはカジさんのグルーヴを全力でサポートしようと思います"


    ――前編で披露してもらったカジさんのプレイリストに続いて、今回は古川さんのプレイリストを見ていきましょう。テーマはカジさんと同様、「キャンプの行く道を盛り上げるプレイリスト」ですが、古川さんの1曲目は意外にもコモンの"The Light"なんですね?

    古川:そうなんです。<PEANUTS CAMP>は夏じゃないですか。だから夏の夜に聴いてテンションを上げる曲と考えると、自分にとってはこの曲。キャンプっぽくないんですけど、オープンカーとかで、(窓に肘をかけるジェスチャーをしながら)こういう感じで会場に向かえたらいいなと思って(笑)。たとえば男の友達とかと夏に車を走らせる時には、やっぱりコモンかなと思ったんです。この曲は、ボビー・コールドウェルネタなんですよね。超メロウで夏の夜が始まった感がある。これで熱く盛り上がりたいです。

  • The Light/コモン
    The Light
    コモン

    • シングル
    • アルバム

  • ――確かに、田舎に向かう途中、高速を走っている時などに合いそうですね。

    古川:そうですね。アーバンでメロウな感じ。次のDJジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンスは、自分も夏にDJをする時によくかける曲なんです。「そろそろ自分のレコードバッグにも入れないとな」と思っていて。有名すぎる曲ですけど、最近はそこをあえてかけたりしているんです。高校生の頃に知った曲ですね。夜にヒップホップのお店の前とかでこの曲をガンガンかけながら、みんなでスケボーしたり、というのが日常だったんです。だから僕の夏のイメージはこういうものなんですよ。

  • Summertime(Single Edit)/DJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince

  • ――TLCの"Diggin On You"はどうですか?この曲は94年の2作目『CrazySexyCool』の収録曲です。

    古川:この曲はチルしながら盛り上がれますよね。TLCは他のアルバムも全体的にいいですけど、このアルバムは"Diggin On You"以外も最高です。僕はこれ以降も、基本的にチルしようという選曲ですね。次のビッグ・パンは、僕の一番好きなネタで、ブレンダ・ラッセルのピアノをずっと回しているんですけど、これは完全に僕ら世代の夏チューン。この曲も(オープンカーの窓に肘をかけるジェスチャーをしながら)これ系ですね(笑)。

  • Diggin' On You/TLC
    Diggin' On You
    TLC

    • シングル
    • アルバム
  • Still Not a Player feat.Joe/Big Pun

  • カジ:ははははは。

    古川:高速だけじゃなくて、海沿いもいいかもしれないです。

    カジ:じゃあ、<PEANUTS CAMP>にはもってこいですね。(会場の市原まで)アクアラインに乗ってもいいと思うし。

    古川:湾岸でもいいですよね。それから、最後に選んだN.E.R.D.の"Tape You"は、「やっぱりいいな」と思って最近また聴いていたんですよ。この曲もオンコードの感じに浮遊感があって夏っぽい。この頃のファレルが手掛けた楽曲っていいですよね。


  • カジ:うんうん、確かに。

    ――そして会場に到着すれば、カジさんやKONCOSのライヴが予定されています。

    カジ:KONCOSは、去年の9月の<BAYCAMP>でも野外でライヴをしていたんですが、僕はその時のイメージが強くて。まだ去年の9月だったのに、既にほとんどが今回リリースされるアルバム用の新曲だったんですよ(笑)。それもすごく飛ばしていて、太一くんがステージ上をずっと動き回っていて。あれは強烈でした。今回の<PEANUTS CAMP>でも太一くんがどんな風にプレイするのかがすごく楽しみですね。きっとすごくはまりそうな感じがするので。それにもちろん、出演アーティストは僕がセレクトさせてもらったので、どのアーティストもすごく楽しみなんです。たとえばサニーデイサービスもそうですしね。

    古川:僕はカジさんのサポートで九州に行った時に観たシャムキャッツのライヴがすごくよかったので、彼らのステージも楽しみです。それから、カジさんのステージではKONCOSでサポートさせてもらうので、僕らはカジさんのグルーヴを全力でサポートしようと思います。

    カジ:僕のライヴは、せっかくのアウトドアなので選曲もそれに合わせたものにしようと思っているんですよ。たとえば、セカンド・アルバムに入っている"GREEN ROAD"とか。

    古川:いいですね!すごく気持ちよさそうです。

    カジ:それから、僕はボンビングというスポーツのレクチャーをしたりもする予定なんですよ。

    古川:どんなスポーツなんですか?

    カジ:エッグストーンのメンバーが考案したスウェーデン発のスポーツで、一方が革靴を投げて、相手がそれをバケツで拾うというもので。2対2でやるゲームなんだけど、僕が初めてスウェーデンに行った時にタンバリン・スタジオの人達の間ですごく流行っていて。今回は彼らから直接教えてもらったものを、僕がレクチャーしようと思います。他にも色んなワークショップがあるし、夜には映画の上映もあるので、会場は大人も子供も楽しめるものになっていると思いますよ。

    ――また、今年はそれぞれ最新アルバムもリリースしていますね。KONCOSはドラムの紺野さんが加入して初のアルバム『Colors & Scale』をリリースしたばかりですが、これは大きな変化だったんじゃないですか?

    古川:KONCOSとしては初めてバンド編成になったので、これはすごい変化でした。

    カジ:ずっとドラムレスでやってたもんね(笑)。それでも太一くんは、ひとりでバスドラも踏んだりしていて・・・すごい人だと思ってました。もともとドラマーだった人がキーボードを弾くようになっただけでもすごいですけど、そこから片手でシンセベースも弾き始めて、バスドラも加わって・・・最後はシンバルまで加わって・・・!

    ――まるで超人のようです。

    古川:あやうく大道芸になるところでした(笑)。やっとバンドになれましたね。

    ――そうして完成したアルバムは、非常にバンド感が増していますね。シングル"Parallel World"も、まさにそういった雰囲気のファンク・チューンになっています。

    古川:自分にはこれが合ってるな、ということに気づいたんですよ。

    カジ:新曲が音源になる前からライヴでずっと観ていましたけど、その時点で「ああ、この曲すごくいいなぁ」と思っていた曲がいくつもあって。その曲を改めてレコーディングしたものを聴くと、もともと3ピースでやっていたものにアレンジが加わって、特にホーンがほぼ全曲に入っていますよね。やっぱり太一くんは、Riddim Saunterの時もアレンジで色んな音を鳴らしていたし、今回の作品ではそういう魅力がより出ているなぁと。アルバムを聴いて「ああ、こういう風にしたかったんだ」ということがよく分かりました。ライヴもポストパンク・・・もしくはポストポストパンクという感じですごくかっこいいですけど、アルバムではよりアーバンな感覚と、みんなでシンガロンするような感覚とが同居していますよね。

    カジ"きっと綺麗な星空が見えると思いますよ"


    ―― 一方カジさんは今年でソロ20周年で、5月に新作『THE BLUE BOY』をリリースしました。制作中、20周年であるということはどの程度意識していましたか?

    カジ:最初はそれを意識しすぎてしまって、曲作りの段階で「20周年らしいアルバムにしなきゃいけないのかな」と考えたこともあったんですよ。でも最終的には、あまり意識しなくてもいいのかな、と思うようになりました。逆に今の感じを出せばいいんじゃないかな、と。それで太一くんと(同じくKONCOSの佐藤)寛くんに参加してもらって、3ピース・バンドのように録音していきましたね。今回のアルバムは、8曲KONCOSと一緒にセッションをしたこともあって、曲の骨組みには太一くんや寛くんのアイディアも沢山入っているんです。

    古川:僕らはカジさんが持って来てくれたデモを聴いて、それを3人でも演奏出来るようにパターンを変えたり、「ライヴではこうなるので、ここは変えましょう」とアイディアを出したりしたんです。だから、アレンジというよりも、カジさんの曲の魅力をライヴでも再現出来るようにしたというか。「この方が(ライヴで演奏した時に)アガりませんか?」という提案をしていきました。僕はすぐにアゲようとしちゃうんで(笑)。

    カジ:そうそう(笑)。

    ――付き合いが長いからこそ出来る作り方ですよね。

    古川:10年のカジリディム(カジヒデキとRiddim Saunter)の時の作り方と、すごく似ていたかもしれないです。あの時僕はまだ鍵盤はあまり弾けなかったですけど、寛と一緒にコードを取ったりしていて。今回はそれの現代アップデート版のような感覚もありましたね。

    カジ:太一くんは、僕に合いそうなものも分かってくれているんですよ。だから、普通になりがちなところは壊してみたらいいんじゃないかと提案してくれたりする。それに僕は、太一くんのDJ的な感覚をものすごく信頼していますしね。20周年に堅いアルバムを作ることも出来るけど、そうじゃない方が楽しいんじゃないかと思ったんです。まだそういうことはしなくてもいいのかな、と。

    ――すっと変わってきたからこそ、今のカジさんがあるわけですしね。

    カジ:そうですね。コアなファンの人たちも、それを望んでいるわけじゃないのかな、と。

    ――では最後に。<PEANUTS CAMP>にはどんなことを楽しみに遊びに来てほしいですか?

    カジ:色んなものを自由に楽しんでもらえるようにしたいと思っているので、1日中ずっと、気楽に楽しんでもらえたら嬉しいです。もしよければキャンプをしてもらえると嬉しいし、キャンプはちょっとという方は、どこか近場に宿を取ってもらってもいいですし。もちろん日帰りも。当日天気がよければ、最後はきっと綺麗な星空が見えると思いますよ。とにかく、来てくれたみなさんに楽しんで帰ってもらえたら最高ですね。






ORIGINAL PLAYLIST

DISCOGRAPHY

PROFILE

カジヒデキ
千葉県富津市出身。千葉県立袖ヶ浦高等学校卒業。Neurotic Dollのベーシストとしての活動を経て1987年11月ロリポップ・ソニック(後のフリッパーズ・ギター)のライヴをみて彼らに影響を受け、1989年に清水ひろたか、大橋伸行らとブリッジを結成。トラットリアから数枚のCDを発表後、1995年に解散。 ブリッジ解散後、同じくトラットリアから1996年に「マスカット E.P」でカジヒデキとしてソロデビュー。1997年に発表したファースト・ソロ・アルバム『ミニ・スカート』はオリコンチャート4位を記録。ネオアコやギター・ポップを基調とした爽やかで軽快な音楽性とキャラクター、ファッションやライフスタイルなどで注目を集める存在となる。


カジヒデキ アーティストページ


KONCOS
Keyboard、Guitar、Drumsの3ピースバンド。ファッションブランド『ALLEGE』の2012 AW COLLECTIONの音楽製作をきっかけに活動スタート。下北沢SHELTERを拠点に、自主企画<AFTER SCHOOL>を開催。2016年7月20日に《AWDR/LR2》より、『Colors & Scale』を発売。全国各地のバンドやライブハウス、クラブやDJと一緒に、音楽と人のつながりを模索中。


KONCOS アーティストページ

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