mysound SPECIAL INTERVIEW!! クウチュウ戦
NEW RELEASE
INTERVIEW
-
リヨ"プログレの毒っぽい要素を引き継きながら、もっと色んな人に聴いてもらえる音楽に"
--まず、クウチュウ戦は「プログレをやろう」ということで結成されたんですか?(※ドラマーのアバシリは2014年の春にバンドに参加)
リヨ:プログレに影響を受けたバンドは多いけれど、プログレをやっているバンドはいなんじゃないかと思って。『プログレ』をリリースした頃(13年)は長けりゃいいと思っていました。とにかく客を引かせてやろうと。ただ、今のレーベルで初めて出した『コンパクト』(15年)以降、思いつきで足し算をすることはしなくなって、Aメロ、Bメロ、サビの構成で4分以内というのを強く意識するようになりました。ラジオでかけづらいとか色々と文句も言われるし(笑)。
ベントラーカオル:僕の中では『プログレ』と『コンパクト』はセットになっていて、バンドの音楽をすべて説明しているという意識はありました。ただ、『プログレ』は廃盤になっているので、実質的にはそれも機能していないけど(笑)。
--それはあくまで自然な変化だったのか、オーディエンスのほうを見ようと決めた結果なのか、どちらでしょう?
リヨ:うーん、両方ですね。もうプログレに飽きていたんですよ。自分たちの音楽がただのモノマネになるのは嫌だったから、プログレの毒っぽい要素を引き継きながら、もっと色んな人に聴いてもらえる音楽にしようと。そもそも、僕はプログレをaikoとかと同じようにポップなものとして聴いていたんです。
--『超能力セレナーデ』はオーソドックスなポップソングの形がもっとも強く意識された作品になっていると思います。私は、かつて国内外の音楽の影響を積極的に受けて作られた「90年代のJ-POP」を思い浮かべていました。
リヨ:具体的に考えたことはなかったんですけど、単純に好きなものが出ているんでしょうね。昔からポンキッキーズとかミスチルとかサザンとか好きだったから。
--これまでの作品から、録音などのテクニカルな部分では何を変えようと思いましたか?
ベントラーカオル:今までミックスをやってくれていた人に録音から関わってもらったことで、終始あうんの呼吸で進めることができましたね。スタジオがアップグレードされて、テクニカルな部分でやれることも大幅に増えたし。
リヨ:確かに、今までみたいにミックスでガラッと変わることはなかった。ただ、あらかじめ楽曲のアレンジを固めることはしなかったです。何も決めずに録っているからこそビューティフルミステイクは起きるんです。たとえば"インドのタクシー"なんかは、スタジオでデモの打ち込み音源をまんま生かすことに決めたし。
--"インドのタクシー"はリヨさんがインドに滞在していた時の実体験をそのまま綴っていますが、構成、リリックともにシャレが利いていて、実にクウチュウ戦らしい楽曲ですよね。一方で、「フルート」のようなオーソドックスなラブソングを書いたことには驚きました。突っぱねているようで痛々しいリリック含め、これは名曲だなと。
リヨ:これは実体験と突拍子もない妄想が混ざっている曲ですね。好きな娘が持っているフルートを荒川に投げちゃうっていう。クイーンの"You're My Best Friend"的なイメージがあったかな。
ベントラーカオル:でも、実際に録る時はたまみたいにしようという話にもなったよね(笑)。
ベントラーカオル"おれは勝手にこの曲(アメリカンショートヘアの少年)を初期のクウチュウ戦っぽいと思っていました"
--それではプレイリストに話題を移します。まずはリヨさんから。さだまさしの"フェリー埠頭"はリアルタイムではないと思うのですが、この曲との出合いについて教えてください。
リヨ:親が車でずっとさだまさしと井上陽水をかけていて。この曲はエレピがいい。サウンドはそれに尽きます。歌詞も垢抜けたオシャレじゃない。堅さがあるというというか、ちょっと小っ恥ずかしくて、時代を見事にパッケージしていますよね。
アバシリ:あれ、これ聴いたことないな。何のアルバムに入っている?
リヨ:あらゆるアルバムに入っているよ(笑)。イントロ聴けばぜったいに思い出すから。
-
-
--フレーミング・リップスの"The Sound of Failure"は、まさに今のクウチュウ戦のモードを表す曲だと思います。
リヨ:音のタペストリーが面白いですよね。耳を澄ませば澄ますほど色んな音が聴こえてくる。大学の友達が「Race For The Prize」を教えてくれてバンドのことをはじめて知ったのですが、その時はプログレどっぷりだったので、正直あんまりよくわからなかった。でも、その後に観たライヴ映像で、UFOとか宇宙人とかサンタクロースとかがステージに出てきて、これは最高だなと(笑)。
--彼ら、最近はまたサイケ色が強くなっていますよね。
リヨ:格好良いと思うんですけど、正直あんまり"聴けない"んですよ。やっぱり実験的な要素とポップネスが絶妙に混じっていたあの時期が1番好きなんですよね。
-
-
--続いてベントラーカオルさんのプレイリスト。クウチュウ戦を語るうえでやっぱりエマーソン、レイク&パーマー(以下、ELP)の"悪の教典#9"は外せないですね。
ベントラーカオル:中学1年の時に吹奏楽部の先輩から「プログレっていう音楽があるんだ」と教えてもらって、最初に貸してもらったのがこの曲が収録されていたELPの『恐怖の頭脳改革』だったんですよ。聴いたことのない音色のキーボードが鳴っていました(笑)。
-
-
--次に、キャロル・キングにはどのようにしてたどり着いたのでしょう?
ベントラーカオル:はじめて買ったキーボードマガジンに楽譜が載っていたんです。当時はキャロル・キングの存在自体も知らなかったんですが、ド頭のピアノのフレーズを弾いてみて、「何だこれ、めちゃくちゃいい!」と。バンドでキーボードを弾き始めたのはクウチュウ戦が初めてだったので、この曲でバンドでのキーボードの役割をはじめて知りましたね。
-
- シングル
- アルバム
-
--フーの"Song Is Over"は名盤『Who's Next』の中でもメロディが傑出した曲だと思います。
アバシリ:中学から大学まで一緒にバンドをやっていた友達のお父さんが元々スタジオミュージシャンだったんですが、古いレコードをたくさん持っていて、その中にフーも混ざっていたんです。個人的にはビートルズよりもピンときて。テレビでたまたま観たワイト島のライヴにも感動しましたね。映し方も映画みたい。
リヨ:あれは痺れちゃうよね。
-
- シングル
- アルバム
-
--アバシリさんが選んだもう1曲が、意外なようで意外でない筋肉少女帯の"アメリカン・ショートヘアーの少年"。
ベントラーカオル:素晴らしい曲だよね。
アバシリ:実はクウチュウ戦に入るまではジャズをやっていて、久しぶりにロックのドラムを叩くとなった時にメンバーから「音が小さい」と言われてしまって(笑)。それで、参考にしたのがキース・ムーンと太田明さん(1998年に筋肉少女帯を脱退)。二人ともめちゃくちゃにぶっ叩いているように見えて、ぜったいに歌の邪魔はしないんですよ。
ベントラーカオル:おれは勝手にこの曲を初期のクウチュウ戦っぽいと思っていました。淡々とした歌から激しいインストに入っていく緩急のつけ方とか"雪国"(『プログレ』収録の15分越えの大作)っぽいし。
-
- シングル
- アルバム
- 着うた®
-
--最後にニシヒラユミコさんのプレイリストを。個人的に、5大プログレよりもフォーカスのほうがクウチュウ戦のイメージにぴったり合います。"悪魔の呪文"は当時の大ヒット曲ですよね。
ニシヒラユミコ:僕は3歳の頃から親に60年代?70年代のロックを聴かされていて、小6でフォーカスと出合ったんです。こんなにふざけている音楽がアリなのかと衝撃を受けました。
リヨ:『Mr.ビーン』みたいなものだからね(笑)。
ニシヒラユミコ:この人たちはどういうつもりでやってるんだろうか、と恐怖すら感じていましたね(笑)。
-
-
--"スイートスポット"はゆらゆら帝国のキャリアでも後期に発表された『Sweet Spot』の表題曲ですね。ずばり、この楽曲のどの部分に魅了されましたか?
ニシヒラユミコ:まず、マリンバとかシンセベースとか、使っている楽器に興味がわきました。それと、それまで洋楽しか聴いてこなかったんですけど、日本語の歌詞によって別の"景色"が見えてきたんですよ。
--日本語のポップスもアリじゃないかと思うきっかけになったと?
ニシヒラユミコ:そうですね。
-
-
--最後に、それぞれプレイリストに関するエピソードをいただけますでしょうか!?
ニシヒラユミコ:友達のためにシチュエーション別のプレイリストを作ったりしてましたね。曲ごとに細かい解説も書くんですけど、140分とか入れちゃうんで全然聴いてくれない(笑)。
アバシリ:おれはもらうほう。「レスポール集」とか、マニアックなやつもあった(笑)。そういえば、そこにもフーが入っていたんです。
ベントラーカオル:おれは「インダストリアルノイズ集」っていうのをもらったことあるな(笑)。
ORIGINAL PLAYLIST
クウチュウ戦のルーツがわかるプレイリスト
-
リヨ(Vo,Gt)
-
-
-
ベントラーカオル(Key)
-
-
- シングル
- アルバム
-
アバシリ(Dr)
-
- シングル
- アルバム
-
- シングル
- アルバム
- 着うた®
-
ニシヒラユミコ(Ba)
-
- 悪魔の呪文(ライヴ)
- FOCUS
-
ボーナス・トラック
- シングル
-
-
text&interview by Hiroaki Nagahata
photo by Mayuko Yamaguchi
DISCOGRAPHY
PROFILE
2008年、大学1年のリヨ(vo/gt)とニシヒラユミコ(ba)がクウチュウ戦の原型バンドを結成。数年間、試行錯誤の日々。2011年1月、ベントラーカオル(key)加入。同年7月にリヨが突然ペルーに飛び、アマゾンのジャングルの奥で行われる神秘的な儀式に参加。その後、2012年3月までイギリス/オランダなど、ヨーロッパを放浪。よってこの間のクウチュウ戦は活動休止を余儀無くされる。バンドの存続も危ぶまれたが、海外見聞で覚醒し、新たなモチベーションを獲得したリヨが、初の本格的音源制作への意欲を爆発させ、バンドは奇跡的に復活。間もなくレコーディングが開始される。2013年1月、1st アルバム『プログレ』店舗限定リリース。2015年5月13日、1stミニアルバム『コンパクト』リリース。初の全国流通盤となる。2016年1月20日、2ndミニアルバム『Sukoshi Fushigi』リリース。2月、タワーレコード新宿店/難波店にて初のインストアライブ。3月、FM大阪主催爆ひな'16、福岡天神ONTAQ、下北沢BEAT HAPPENINGサーキット、名古屋今池GO NOW'16に出演。4月1日、大塚HEARTSにてヒカシューと2マンライブ。4月16日、心斎橋CONPASSにて初の大阪ワンマンライブ<レコ発>。4月23日、渋谷Star loungeにてワンマンライブ<レコ発>。
LIVE
■クウチュウ戦presents「クウヂュウの戦~ikusa~Vol.2」
日程:2016年9月10日(土)
会場:六本木Varit.
時間:OPEN 18:00/START 18:30
料金:ADV ¥2,500 DOOR 未定
出演者:クウチュウ戦、曽我部恵一、haikarahakuti
■TOKYO CALLING
日程:2016年9月18日(日)
会場:新宿LOFT、LOFT bar、Motion、Marble、MARZ、HOLIDAY、RUIDO K4、ACB、SAMURAI、club SCIENCE
料金:1日券(9月17日、9月18日):¥4,000+1D(¥600)/1日券(9月19日)¥4,500+1D(¥600)/3日通し券:¥11,000+3D(¥1,800)
※出演時間/場所は後日発表
■FM802 MINAMI WHEEL 2016
日程:2016年10月8日(土)・9日(日)・10日(祝・月)
会場:大阪・ミナミエリア ライブハウス20ヶ所以上
料金:各1日券:¥3,500/3日通し券:¥8,000
※クウチュウ戦の出演日は10月8日(土)、時間/場所は後日発表
■超能力セレナーデツアー
日程:2016年10月19日(水)
会場:the voodoo lounge(福岡)
時間:OPEN 18:30/START 19:00
料金:ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
日程:2016年10月21日(金)
会場:CONPASS(大阪)
時間:OPEN 18:30/START 19:00
料金:ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
日程:2016年10月22日(土)
会場:CLUB ROCK'N'ROLL(名古屋)
時間:OPEN 17:30/START 18:00
料金:ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
日程:2016年10月27日(木)
会場:LIVE HOUSE enn 3rd(仙台)
時間:OPEN 18:30/START 19:00
料金:ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
日程:2016年11月3日(木)
会場:Star lounge(東京)
時間:OPEN 17:30/START 18:00
料金:ADV ¥2,800/DOOR ¥3,300(+1ドリンク)
関連タグ