“なんとなく”演奏を脱却!プロギタリスト推奨 ギター奏法意識変革トレーニング 第6回「踏むだけで目立っちゃう!? ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!」【produced by Go! Go! GUITAR】

 

基本テクニックはひととおり覚えて人並みにギターの演奏はできる、と思っているそこのアナタ!
本当に弾けていますか? なんとなく弾ける“つもり”になっていませんか??
コツコツ練習しなければいけないのは速弾きやハイテクプレイばかりではありません! 基本的なテクニックこそ、実は日々の積み重ねや意識が大切なのです!!
ここではプロだから教えられる、演奏テクニックに本当に大切な意識と練習を伝授します!

解説・模範演奏/生本直毅


この記事で学べること

ギタープレイの幅を拡げるワウペダルの魅力

押さえておきたいワウペダルの基礎知識

実践! ワウペダル練習フレーズ

 

 

■ ギタープレイの幅を拡げるワウペダルの魅力

 

 ほとんどのギタリストのエフェクターボードに組み込まれているであろうエフェクター、それが今回取り上げる「ワウペダル」です!
 ワウペダルとは、ペダルを踏むことで強調したりカットしたりする音の周波数帯を変化させて、モコモコした音からキャンキャンした音までをスムーズに変化させていくことができるエフェクターです! …と言われてもイメージがつかない方もいるでしょう。
 ギターの音を、まるで人が喋ってるかのようにウネウネさせることができるエフェクターと言ったほうがイメージつきやすいかもしれませんね! 有名なところだと、ジミ・ヘンドリックスの「Voodoo Child(Slight Return)」のイントロや、クリームの「White Room」のギターソロ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「Bulls On Parade」のリフ、ガンズ・アンド・ローゼズの「Sweet Child O’ Mine」のギターソロなど。その他にも、ジェームス・ブラウン、カーティス・メイフィールド、テンプテーションズなどの、ファンク・ソウル系の曲でワウペダルを使ったカッティングをよく聴くことができます!

 ワウペダルサウンドの特徴は、その名のとおり「ワウワウ」と喋っているような音になることです。ファンクなどでよく登場する、「チャカポコチャカポコ~」と聴こえるギターのカッティングはまさにワウペダルを使った王道中の王道プレイ、誰もが耳にしたことがあるでしょう!
 この手のプレイは、ギターをカッティングしながらリズムに合わせてワウペダルを踏むだけなのでワウペダルさえあれば簡単にできちゃいます!
 ギターソロにワウペダルを使う場合は、フレーズに合わせてワウペダルの踏み加減を調節するとよいでしょう。これも正解はないので自由ですが、ソロのフレーズを口で「ワウワウ」させながら歌うように弾くと印象的で感情的なソロになるのではないでしょうか。
 また、ワウペダルをフィルターのように使うプレイも、オルタナティブロックなどで聴くことができます。最初はペダルをかかと側に倒した状態でリフを弾きながら、少しずつつま先方向に踏み込んでいくとモコモコの音がだんだん明るくなっていって、まるでフィルターが開いていったような使い方もできます!
 極め付けは、ジミ・ヘンドリックスが1969年のウッドストックで演奏した「アメリカ国家」のように、ファズやアーミングとワウを組み合わせてカオティックなプレイもできてしまいます!
 このように実は幅広く使える「ワウペダル」を今回はマスターしていきましょう!

 

■ 押さえておきたいワウペダルの基礎知識

 

 ワウペダルの仕組みについて簡単に解説していきます。ペダルの中に、特定の帯域(トーン)のみを強調する可変抵抗が入っており、ペダルを動かしてその帯域を連続的に変えることであの「ワウワウ」とした音を出すことができます。

 

ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!(1)

 

 つま先側に踏み込むと、高音域が強調された「シャーシャー」した音、かかと側は中低音域が強調された「モコモコ」した音になります。
 ワウペダルはさまざまなメーカーからいくつものモデルが発売されていますが、それぞれ変化させる帯域の幅が違ったり強調させ具合やペダルの踏み加減など、どれも微妙に違うので自分が好きなモデルを見つけてみてくださいね。また最近のモデルではOFFのときの音質劣化を最小限に抑えるために、トゥルーバイパス仕様のものも増えています。ひと昔前のワウペダルは繋ぐだけで音痩せしてしまうものも多かったので嬉しい進化ですね!

 

ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!(2)

▲ワウペダルを踏み込んだところ。高音域が強調される。

 

ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!(3)

▲ワウペダルを戻したところ。中低音域が強調される。

 

 その他にも、可変させる帯域をコントロールしたり、帯域の強調具合をコントロールしたりできるツマミが付いているモデルもあります。楽曲やシーンに合わせてワウのサウンドを調整したい人にはこういうモデルもオススメです。

 

ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!(4)

 

ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!(5)

 

 ワウペダルの踏み方にルールはありません。一番手っ取り早くそれっぽくなるのはリズムに合わせて前後に踏むことですが、それに慣れたら自分の出したいニュアンスに合わせて踏めるようになりましょう!
 理想のニュアンスを出すためには踏み込むスピードや踏み込み具合、タイミングなど、実は繊細な「足技」が必要になってきます。それをギター弾きながらやるということは手と足をバラバラに動かすことになるのでちょっと慣れが必要ですが、ワウペダルサウンドのインパクトは絶大なので必ずマスターしてアンサンブルの中で目立ちまくってください!

 

■ 実践! ワウペダル練習フレーズ

 

 では実際に練習フレーズでワウペダルを使った演奏を磨いていきましょう!

・Ex-1 オーソドックスなコードカッティング

 まずは、オーソドックスなファンキーなコードカッティングでのワウプレイです! 4分のアタマでつま先側に踏み込むイメージです。動画を参照してもらえればわかると思いますが、最もオーソドックスな踏み方と言えるでしょう。4小節目の1〜2拍目は、少しずつフィルターを開けていくイメージで、3〜4拍目のオカズはフレーズが聴こえるような踏み方であれば何でもOK! 最後の白玉は少しずつフィルターを閉じていくようなイメージです。

 

ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!(6)

 

 

・Ex-2 単音フレーズでのワウプレイ

 ジミ・ヘンドリックスの「Voodoo Child(Slight Return)」的な練習フレーズです。強調したいノートのときに、つま先側に倒すことで、フレーズにアクセントを加えられます!

 

ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!(7)

 

 

・Ex-3 フィルター効果でクレッシェンド感を出す

 ワイルドなリフをゆっくりフィルターを開いていくことでクレッシェンド感を出す奏法です。どんなフレーズでも応用できるので徐々に盛り上げたいときに使ってみてください!

 

ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!(8)

 

 

・Ex-4 カオティックな轟音ギター

 最後は、FX的カオティックなワウペダルの使い方です。ディレイとリバーブを深めにかけて歪んだギターをトレモロ奏法しながらワウをゆっくり開いたり閉じたりしていくことでこのようなサウンドを出すことができます。遠くで鳴り響く轟音ギターが欲しいときはこの使い方がドンピシャにハマると思います!

 

ワウペダルでグルーヴィーなカッティングからカオスなソロまで弾き倒そう!(9)

 

 

【まとめ】

 ワウペダルひとつ取っても、音色やフレーズによってさまざまな表現ができることに気づいてもらえたでしょうか? 今回紹介できませんでしたが、クリームの「White Room」的なギターソロでワウペダルを使うのも、アクセントが効いた一味違ったプレイになるので美味しいこと間違いなし! そのときはワウと一緒に口も「ワウワウ」動いてしまうくらい感情的、情熱的に弾き倒してギターヒーローになりきって下さいね!
 最後に、筆者が参考にしてきたワウペダルの名人ギタリストをいくつか挙げておきます! ワウペダルを身体の一部のように扱ってグルーヴィーなプレイからカオティックなプレイまで、思い切り楽しんでください!

 

~オススメギタリスト~

ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、ワー・ワー・ワトソン、スラッシュ、スティーヴ・ヴァイ、トム・モレロ、ジョン・フルシアンテ、松本孝弘、西川進、トム・ミッシュ、etc.(敬称略)

 


 

【著者プロフィール】

ビブラートをマスターして、ギターで表現豊かに歌おう!(7)

 

生本直毅(いくもと・なおき)

ギタリスト、作編曲家

高校卒業後、ヤマハ音楽院に入学し、ギターと音楽制作を学ぶ。ヤマハ音楽院卒業後、ギタリストの西川進氏のアシスタントとしてプロの現場を学んだのち、プロギタリストとして様々なアーティストのライブやレコーディングでサポート活動を始める現在に至る。
また、アレンジャー活動やアーティストへのギターレッスン、ギター雑誌への執筆など幅広く行っており、2014年にはギター教則本も出版。

Twitter:@Naoki_Ikumoto

 

 TOPへ 

 


 

Edit:mysoundマガジン編集部

 

 

【関連記事】

980×500_生本直毅.jpg

ギター初心者の“カベ”攻略法~エレキ編~【Go!Go! GUITAR プレイバック】

 

980×500_生本直毅.jpg

ギター初心者の“カベ”攻略法~アコギ編~【Go!Go! GUITAR プレイバック】