mysound SPECIAL INTERVIEW!! LUCKY TAPES
7月6日(水)にリリースされたセカンド・アルバム『Cigarette&Alcohol』は、彼らを取り巻く“シティ・ポップ”“渋谷系”などの狭小的な形容では収まらないほどのスケール感と、多種多様な音楽からのインスピレーションを綿密に織り込んだ良質なポップスが詰め込まれた作品となっています。また、<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>をはじめ多数のフェスへの出演も決定。大多数のオーディエンスへ向けたパフォーマンスからの学びは、最新アルバムへも反映されているそうです。
今回は、高橋 海(Vo,Key)、高橋健介(Gt)、田口恵人(Ba)の3名に、それぞれ3曲ずつ「自分のルーツ」といえる曲を挙げてもらい、自身やバンドのバックグラウンド、最新作にもつながるポイントを語ってもらいました。
NEW RELEASE
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『Cigarette & Alcohol』
LUCKY TAPES
2016.07.06 Release
RYECD260 / Rallye Label / ¥2,500(+tax)
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- アルバム
- 10曲収録
INTERVIEW
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海"アレンジも、フェスみたいに大きな空間で鳴らすことを意識しました"
--最新作『Cigarette&Alcohol』は、ひとことで言うと前作よりストレートにポップスの普遍性を感じさせる1枚に仕上がっていますね。
海:前作を作っているときは国内や海外のインディーズをよく聴いていたこともあって、「実験的でちょっとひねくれているくらいがカッコ良い」という曲がった意識があったんですけど、ここ半年の中で、所謂キャッチーで王道でもカッコ良いことはいくらでも出来るということに気付いて。メンバーそれぞれちゃんとしたルーツを持っているので、王道に寄ってもしっかりと深みのあるポップスになるという確信がありました。
--楽曲のスケールも増し、よりカラフルかつグルーブも骨太になった印象です。
健介:ギターでサウンドのバリエーションを出すことを意識したんですけど、そこがスケールの大きさに繋がっていればうれしいです。「海くんからもっと変態な音が欲しい」って言われながらやっているうちにエフェクターが5個くらい増えました(笑)。
田口:ベース・ラインは、90年代に流行ったジャパニーズ・ポップスを参考にしつつ、自分のルーツであるブラック・ミュージックの要素を殺さずにアプローチするにはどうしたらいいかなって考えながら作りました。
--さらに今回、レコーディングエンジニアに美濃隆章氏(toe)、サポートは、ドラムにmabanua氏、ストリングス・アレンジに徳澤青弦氏、そしてトランペットには類家心平氏など、玄人好みの方々が脇を固めていますね。
海:今回エンジニアをお願いした美濃さんの手掛けているChara×韻シストの『I don't know』というEPが、アレンジ的にもサウンド面でも理想的で。今回、デモが何曲かあがった時点でかなりの手応えを感じていたので、思い切ってご本人にお願いしました。サポート陣は、美濃さんが「この人合うかも」といった感じで紹介してくださって、このような最強の面々が集まりました。
--インディ・ポップがムーブメントとなっている今、LUCKY TAPESはその筆頭ともとれるポジションにいますが、フェス出演本数にもそれがあらわれているのではないでしょうか
海:いえ、まだまだ。もっと色々と出たいです!毎週フェスがいい(笑)。
健介:うん、毎週フェスがいい(笑)。やっぱり楽しいですよね、解放感があって。お客さんからもそれが伝わってくるし。野外フェスのほうがみんな踊ってくれるような気がしますね。
海:アレンジも、フェスみたいに大きな空間で鳴らすことを意識しました。お客さんから「野外でもっと聴きたい」という声をよく耳にするし、実際にそういう機会が増えたらいいなって。
--数々のフェスへの出演が決定していますが、<フジロック>ではレッド・マーキー初日1発目という大役。それぞれ、意気込みを教えてください。
田口:あまり気を負わず、ベストアクトを取るつもりで。最近ライブで緊張することもなくなってきたんですけど、いい意味で緊張感を持って挑みたいですね。
海:うん、初日1発目からベストアクトを取りにいくつもりで挑みます。なんなら「LUCKY TAPES観たから、もう満足!」くらいのものにしたいです。
健介:お、いいっすね(笑)。数あるステージのなかでLUCKY TAPESのステージを観てくれた人が一番いいスタートを切れるようなステージにしたいですね。
--では、それぞれのプレイリストについて解説していただきましょう。まずは、海さんから。マイケル・ジャクソン"Love Never Felt So Good"は、LUCKY TAPESにとって欠かせない曲だそうで。
海:LUCKY TAPESを結成するきっかけとなった一曲。結成前に「こういう音楽がやりたいよね」ってみんなで盛り上がって、遊びで入ったスタジオでは実際にカバーもしたり。この曲ではないけど、両親がマイケルの大ファンで小さい頃から家でいろんな曲が流れていました。少し閉鎖的な音楽を聴いていた時期を経て、この曲に改めてポップスの魅力と破壊力を教わりました。時々行き詰ると、部屋を真っ暗にして電飾を灯してラジカセで大音量でこの曲を流しながら踊ると最高に気分がいいのでお勧めです(笑)。 -
- シングル
- アルバム
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--2曲目は、そんなマイケルへのリスペクトが込められたブルーノ・マーズの"Treasure"。
海:この曲は、ライブで一度だけカバーしたことがあるんですけど、キラキラしたディスコ感みたいな部分はLUCKY TAPESが表現したかったことでもあって、この曲はメロディもアレンジも理想的で。マイケルもそうですけど、いつの時代に聴いても誰もがうなずくような普遍的なポップスだなって思います。自分たちの音楽も、何十年何百年後にも残っているようなものを作りたい。 -
- Treasure
- Bruno Mars
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80年代の煌びやかさが眩しいラブソング♪
- シングル
- アルバム
- 着うた®
- 着メロ
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--そして3曲目は、ブレイクボット"Baby I'm Yours"。ディスコ・ポップなアンセムナンバーですね。この曲のようなアーバンさも、LUCKY TAPESの楽曲にも欠かせない要素じゃないでしょうか。
海:このアーバンさは大好物です。最初、SoundCloudのMIXか何かで知ったんですけど、この曲だけ明らかに特出してました。この曲に続くようにして"Treasure"やDaft Punkの"Get Lucky"、"Love Never Felt So Good"、Tuxedoの"Do It"などのディスコブーム再来みたな流れはあったのではないでしょうか。 -
健介"ダニー・ハサウェイはブラック・ミュージックが好きになったきっかけ"
--健介さんの1曲目は、ダニー・ハサウェイ"What's going on"。名盤と名高いアルバム『LIVE』に収録されている、ソウルの分子がほとばしる1曲ですね。
健介:ブラック・ミュージックを好きになったきっかけの曲ですね。CDショップの廉価盤コーナーでジャケットに目が止まって試聴して衝撃を受けて。そこからソウル・ミュージックを深く掘って聴くようになりました。 -
- シングル
- アルバム
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--2曲目は普遍の名曲、カーペンターズ"Top of the world"。
健介:小さい頃、親がよくカーペンターズを聴いていて、母親がひたすらこの曲を歌っていたんですよ。人生で一番聴いているし、今でもすごい好きですね。もう体の一部というか。落ち込んだときに聴くと元気をもらえる曲です。 -
--そして3曲目は、ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス"Purple haze(紫の煙)"。ギタリストらしい曲をセレクトしましたね!
健介:高校生のときにすごい聴いていましたね。ジミヘンは、ギタリストみんな大好きなんじゃないですかね(笑)。今回の僕らのアルバムはロック色も強めなので、そういうところでも影響を受けているので挙げてみました。 -
- シングル
- アルバム
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--『Cigarette&Alcohol』の2曲目"Mr.Robin"に、このあたりの粒子の荒いギターが取り入れられている印象です。ちなみに、挙げていただいた3曲は60年代後半~70年代に発表されたものなのですが、この時代に思い入れが?
健介:そうなんですか?それは知らなかった(笑)。でも、当時の空気感でしか作れないものってあると思うので、そのあたりの時代のファッションや文化そのものが好きですね。
--では、田口さんのプレイリストを。1曲目は、セシリオ&カポーノの"Night Music"。王道のAORですね。
田口:小学校のとき鎌倉に引っ越したんですけど、その当時親父がハワイアン・ロックバンドを組んでて、この曲のカバーをしてたんです。それで気に入って僕もよく口ずさんでました。メロディが素晴らしいですね。 -
- シングル
- アルバム
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--ディスコの遺伝子を継いでいるんですね。ちなみに、ダンスへの興味は?
田口:今もステージングで踊れたらいいなって思うんですけど、クラブで踊るのとは違って楽器持っているとなかなか難しくて(笑)。ダンス習いたいですね。見た目にもわかりやすい
パフォーマンスがしたいなって思うし。
健介:習いに行こっか(笑)。踊って弾くと楽しいよね。
海:演奏で踊らせるだけじゃなくて、自分たちから踊ることを提示していくのいいね。
--そして3曲目が、インコグニート"Still A Friend Of Mine"。体を揺らさずにはいられないグルーヴィな代表曲ですね。
田口:これも小さい頃に聴いていましたね。ジャミロ・クワイとかブランニュー・ヘビーズとか、アシッド・ジャズにハマるきっかけになった曲でもあります。この曲のベース・ラインは、よく音出しのときとかにも弾いていて。自分のベースを弾くうえでの土台にもなっていますね。 -
田口"オリジナルのプレイリストを同じクラスの女子と交換したりしていたかな"
--ちなみに、バンド名に"テープ"とつくだけあって、みなさんオリジナルのミックステープを作って友達とシェアしたような経験はありますか?
健介:さすがにテープは、ないですね(笑)。中学生くらいのときにMDで作っていたかな。音楽好きな人が周りにいなかったんで誰に聴かせるわけでもなく、自分用に作って聴いていましたね。
田口:俺は同じクラスの女子と交換したりしていたかな。ミスターチルドレンとかASIAN KUNG-FU GENERATIONとかを入れていました。
海・健介:あれ?
田口 :いや、さすがに中学生で(今回の)プレイリスト挙げたような曲は入れないよ(笑)。
海:自分も中学生くらいのとき、自分で聴くために作っていた記憶はありますね。でも今は逆に、いい曲を見つけると2人に「これ聴いてみて」と勧めることが多いです。移動中の車の中でそれぞれ最近のオススメを流しあったりしてます。
--今回挙げていただいた曲をふまえて『Cigarette&Alcohol』を聴くと、各曲を象徴する要素がとてもバランス良く散りばめられていることに気づきます。アルバムと併せてプレイリストを聴くとより楽しめそうですね。
海:そうですね。特に自分が挙げた3曲は、自分自身のルーツというよりバンドのルーツといったほうが正しいかもしれません。今回のプレイリストはオススメしたい曲でもあるので、ぜひ聴いてみてください。
ORIGINAL PLAYLIST
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高橋海(Vo,Key)
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- シングル
- アルバム
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- Treasure
- Bruno Mars
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80年代の煌びやかさが眩しいラブソング♪
- シングル
- アルバム
- 着うた®
- 着メロ
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高橋健介(Gt)
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- アルバム
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- シングル
- アルバム
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田口恵人(Ba)
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- シングル
- アルバム
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text&interview by Misaki Nonaka
photo by Kohichi Ogasahara
DISCOGRAPHY
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- アルバム
- 8曲収録
PROFILE
高橋海、田口恵人、高橋健介の3人組。2015年にデビュー・アルバム『The SHOW』をリリース。新人としては異例とも言える大ヒットを記録し、翌月に渋谷WWWにて開催された初のワンマン・ライブもソールドアウト。その後の全国ツアーでもソールドアウトが相次ぐなど、ホーン・セクションや女性コーラス、パーカッションなどを加えた総勢10名のライブ・パフォーマンスも各地で好評を博す。2016年1月にシングル『MOON』をリリースし、5月に全国公開された映画『オオカミ少女と黒王子』(主演:二階堂ふみ)には挿入歌として新曲2曲を提供。同年7月には、共同プロデューサーにtoeの美濃隆章氏を迎えた2ndアルバム『Cigarette & Alcohol』をリリースし、<フジロック・フェスティバル>へも出演するなど話題を集めている。
LIVE
■FUJI ROCK FESTIVAL 2016
日程:2016.07.22(土)
会場:新潟県 湯沢町苗場スキー場
時間:OPEN 11:00/START 23:00
料金:¥19,000(1日券)
■RUSH BALL 2016
日程:2016.08.27(土)
会場:泉大津フェニックス
時間:OPEN 9:30/START 11:00
料金:¥6,500(1日券)
■音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2016
日程:2016.08.27(土)
会場:由比ヶ浜海岸
時間:OPEN 13:00/START 14:00
料金:¥3,800
■BAYCAMP 2016前夜祭
日程:2016.09.02(金)
会場:神奈川県 川崎市東扇島東公園
時間:OPEN 19:00/START 20:00
料金:¥6,900
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