mysound SPECIAL INTERVIEW!! Nulbarich

mysound SPECIAL INTERVIEW!! Nulbarich

テーマに沿ってアーティストのお気に入りの楽曲を選んでもらうことで、その人のパーソナルな音楽体験を紐解いていくプレイリスト企画。今回はシンガーソングライターのJQを中心とするバンド、Nulbarichの登場です。
彼らのデビュー作『Guess Who?』は、ソウルやファンクを基調にしつつ、古今東西の音楽を豊かなタッチでブレンドした洒脱な雰囲気が印象的な1枚。今回は作曲/作詞を手掛け、ヴォーカルも担当するフロントマンのJQに、「好きなヴォーカリスト」をテーマに10曲選んでもらいました。









NEW RELEASE

  • アルバム/Guess Who?/Nulbarich
    Guess Who?
    Nulbarich

    唯一無二のグルーヴを奏でるポップ・ロック・バンド“グルーヴィスタ”1stアルバム

    • アルバム
    • 10曲収録

INTERVIEW


  • JQ"「これが僕らだ」ということが伝わるアルバムが出来た"


    ――デビュー・アルバム『Guess Who?』は、本格的に世の中に登場するタイミングにふさわしいタイトルになっていますね。このタイトルはどんな風に考えていったんですか?

    まったくその通りで、Nulbarichはまだ誰も知らない状態だと思いますし、「これが僕らだ」ということが伝わるアルバムが出来たんで、タイトルもそういうものにしたかったんです。今僕たちが「かっこいい」と思えるものを詰め込んだ、これまでのベストですね。

    ――リード曲の"NEW ERA"はファンクやソウルからの影響を感じさせつつも、サビはキャッチーでJ-POP的な魅力もあって、そのバランスが素晴らしいと思いました。JQさんのヴォーカルも、日本語と英語が自然に混ざり合うような雰囲気が魅力的ですね。

    色んな方に言っていただくんですけど、実はあまり意識していないんですよ。メロディを作るときはデタラメな英語を口ずさむことが多くて。その母音や守りたい雰囲気が残っているのかもしれないですね。ヴォーカル面では、耳当たりのよさは意識しています。

    ――「耳障りのよさを大切にする」というのは、自分たちの音楽の聴かれ方にも繋がる話ですか? たとえば、「日常のBGMとしても聴いてくれると嬉しい」というような。

    僕個人としてはその感覚ですね。僕が救われたり、思い出にしている曲は、自分の生活の中にたまたま流れていたものだったりするんです。たとえば初恋の女の子との思い出の曲が、その子と別れたら失恋の曲になるわけで、それがパーティー・チューンだという可能性もあると思うんですよ。その人の生活のどこに入り込むかで、曲の存在が変わると思うんです。

    ――今回はJQさんに「好きなヴォーカリスト」というテーマで10曲選んでもらいました。この曲を知ったきっかけや、ヴォーカリストとしてどんな魅力を感じるのかを教えてもらえますか? 1曲目はロビン・シックの"Lost Without U"です。

    僕はもともとファレルが好きなんで、ネプチューンズやN★E★R★Dも大好きで。トラックメイカーやプロデューサーとしても影響を受けているので、「ファレルと一緒にやってるなら絶対チェックでしょ」というところから入ったんです。

  • ロスト・ウィザウト・U/ロビン・シック

  • ――じゃあこの曲は、後追いで掘って見つけたものですか?

    今回選んだ曲はほとんどがそうですね。僕はもともとヒップホップが好きで、そこからフィーチャリング・アーティストを辿ることが多いんですよ。ロビン・シックは、僕にないダンディな声を持っていて、ポップに落とし込むのが上手い。シンガーって歌の上手さだけじゃなくて、声の個性やポップスに乗せたときの映え方も大事だと思うんです。次のディアンジェロも後追いで知った曲。00年代前半にヒップホップR&Bが流行って、その中でディアンジェロにも辿り着きました。それまでは、R&B自体あまり聴いてなかったんですよ。

  • Brown Sugar (Explicit)/ディアンジェロ

  • ――ソウル・クラシックも聴いていなかった感じですか?

    今は大好きですけど、当時はあまり好きじゃなかったかもしれないです。ディアンジェロはネオソウル系の中でも曲者ですよね。この人が曲を弾きながら歌っているライヴ映像を観たことがあって、ローズ系のピアノにハマったのは、それがきっかけだったと思います。次のエリカ・バドゥは、神ですね(笑)。"Honey"は名盤のレコードをサンプリングしたMVもめちゃくちゃ好きなんですよ。確か最初は、先輩からグールーと一緒にやっていた"Plenty"を聴かせてもらって衝撃を受けました。僕はあまり歌い上げないような、クールな感じの歌声が好きなんだと思います。


  • ――トラックと一緒になって魅力が増すタイプの歌声ですね。

    そうですね。自分の場合も、トラックがバック・ミュージックという認識はあまりなくて、トラックにつられて歌が変わったりするんです。"Spread Butter On My Bread" はまさにそうだし、"hometown"も最初はギターの弾き語りで、そこからトラックも歌も大きく変化しました。ミュージック・ソウルチャイルドの"Love"は、シンガーの友達がカヴァーしていて知った曲。

  • ラヴ/ミュージック・ソウルチャイルド

  • JQ"聴き継がれるような、普遍的な魅力を持ったアーティストが好きなんです。"


    ――はははは。

    次のブライアン・マックナイトは、スキルの神様ですね。今年、ライヴを観させてもらったんですけど、(ミュージシャンを)辞めようかと思うぐらい衝撃的でした。CDよりもクオリティが高いライヴだったんですよ。次のジャミロクワイは、色々なところで(「影響が感じられる」と)言われ過ぎるのでいれてみました(笑)。もちろん素敵なアーティストだし、バンド・メンバーもすごい人の集まりで、ジェイ・ケイのカリスマ性もすごいと思います。僕はリアルタイムでは聴いてないですが、その魅力を伝える人も沢山いましたよね。僕自身、そうやって聴き継がれるような、普遍的な魅力を持ったアーティストが好きなんです。

  • シュッダ、ウッダ、クッダ/ブライアン・マックナイト
  • Space Cowboy/Jamiroquai
    Space Cowboy
    Jamiroquai

    • シングル
    • アルバム

  • ――次のマーヴィン・ゲイはまさにそういうアーティストですね。

    そうですね。"Mercy Mercy Me"は、久保田利伸さんがライヴでカヴァーしていて知りました。マーヴィンの曲で最初に知ったのは"What's Going On"。中学の頃に路上で素人のおじさんが、「♪What's Going On~」「♪What's Going On~」(掛け合いを求める様子を再現してくれる)と弾き語っていたんです(笑)。マーヴィンは声も歌っていることも好きですね。ジョン・レジェンドは少し乾いていて、味がある声が好きです。意識してはないですが、歌いまわしはジョン・レジェンドから影響を受けたかもしれないと、今ちょっと思いました。そういえば、『Guess Who?』にも(ジョン・レジェンドの楽曲タイトルと同じ)"Everybody Knows"という曲がありますね。これもそういうことなのかな?(笑)。サム・スミスの"Stay With Me"も、この"Stay With You"にサビのメロディが似ていますよね。


  • ――ああ、確かにそうですね!

    アダム・レヴィーンは、マルーン5の"Sunday Morning"も名曲で、知っていたけど深くは聴いていなくて。でも、トラヴィー・マッコイの"Stereo Hearts"に参加していて興味を持ちました。僕はジム・クラス・ヒーローズのトラヴィーが大好きなんですよ。自分自身がスーパー内気なんで、「いるだけでカリスマ」みたいな人に惹かれるというか。最後のスティーヴィー・ワンダーも大好きなアーティストです。ブラック・ミュージックの人という認識がない状態で知って、それから色んなシンガーたちと出会っても、やっぱりスティーヴィーが一番かっこいい。曲もそうですし、シンガーとしても一番好きな人です。

  • ロスト・スターズ/アダム・レヴィーン

  • JQ"「今がやっとスタート地点なのかな」と思いますね。"


    ――今回挙げてもらったアーティストの中で、今見返してみると『Guess Who?』に影響を与えたと思えるようなアーティストはいると思いますか?

    特にこのアーティストというのはいないんですが、今まで聴いてきた音楽を僕なりに解釈してラフ・トラック作って、そこにメンバーがそれぞれの解釈を加えてくれたもので。
    このNulbarichは、全員10年ぐらい付き合いがある、僕が「組みたい」と思っていた人たちとのバンドなんです。それこそちょっと後輩だったり、「いつかあの人とやりたい」と思っていた人だったりするんで、僕のこともNulbarichというものも理解してくれていて。だから、僕が思っていることをさらにアップグレードして、「これがほしいんでしょ?」と返してくれるメンバーばかりなんですよ。


    ――そうした人々が集まったことで起きる化学反応のようなものも感じていますか?

    それは今まさに、ライヴで感じているところです。今は会話の中で「今度こういう曲を作ってみようよ」というものも出てきているんで、それに僕がどう影響を受けてどんな曲を作るかというのは自分自身楽しみですね。環境によって生まれてくる曲は変わると思うので。

    ――そもそも、JQさんが歌を始めたきっかけはどんなものだったんですか?

    きっかけは中学校ぐらいですね。その頃は自分の声が大嫌いで、目立ちたがり屋でもなかったんで、当時はドラムをやってたんですよ。で、ヴォーカルが欠員して、サポートでやってくれと言われたのが最初で。それまではピアノでメロディを弾いていたのに、そこから自分が曲を作るときにも歌を入れるようになって、作曲方法も変わりました。音楽を始めたのは4歳の頃に習いごとのひとつだったピアノがきっかけですね。その後小学校で吹奏楽部に入ったんですけど、そこは本当に厳しい、全国でも毎回優勝するようなところで。それから中学に入ってバンドを始めました。その後ヒップホップと出会って衝撃を受けたんですよ。

    ――そして今はバンドとしてデビュー・アルバムを完成させるまでになりました。昔の自分がこれを知ったら、どう思うでしょうね?

    でも、初めて「天下取ってやろう!」と思ったときの自分からすると、まだまだ「ショボっ」って感じだと思いますよ。そのときの予定では、今頃家に滝が流れてるはずだったんですよ、くだらない目標としては(笑)。「かっこいい音楽をやる」という意味では、「よく勉強したな」と思う部分もありますけど、やっぱりアーティストとしては、沢山の人に聴いてもらいたいので。「今がやっとスタート地点なのかな」と思いますね。

ORIGINAL PLAYLIST

好きなヴォーカルの楽曲プレイリスト

PROFILE

シンガーソングライターJQをリーダーとして結成されたバンドNulbarich。ソウル、ファンク、アシッド・ジャズなどのブラックミュージックをベースに、ポップス、ロックなどにもインスパイアされたサウンドは、国内外のフィールドで唯一無二のグルーヴを奏でる。

アーティストページ

LIVE

■SHIBUYA TSUTAYA presents
<Scramble Fes 2016>
日程:2016年11月5日(土)
会場:TSUTAYA O-EAST
時間:OPEN 13:00/START 14:00
料金:ADV ¥3,980


詳細はオフィシャルサイトで

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