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白鳥は哀しからずや空の青 海のあおにも染まずただよう

吉永典子

2:43

やわらかに柳あおめる北上の 岸辺目に見ゆ泣けとごとくに

今 由香里

2:35

ねこの子のくびのすずがねかすかにも おとのみしたる夏草のうち

林 真洋

2:29

とくとくと垂りくる酒のなりひさご うれしき音をさする物かな

橋本揚晴

2:11

めぐり逢いて見しやそれともわかぬ間に 雲隠れにし夜半の月影

馬酔木岳凛

1:41

あおによし寧楽の京師は咲く花の 薫うがごとく今さかりなり

古賀鶯鳳

2:33

我が背子を大和へ遣るとさ夜ふけて 暁かけて露に我が立ち濡れし

内山光倫子

2:08

旅人の宿りせん野に霜降らば わが子羽ぐくめ天(あめ)の鶴群(たづむら)

熊谷栄亮

2:14

君が行く道のながてを繰(く)り畳(たた)ね 焼き亡ぼさん天の火もがも

安藤飾心

2:16

あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る

野中秀宗

2:25

紫のにおえる妹(いも)を憎くあらば 人妻ゆえに我恋いめやも

野中秀鳳

2:25

小竹(ささ)の葉はみ山もさやに乱(さや)げども 我は妹(いも)思う別れ来(き)ぬれば

平賀輝山

2:29

銀(しろかね)も金(くがね)もたまも何せんに 勝(まさ)れる宝子に及(し)しかめやも

川本摂粋

2:07

新(あらた)しき年の始の初春の 今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)

山本星邦

2:19

大和は 国のまほろば 畳(たた)なづく 青垣(あおがき) 山籠(やまごも)れる 大和しうるわし

前田卓霊

2:08

東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春を忘るな

杉山陽風

2:27

石(いわ)ばしる垂水(たるみ)の上のさ蕨(わらび)の 萌え出づる春になりにけるかも

玉村美心

1:46

田児(たご)の浦ゆうち出でて見ればま白にそ 不尽(ふじ)の高嶺に雪は降りける

蒔田淳芽心

2:23

花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせし間に

向山侑真

2:03

これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関

鷲見國仁

1:55

見わたせば柳桜をこきまぜて 都ぞ春の錦なりける

森田夏星

2:09

白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける

岡野麗風

2:06

秋きぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる

高冨淳蕗心

1:59

大海の磯もとどろに寄する波 われて砕けて裂けて散るかも

佐伯珠月

2:18

霞立つ長き春日をこどもらと 手まりつきつつ今日も暮らしつ

大川吾風

2:23

ゆく秋の大和の国の薬師寺の 塔の上なる一ひらの雲

村松勢心

2:02

仏は常にいませども現(うつつ)ならぬぞあわれなる 人の音せぬ暁にほのかに夢に見えたもう

志田紫岳

2:37

湧きいづる泉の水の盛りあがり くづるとするやなお盛りあがる

藤崎岳良

2:19

おとめらが泳ぎしあとの遠浅に 浮環(うきわ)のごとき月浮かびいでぬ

小林翠晴

2:26

八雲(やくも)立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を

巽 吟城

2:27