■無垢で静謐で、そして残酷な真冬の雪の白さ。ピアノを弾く侍・日食なつこのニューアルバムは彼女が創作活動をする上でもっともこだわりを持っているという緻密に練り込まれた歌詞の世界観を、よりストレートに表現することに専心して作り上げられている。ここ最近の定番となっている日食バンド編成による楽曲に加え、フィドル奏者、タップダンサー、日本やUKのトラックメイカー達と作り上げた一見ばらばらにも見える全13曲は、真冬の雪景色の中に続く一本道のようにコンセプチュアルである。岩手県花巻市という素朴な優しさと過酷さを併せ持つ風土に生まれ育った彼女だからこそ生み出せる深淵な詞世界は、優しさと同時に畏怖の念をも感じるイマジナリーな冬景色を作り上げている。
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