mysound SPECIAL INTERVIEW!! DYGL

mysound SPECIAL INTERVIEW!! DYGL

00年代初頭のR&Rリバイバルーーリバティーンズやストロークス、アークティック・モンキーズを思わせるギターバンドのかっこよさを持ち、当時のムーヴメントがリアルタイムではなかった世代にとっても世界のインディーミュージックと共振する東京のインディーロックとして人気を拡大中のDYGL(デイグロー)。今回、ニューヨークでなんとストロークスのアルバート・ハモンドJr、そして彼と共に数々のプロジェクトを手がけているガス・オバーグを迎えてレコーディングした1stフル・アルバム『Say Goodbye to Memory Den』を4月にリリース。ラフな勢いと洗練されたサウンドプロダクションが同居する傑作をものにしたDYGLが今回作成してくれたプレイリストのテーマは「車で聴きたい曲」。時代に関係なくいい曲をシェアしようとする彼らのメンタリティにも触れられるインタビューをお届けします。

NEW RELEASE

  • 『Say Goodbye to Memory Den』
    DYGL

    2017.4.19(水)Release
    HEC-004 / Hard Enough / ¥2,500(tax incl.)

INTERVIEW


  • Akiyama "ちゃんと相思相愛でできたというところは嬉しく思ってます"


    ――アップデートされたロックンロールが鳴っている傑作だと思います。これはDYGLとして本格的にやっていこうという気概の現れなのかなと。

    Nobuki Akiyama:そうですね。アルバム制作まで結成から4年以上かかりましたが、その分色々なことを試したり経験する時間が持てたことは自分たちにとって必要なことだったと思います。改めて今自分たちが一番やりたい音楽をアルバムにまとめることができて、満足しています。

    ――アルバート・ハモンドJrのプロデュースのいきさつは?

    Akiyama:自分たちの好きな作品を手がけているエンジニアの候補を挙げて何人かに連絡をしていたのですが、ひょんなことから別の繋がりでお世話になっていた方にその候補の中の一人だったガス・オバーグを偶然紹介してもらったことがきっかけでした。彼がアルバートと仕事をしていて「一緒にプロデュースしてあげられるよ」と。実際なんで僕らとの仕事を受けてくれたのかレコーディング後に本人たちに聞いてみたのですが、僕らの送ったデモ音源を聴いた上で楽曲が良いと思ったから仕事を受けた、曲が良くなかったら仕事は受けない、それだけだよと言ってくれて。音楽を通してちゃんと相思相愛でできたというところは嬉しく思っています。

    ――意外と言ったら失礼ですけど、熱いアルバムだと思いました。特に1曲目の"Come Together"は、今、世界がどんどん閉じて行く方向の中、「そんなことは関係ない」っていうメッセージを受け取りました。

    Akiyama:基本的に今回のアルバムの楽曲はもう少し時代性の関係ない、シンプルでタイムレスな感情を落とし込んでいる意識はありますが、"Come Together"に関して言えば、もう少しポストモダンみたいなところを意識して作った曲だったので、そう言ってもらえると面白いですね。ある時期から音楽なんかも繰り返し繰り返しだと考えられているようで、じゃあ60年代とも90年代とも違う2017年の自分たちは今どこにいるのか?という疑問にどう向き合うか。そこで敢えて"Come Together"という言葉を選んでみたつもりなんです。

    Yosuke Shimonaka:ボディブローを決められるアルバムになってたらいいなと思いますね。

    ――今、世の中的にギターが鳴ってるロックバンドはトレンドではなくなっていますが皆さん自身はどうですか?

    Shimonaka:ただ昔あったことを繰り返してるだけでもつまらないなと一方では思うので、どう新しい音楽を作っていけるかは自分たち的にはチャレンジだし、自分たちが新しいギターロックを作れたら一番かっこいいなと思ってます。

    ――ではプレイリストについてお聞きしていくんですが、「車で聴きたい曲」っていうテーマは誰から挙がってきたんですか?

    Shimonaka:僕からです(笑)。

    Akiyama:運転できるのはShimonakaだけなので(笑)

    Shimonaka "自分たちが「車で聴きたい曲」に選ばれるとしたらすごく嬉しい"


    ――じゃあテーマを決めたShimonakaさんからお聞きします。

    Shimonaka:ヤードバーズとブラックサバスは、完全にメタル好きからきてるんですけど、やっぱり車で聴くのはヘヴィなやつが好きなので。昨日ちょうどメタリカのインタビューで読んだんですけど、「車で聴けないアルバムはいいアルバムじゃない」って書いてたんで。そういう点で自分たちが「車で聴きたい曲」に選ばれるとしたらすごく嬉しいことなんですけど。

  • Stroll On/The Yardbirds
  • Iron Man (Live)/Black Sabbath
    Iron Man (Live)
    Black Sabbath

    • シングル
    • アルバム

  • ――似合うと思いますよ。ザ・スリルズについては?

    Shimonaka:ドライブ感のある曲っていうだけじゃなくて、曲の開放感、気持ち良さっていう点で、ザ・スリルズの"サンタクルーズ"はコーラスや歌声とかメロディとか、全てがドライブに対して完璧な曲だと思ってます。

  • サンタ・クルーズ (ユア・ナット・ザット・ファー)/スリルズ

  • ――確かに。それに運転する人は眠くなると困るし。

    Shimonaka:それが、Kachiくんがよくツアー中に車内でDJをしてくれるんですけど、眠らせにかかる曲が多くて(笑)。

    Yotaro Kachi:そんな意識は全然。僕が選ぶ曲がShimonakaくん曰く、必ずシンセのフワーッとした音が入ってるって(笑)。

    ――今回選んでくれた3曲は眠らせに行ってないですね。

    Kachi:これはちょっと気をつけました、眠くならないように(笑)。R.E.M.とダイナソーJr.に関してはギターの音がカラッとしてるイメージがあって、やっぱドライブってアップテンポでカラッとしたのが合いそうだなと思って。

  • レディオ・フリー・ヨーロッパ/R.E.M.

  • ――ティアーズ・フォー・フィアーズは?

    Kachi:PVが車でアメリカの広い道をドライブしてる映像で、あと、イントロの入りが完璧な曲だなと思って。ま、シンセなんですけど。

    一同:(笑)。

    ――Kamotoさんの選んでくれたゴリラズは?

    Kohei Kamoto:車で聴きたいっていうので勝手に夜のイメージをしてて、夜の高速とかのイメージなんですよね。そのイメージがこのゴリラズの曲だったのかなぁっていう、それだけなんですけど(笑)。

  • On Melancholy Hill/Gorillaz
    On Melancholy Hill
    Gorillaz

    • シングル
    • アルバム

  • ――Akiyamaさんの3曲は全部色が違いますね。

    Akiyama:最初にそのテーマで思いついたのがクラッシュの"スパニッシュボム"で、これはドライブしていて気持ちいいかなというシンプルな理由です。マイブラッディバレンタインの"Sometimes"は、僕らがツアーでLAに行った時に、一番仲良くなったウィットくんって子がよく車出して遊びに連れて行ってくれたりして。彼が大のシューゲイズ狂なんですけど、ある時彼が窓全開で爆音でこの曲を流し始めた時に、受けた一瞬で世界が開けるみたいな印象が忘れられなくて。実際にドライブ中に魅力を感じた曲として、この曲を選びました。

  • Spanish Bombs (Remastered)/ザ・クラッシュ

  • ――そして驚いたのが中島みゆきの"帰省"です。

    Akiyama:これも実体験で。DYGLとして大阪に初遠征したとき、移動は行き帰りとも夜行バスだったのですが、その帰りの夜行バスは全然寝れなくて。仕方がないのでずーっと外の景色を見ていたとき、アルバム『短編集』を聴き始めたのですが"帰省"が流れてきた時にちょうど窓の外を通り過ぎていく名古屋の工場や街並みが幻想的な夜景に見えて、明るいうちには色々なドラマが起きているその街が夜には静かに輝いているのが曲と合間って心に迫ってきて。人間というのは何処までも醜く愚かな存在だけれど、誰しも心のどこかにはこの夜景のような静かで正直な瞬間があるんだな、みたいな(笑)。

  • 帰省/中島みゆき
    帰省
    中島みゆき

    • シングル
    • アルバム

  • Shimonaka "前向きなバイブスが自分たちにあるのはいいことかなと思います"


    ――今回はドライブに似合う選曲でしたが、そういう意識はDYGLの曲作りにもありますか?今、ステレオの前で聴くことってあまりないじゃないですか。

    Akiyama:こういう聴き方を前提に曲を作るってことはないです。どんな場所で聴いてもらっても良い。一人で部屋で泣きながら拳をあげて聴いてもらっても、でかいスピーカーやカーステレオの前で友人たちとの楽しい時間の脇役に使ってもらっても。

    ――DYGLの音楽もみんなでシェアしたくなるタイプなのでは?

    Shimonaka:そういう前向きなバイブスが自分たちにあるのはいいことかなと思います。

    ――最後に今後のバンドの活動について聞かせてください。

    Akiyama:このアルバムを持ってツアーをしていくっていうのが今のプラン。できれば世界中何処へでも行きたい。今まで地盤を作ってきた国も、行ったことのない国も、全て興味あります。ただ、これから創作活動を続けていく上で腰を落ち着ける拠点は、何より自分たちがいい影響を受けられる場所にしたいですね。そのとき日本が面白いことになっていたら日本にいるかもしれないし、ニューヨークが面白いことになっていたらニューヨークにいるかもしれない。自分たちが学んでいく姿勢には、これからも貪欲でありたいです。

ORIGINAL PLAYLIST

DYGLの車で聴きたい楽曲プレイリスト

DISCOGRAPHY

PROFILE

DYGL(デイグロー)は2012年結成、Nobuki Akiyama(Vo,Gt.)、Yosuke Shimonaka(Gt.)、Yotaro Kachi(Ba.)、Kohei Kamoto(Dr.)の4人組バンド。2015年アメリカ滞在中、LAの注目レーベル〈Lolipop Records〉のスタジオでレコーディングを行い、荒々しくもエネルギッシュなロック・サウンドが詰まった初の全国流通盤EP『Don’t Know Where It Is』を2016年5月にリリース。同年夏、全国ツアーを成功させたバンドは、早くも2曲の新録音源を完成させ、2016年12月7inchレコード『Waste of Time』をリリースした。2017年2月18日(金)にはSHIBUYA WWWXにて、UKの注目バンドOnly Realを招いての2マンライブの開催が決定。2017年4月には待望となる1st Album『Say Goodbye to Memory Den』をリリースする。

アーティストページ

LIVE

■<DYGL x Only Real>
日程:2017年2月18日(土)
会場:Shibuya WWW X
時間:OPEN 18:00/START 19:00
料金: ADV ¥4,000(+1D)




詳細はオフィシャルサイトで

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