■研ぎ澄まされた感性が織り成す、どこまでも清らかで美しいサウンドスケープ。国産フォークトロニカの新しい指標となる傑作アルバムがここに。
今作品は作曲家、延近輝之によるファーストアルバム。まず一聴して分かる通り、この作品はとてもバラエティ豊かな楽曲群によって構成された非常に興味深い作品に仕上がっている。冒頭の環境音をアンビエンスとして効果的に使用した“pola“は、現代におけるアンビエントミュージックの象徴的な役割を担っているし、その後に続く“tiny fairy“や“in the park“は、これまでのschole作品が織り成してきた心象風景と呼応するような、とてもきめ細やかなタッチで颯爽と描かれている。また、ランダムに鳴る粒子の中を軽やかに踊る“piano bit“や、綿密にプロセッシングされたギターが心地良い“p2d“からは、延近の持つジャンルにとらわれない芳醇な豊かさを味わうことができるだろう。そしてなにより特筆すべきなのは、今作品のフィナーレへと続く“bagatelle no.1、reposer、nocturne“である。この最終楽章で聴かせてくれる延近の音楽に、もう余計な説明は一切必要ない。そこにあるのは、とても人に近いところの音楽。
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