mysound SPECIAL INTERVIEW!! Azumi


たとえば友達に教えてもらった音楽が後の自分に影響を与えるものになったり、プレイリストをシェアすることで誰かの人柄が垣間見えたり。そうやって音楽が広がっていく楽しさは、音楽リスナーとしての最大の魅力のひとつとも言えるはずです。mysoundでは今回、その魅力に焦点を当てたプレイリスト企画をスタート!毎回テーマを決めて、様々なアーティストの方々にお気に入りの楽曲と、その曲との思い出を語ってもらいます。

今回登場してくれるのは、WyolicaとしてR&Bやヒップホップに影響を受けながらも日本語詞ならではの響きを活かした作品を送り出し、解散後はソロ・キャリアをスタート。15年の12月にはkj(Dragon Ash)、ILMARI(RIP SLYME)、DJ JIN(RHYMESTER)、社長(SOIL&"PIMP"SESSIONS)など豪華ゲストが集結したオリジナル・ソロ・デビュー作『CARNIVAL』を発表したAzumiさん。最新作に込めた音へのこだわりに加えて、「自分のルーツ」をテーマに、Azumiさんの大切な楽曲を選んでもらいました!









NEW RELEASE

  • New Album
    『CARNIVAL』
    Azumi

    2015.12.02 Release
    WPCL12246 / ¥3,024 (税込)


  • アルバム/CARNIVAL/Azumi
    CARNIVAL
    Azumi

    • アルバム
    • 10曲収録

INTERVIEW


  • "この作品は自分自身ではもう二度と作れないほどのアルバム"



    ――『CARNIVAL』は、Azumiさんが全体の舵取りをしつつも、色んな方が参加しているアルバムで、作品全体のバランスがとてもうまく整えられている印象です。このあたりは意識したことだったんですか?

    それは意識していましたね。どんな人にお願いをするかも考えたし、話している段階からどんな作品になるかを考えていたんです。それで、「こういう曲がいい」「こういうアレンジがいい」「こんな楽器を使ってほしい」「BPMはこれぐらいで」という話もしつつやっていたので、完成前から自分の中で一枚の絵のようなものが出来ていて。曲順も、最終的に変わりはしたけれど、なんとなく自分の頭でイメージしながら作っていった感じですね。それで最終的に、自作の曲でバランスを取る、みたいな感じでした。

    ――では、Azumiさんにとって『CARNIVAL』はどんな作品になったと思っていますか。

    自分で言うのも変な話ではあるんですけど、この作品は自分自身ではもう二度と作れないほどのアルバムだと思っているんです。私の力だけではなくて、みんなが最大限私のことを考えて出してくれた曲がこんなにも集まって、色んな奇跡が起きたというか。だから大切な宝物でもあるし、「また初心に戻れる場所ができたなぁ」と思います。デビューして時間が経つと初心を感じることって難しいと思うんですけど、色々な経験を踏まえたうえでまたデビューができるというのも、本当に幸せなことですよね。

    "私自身も周りの人に色々と教えてもらったおかげで肌に合う音楽を見つけられたという感覚がある"


    ――さて、今回Azumiさんには「自分のルーツ」をテーマにプレイリストを作ってもらいましたが、選曲するのは小さい頃から好きでしたか?

    私は4歳からエレクトーンを習っていて、好きな曲を耳コピしてずーっと弾いたりしていたんですけど、中学生になると好きな曲を集めて友達に無理やり渡したりしていました(笑)。歌詞も全部打ち込んで、ファイルにまとめて・・・。

    ――結構しっかりしたものを作っていたんですね。

    それに、私自身も周りの人に色々と教えてもらったおかげで肌に合う音楽を見つけられたという感覚があるんです。私はクラブDJもやるし、ラジオDJもやっていましたけど、それだって自分がしてもらったのと同じように、誰かが好きな音楽をみつけるきっかけになれたらいいなと思うからで。そういえば3年ほど前、クラブで女の子が「実はAzumiさんのラジオをずっと聴いてました。夜中に落ち込んで首都高を走っていた時にかかっていた選曲に感動して、それで私、DJになったんです」って声をかけてくれたことがあったんです。その時は「本当によかったなぁ」と思いましたね。

    ――ああ、いい話ですね・・・。選曲する時はどんなことを意識していますか?

    クラブでのDJとラジオDJとでまったく違いますけど、やっぱり「聴いてくれる人」のことを考えますね。あと、ミックスを作るのが一番好きだったりします。「いい流れが出来たなぁ」ってひとりで楽しんだりするのも楽しいじゃないですか?

    ――ちょっとお酒でも飲みながら(笑)。

    そうそう(笑)。

    Azumiのルーツとなるプレイリストとは?



    ――では早速、今回プレイリストに選んでもらった楽曲との思い出について聞かせてください。まず印象的なのはディアンジェロの"Brown Sugar"ですね。

    これは外せないですね。ディアンジェロやエリカ・バドゥのように当時「ネオソウル」と言われていた人たちの音楽って、すごくダウンビートで、「(ノリが)ここまで後ろなのか」という意味で衝撃を受けたんです。(当時の)ディアンジェロ自体もかっこよかったし。エリカ・バドゥの初来日も観に行きましたよ。あれは本当に神がかってました。

    ――ディアンジェロは約14年ぶりの新作『ブラック・メサイア』をリリースして、去年は初の正式な来日公演が実現したことも話題になりました。

    実はちょうどその頃、映画の撮影(『函館珈琲』:今夏公開予定)があってライヴには行けなかったんですよ。でも、この3月の再来日のチケットは取っていて、すごく楽しみにしているんです。

  • Brown Sugar (Explicit)/ディアンジェロ
  • ――ビョークはどうでしょう? "Hyperballad"は2作目『Post』の収録曲です。

    『Post』はアートワークも含めてアルバム自体も素晴らしいですよね。当時はちょうど70年代のソウルやファンク、フュージョンばかり聴いていた頃で、最初はよさがわからなかったんです。でも聴いていくうちに、この人の常に新しいものを探る姿勢や、音が進化していく様子にハマってしまったというか。一方で、シャーデーの"No Oridinally Love"の場合は、こういうソウル・ミュージックを聴いて初めて「私の好きな音楽はこれだ」って素直に思えたんです。こういうものに出会うまでは、「洋楽を聴いていないとかっこ悪い(から聴く)」という感覚も少しあって、無理やり聴いていた部分があったりもしたんですよ(笑)

  • ――じゃあ、(ジャズ・ヴォーカリスト&ソウル・ミュージックの古典として知られる)エラ・フィッツジェラルドは、そうやって音楽を掘り下げていって出会ったアーティストですか?

    そうですね。私は中学からボイストレーニングに通っていて、その先生がジャズ・コーラスのグループをやっていたんです。高校ぐらいから私もその手伝いをするようになって、色々なジャズを教えてもらいました。その時に、ジャズのスキャットやアドリブで歌うことについて「まずはエラの"How High the Moon?"を聴きなさい」と言われて。それで完コピしたりしたんで、いまだに全部歌えますよ(笑)。

  • ハウ・ハイ・ザ・ムーン/Ella Fitzgerald
  • ――Azumiさんのヴォーカリストとしてのルーツ的な存在なのかもしれないですね。

    うん、そうかもしれないです。今回選んだ中には他にもヴォーカル曲がありますけど、私って「ここのドラムのスネアの位置が・・・」みたいに、結局ドラムとベースしか聴いていないところがあって(笑)。だからヴォーカリストとしてちゃんと聴いたのは、エラ・フィッツジェラルドやカサンドラ(・ウィルソン)。ダニー・ハサウェイの"What's Going On"は、ライヴ・ヴァージョンを聴いた時に、『何これ?!!』と衝撃が走って、血が逆流した曲ですね。70年代ソウルにどっぷりハマる第一歩になった曲です。

  • What's Going On (Live)/Donny Hathaway
  • ――ちなみに、今回選んでもらった中に歌詞の面で影響を受けた曲は入っていますか?

    ああ、まったく入っていないですね。歌詞はあまり意識したことがなかったかも。

    ――へええ。Azumiさんは作詞もしますし、最新作『CARNIVAL』の"一日の終わりは君と一緒に"の歌詞なども、リアルに情景が浮かぶ素晴らしいものになっていました。それだけに、リスナーとしては音を重視する人だというのはとても面白い話です。

    私は歌詞って「メロディーを伝えるもの」だと思っているところがあるんですよ。言いたいことを言うだけだったら詩や日記を書けばいいから、母音の感じとか、自分が歌った時の響きのよさを大切にしているんです。

    ――ジャミロクワイの"When You Gonna Learn"はどうでしょう。

    ジャミロクワイの1枚目も衝撃的でしたね。初来日も観に行きました。あとは当時流行っていた90年代のアシッド・ジャズ。これは世代的にも拭いきれないものがあって(笑)。それから、ハービー・ハンコックは一番好きなジャズ・ピアニストで、私はハービーの追っかけだったんですよ。ロサンゼルスに家を見に行ったこともあります(笑)。

  • When You Gonna Learn? (Remastered 2006)/ジャミロクワイ
  • ――なんと、ロスまで。

    ロスって観光用に「有名人の自宅マップ」があって、それを頼りにハービーの家に行ったら、黄色いポルシェが止まっていて「流石」と思ったりして(笑)。それに、ハービーがポップスをジャズに解釈した『NEW STANDARD』を出した時には、(当時住んでいた地元の)北海道から、山中湖で開催されたジャズ・フェスティバルに行ったりもしました。バンド・メンバーがすごいメンツだったんです。これはもう、夢のような体験でしたよ。実はその時に(パーカッショニストの)ドン・アライアスが私に手を振ってくれたという勘違いを、ファン目線でずっとしていたりもします(笑)。

  • 処女航海/FAME Projects
    処女航海
    FAME Projects

    • シングル
    • アルバム
  • ――はははは。

    私が13年にリリースした前作『NEW STANDARD』(80年代や90年代のポップスをジャズに再解釈した作品)のタイトルも、実はそこから取ったものなんです。ハービーの『New Standard』が素晴らしいアレンジばかりだったんで、「これは私なりの『New Standard』だな」と思って、「ハービーさん頂きます」と決めたものだったんですよ(笑)。



ORIGINAL PLAYLIST

Azumiセレクト!“自身のルーツとなる曲”プレイリスト!!

DISCOGRAPHY

PROFILE

Wyolicaのヴォーカルとして1999年大沢伸一プロデュースでデビュー。優しく透明感のあるヴォーカルと、穏やかで切ない歌詞・メロディーを核に、振れ幅 のある、且つオリジナリティ溢れるアイデンティティーを披露。スネオヘアー、FLOW、SOFFet、Moominをはじめ、様々なアーティストとコラボレーションし、特に Steady&co."Only Holy Story feat.azumi"はアルバム曲ながらも大ヒットとなり、現在でも根強い人気を誇る。

2011年、ソロ活動再開と同時に、テクノ・テックハ ウスを中心とするDJ活動も開始。

親交の深いピアニストを招き、JAZZY でPOPなAzumiワールドを凝縮した1stソロアルバム『ぴあのとあずみ』、2013年4月リリース のガールズポップスを大胆にジャズアレンジしたカヴァーアルバム『NEW STANDARD』は、共にiTunes Jazzチャート1位、総合アルバムチャートTOP10入りを記録し好評を博した。

2012年にはヘアアクセサリーブランド「Tuno by Azumi」を設立し、デザイナーとしても活躍中。2015年、これまでの集大成としてソロアルバムの発売が〈WARNER MUSIC JAPAN〉からリリースされる。また<函館港イルミナシオン映画祭2015>のオープニング作品『函館珈琲』のヒロイン役としての出演も決定しており、アーティスト活動の他にも幅広く活躍中。


Azumiアーティストページ

LIVE

■サンストリート浜北「春のサンストフェス」インストアライブ
日程:2016 年3月26日(土)
会場:静岡県浜松市浜北区平口2階イベント広場
時間:START 13:00


■土曜日と君。
日程:2016年4月23日(土)
会場:恵比寿BATICA
時間:OPEN 16:00
料金:前売 2,300円/当日 2,800円(※共にドリンク代別)
GUEST LIVE:Azumi、カコイミク
LIVE:山口兄弟
DJ:Kazuhiko Asami、監督、YA、neco DJ


詳細はオフィシャルサイトで

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