前作「奇麗」より2年、待望の5thアルバム。女王蜂史上、最高傑作ともいわれる新作がついに完成
前作『奇麗』（2015年）から約2年のインターバルを経て発表された5枚目のアルバム。バンドの中心であるアヴちゃん（vo）の内部に存在する“少年性”をテーマにした本作は、フィクション／ノンフィクションが緻密に融合したコンセプチュアルな作品に仕上がっている。生まれ育った環境で過酷な体験をした少年“Q”が夢を抱えながら都会に出て、快楽的な恋愛やパーティに耽り、ときに身体を使った仕事にも関わりながら、どうにかして安らかな場所を見つけ出す――本作からあふれ出す濃密なストーリーはまちがいなく、アヴちゃん自身の人生と密接に関わっているはずだ。音楽性も大きく進化。女性ラッパーDAOKOをフィーチャーした極上のダンス・チューン「金星」、ギター、ピアノによるアレンジで歌の凄さを際立たせた「Q」、シンプルな4つ打ちと繊細なギター・フレーズが絡み合う「つづら折り」など、歌の世界観をしっかり支える豊かなサウンドメイクも本作の魅力だろう。（森 朋之）
