When Summer Comes/Charito

アルバム

When Summer Comes

Charito

2021/1/20リリース

9曲収録

1,834

再生時間:48分00秒 / コーデック:AAC(320Kbps)

ファイルサイズ:113.91 MB

■チャリートはフィリピンから来日以来,既に30年のキャリアを積み重ねてきたベテラン。1990年のCDデビューからこれまで一作ごとに特色あるコンセプトを打ち出し,共演陣もミシェル・ルグラン,ハービー・メイソン,イバン・リンスなど豪華な布陣で固めてきた。活動範囲も国内のみならずアジア欧米に広がりワールド・クラスの評価を得てきた。時とともに円熟していった彼女の魅力はかかって情感表現の巧さにある。ジャズ・ヴォーカルとは即ち人生の表現だ。本シリーズではチャリートのそんな魅力を満喫できる。人は喜怒哀楽の情と無縁ではいられない。文字上では喜怒は截然と区別される。しかし人の感情はそれほど単純ではない。喜びと怒りの間には,哀しみと楽しみの間には無限の濃淡があり,人間は揺れる情動のなかで一喜一憂する。ヴォーカリストはこの消息に通じ、歌意と自らの人生経験を照合させて作品を作っていかなければならない。チャリートに即して一例をあげる。彼女は2008年に先ごろ亡くなった大作曲家ミシェル・ルグランの作品集『ウォッチ・ホワット・ハプンズ』を作っている。この中の一曲<これからの人生>。初老に達した人物が,余生を共にするに足ると思われる異性に出会う。彼(女)は切々とこれから時間を共有したいと願う。彼の境遇を想像すれば,そこには孤独感がなければならない。そして孤独を癒したいとする願望。予期せぬ出会いと久方の恋への戦慄。老い先を考えれば躊躇もあるだろう。チャリートは心中に錯綜する感情を慎みと熱情を交差させながら歌っていく。歌詞には主人公の願望が綴られるだけで,恋の結末は歌い手の解釈と聴き手の想像に委ねられるのだが,チャリートのそれはほのかな光明をもって終わる。内心の葛藤の様をここまで切実に表現するのが彼女の力だ。「再発を機会にもう一度私の歌を知っていただきたいと思います。私のヒストリーと進化してきた私の歌を理解していただけると嬉しいです」この彼女の言葉のなかで重要なことは「ヒストリーと進化」だ。凡庸な歌手にあるのは時間の浪費と退化。人生と歌のはざまにあって多くの経験を歌に託する技を磨いてきたチャリートだからこそ言える言葉だ。「私はソング・スタイリスト,どんな歌をとりあげても,必ず自分のものにしていきます」とも言い切る。チャリートは8月23日に南仏プロヴァンスで開かれるルグラン追悼のジャズ祭に招かれている。リナ・ホーンやサラ・ボーンら大物シンガーと共演してきたルグランの眼鏡に適ったチャリート。彼女の実力はこの事実でも証明されていると言えるだろう。

収録曲

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