A Practical Turn Of Mind/鈴木花壇

アルバム

A Practical Turn Of Mind

鈴木花壇

2021/8/21リリース

5曲収録

1,223

再生時間:19分19秒 / コーデック:AAC(320Kbps)

ファイルサイズ:46.46 MB

■All written by Kadan Suzuki

A Practical Turn Of Mind

だーれも知らない遠い海に雨が降っていたなら、それはだーれも知らぬただの循環で、それでもどこかで蒸発したその水は空まで届いて雲を作って、多分想像もできないような距離を移動したりなんかして、そうして降り注いでいることになる。わたしはその情景を思い浮かべるのが好きだ。だって、水が地球上をぐるぐる回っていて、それが人里に降るならまだしも、誰に見られることもなく人知れず海に還るなんて、その過程の壮大さに比べてあまりにも意味がなく思えるし、なによりもわたしにとっていちばん関係がないことだもの。
でもその巡りめぐる水は、こないだ私がベランダの植物に撒いた水かもしれないし、地球の真裏で戦う兵隊が零した水筒の水かもしれない。もしかしたら、いつか泣いてたあんたの涙なんてこともあるかもしれないね。そうやって空に集まる水たちは途方もない時間をかけて、いろんなものをすり抜けてきて、きっと何もかもを見てきたんじゃないだろうか。そんなことを思えばロマンチックにもなるだろうが、今日もわたしは低気圧のせいで頭が痛かったりする。それだって、雨雲が原因だったりすると聞いた。
そう思えば、自分が起こした行動のうちのいくつかが、想像もしない誰かに影響を及ぼしていることだって、きっとあるはずだと思う。この5曲は、そんなことについて歌っています。これらの曲を聴いたことがない誰かが、どこかで同じことを思っていたり、いつか遠くの海で降る雨のように、偶然この歌を聴く日が来るかもしれない。それが何より楽しみで、わたしは今日も歌います。
(2021/6/26)

即物的、をテーマに作ったアルバムです。

今まで1曲作るのに費やしていた時間で5曲分のミニアルバムを作ったらどんな作品が出来るだろうと思い制作しました。時間をかけて練るよりも、その時の直感的な感覚で楽曲にも作詞にも取り掛かりました。
きっと今までよりも気軽で、率直なアルバムになったのではないだろうかと思います。

これは2021年、今の自分自身のスケッチです。聴いていただけたら嬉しいです

収録曲