mysound SPECIAL INTERVIEW!! おとぎ話

mysound SPECIAL INTERVIEW!! おとぎ話

アーティストや著名人にテーマに沿ったプレイリストを作ってもらうことで、その人のパーソナルな思い出や、音楽的なルーツを紐解いていく恒例のプレイリスト企画。今回は通算8作目『ISLAY』を10月26日(水)にリリースする4人組バンド、おとぎ話の登場です。 前作『CULTURE CLUB』に続いて〈felicity〉移籍後、第2弾となる『ISLAY』は、先行7インチ・リリースも好評だった"JEALOUS LOVE"や"セレナーデ"のほか、小松菜奈と菅田将暉が主演の映画『溺れるナイフ』に書き下ろした"めぐり逢えたら"のセルフカバーも収録。人懐っこいポップさとエッジ、不思議な深みが同時に押し寄せる、おとぎ話ならではの世界を広げています。今回はリリースを記念して、「秋の夜に聴きたい曲」を依頼。有馬和樹(Vo, G)と牛尾健太(G)の2人に、この季節ならではのフェイバリットを選んでもらいました!









New Release

INTERVIEW


  • L:牛尾健太(G)、R:有馬和樹(Vo, G)

    有馬"「ずっと聴けるアルバム」という意味を込めてつけました。"


    ――最新作『ISLAY』がいよいよリリースされますね。制作前、メンバー間で話し合ったアルバムの方向性などはありましたか。

    牛尾:話し合ったりはしないですけど、きっかけはありました。1曲目の"JEALOUS LOVE"が出来たときに、「次はこういう曲を作りたい」ということをメンバーやレーベルのボスと話したんですよ

    ――"JEALOUS LOVE"のどんな部分に魅力を感じたんですか?

    有馬:僕は最近のフェスでよくあるようなディスコっぽい曲が個人的に苦手で。だからこの曲は、全員で肩を組んでは踊れないディスコというか、リスナーが独り占めできるものを作ろうとした曲で。この曲が出来てからは、そのまま曲が揃った感じです。前作『CULTURE CLUB』を出すときに、30曲ぐらいデモがあったんですよ。そこから前作に入れたものもあれば、"セレナーデ"や"蒼い影"のように今回入れたものもあって、"めぐり逢えたら"や"JEALOUS LOVE""夜明けのバラード"のような新曲が加わってアルバムになったと。タイトルの『ISLAY』は、シングルモルトのスコッチウィスキーが造られている島の名前です(インナー・ヘブリディーズ諸島にあるアイラ島)。年月が経てば経つほど熟成するウィスキーのように、「ずっと聴けるアルバム」という意味を込めてつけました。

    ――今回はそのリリース・タイミングでの取材ということで、「秋の夜に聴きたい曲」というテーマで5曲ずつ選んでもらいました。そもそも2人にとって秋のイメージというと?

    有馬:過ごしやすい(笑)。

    牛尾:今回秋をテーマに選んでみると、アコースティックっぽいものが集まりました。俺は夏が好きなんで、それが終わった後の寂しい感じが出たのかもしれない。ひとりでたそがれたりね。

    有馬:そういう季節だよね。まぁ、自分の場合、もともと切ない曲しか聴かないんですよ。ロックンロールとかも大好きですが、基本的によく分かんないんですよね。おとぎ話はガレージ系のバンドとも一緒にやることが多いけど、僕らだけちょっと異質というか。

    ――ああ、その雰囲気はよく分かるような気がします。では、選んだ曲にまつわる思い出や、選んだ理由、曲に感じる魅力をそれぞれ教えてください。有馬さんの1曲目は、プリンスの『Sign 'O' the Times』収録曲"Starfish And Coffee"ですね。

    有馬:実はプリンスと誕生日と血液型が一緒なんですよ。それで中学の頃に聴いたら最初は声とか気味悪くて、「こいつと同じ誕生日はまじできついな」って(笑)。でも、大学に入って"Starfish And Coffee"を聴いたら、この曲はゴスペルっぽくてよくて、そこからどっぷりはまりました。次のサザンの"Ya Ya(あの時代を忘れない)"は、子供の頃から聴いてた曲。横浜のはずれの出身なんで、みんなサザンが好きなんですよ。この曲は小4~5ぐらいのときに買ってもらった『バラッド '77~'82』に入っていて、コードがGなんで、「いい曲を作ろうと思ったらGを使う」という、自分のキーになった曲。歌詞では「better days」という大学のサークル時代のことを歌っていて、僕らも大学で結成したバンドなんで、そこを重ねられるのも秋っぽいですね。

  • Starfish and Coffee/Prince
    Starfish and Coffee
    Prince

    • シングル
    • アルバム
  • Ya Ya(あの時代を忘れない)/サザンオールスターズ
    Ya Ya(あの時代を忘れない)
    サザンオールスターズ

    • シングル
    • アルバム
    • 着うた®
    • 着メロ

  • ――フィオナ・アップルはどうですか?

    有馬:この曲はめっちゃ暗いけど、ライヴ前にみんなが盛り上がっててうるさいとき、ひとりで聴いたりします。来日公演も行ったし、性別は違うけど自分と同じことを歌っている感じもして好きですね。俺は頭がよすぎて世の中に迎合できる人より、こういう人の方が好きなんですよ。次のテレヴィジョンはセカンド『Adventure』の曲。この曲は理屈抜きに「秋っぽい」。そもそも、アルバムが秋っぽいですよね。高3のときにラジオで""Friction"を聴いて「すげえ」と思って、大学に入ってからセカンドを買いました。次のヴェルヴェッツのサードも秋って感じですね。NYのバンドって、枯れてる感じが秋っぽいのかもしれない。ソニック・ユースの『Murray Street』も同じ理由で好きだし。

  • Days (Remastered)/Television
    Days (Remastered)
    Television

    • シングル
    • アルバム

  • 牛尾"ロックンロール的な流れのギターはザ・バンドからの影響が大きいですね。"


    ―― 一方牛尾さんの1曲目は、スミスの "There Is A Light That Never Goes Out"です。

    牛尾:この曲は美しいですよね。スミスを知ったのは結構遅くて、大学ぐらいでした。最初は「なんだこいつら。ダサいな」って感じだったけど、いつしか好きになって、今では髪型も・・・。

    有馬:アゴも・・・。

    牛尾:全部いとおしい(笑)。大人になるにつれてどんどん好きになるというか、ファーストの『The Smiths』もめちゃくちゃ好きになりました。次のザ・バンドは、一番最初に浮かんだ曲。ジャケも海辺で焚き火してて、まさに秋のイメージですね。「5人が集まると最高だけど、メンバーそれぞれもすごい」という感じが好きだし、もともとはディランのバック・バンドだったという成り立ちも面白い。それが音にも出てると思うんですよ。

  • There Is a Light That Never Goes Out (2011 Remaster)/ザ・スミス
  • おんぼろ人生/The Band
    おんぼろ人生
    The Band

    • シングル
    • アルバム

  • 有馬:僕らはバック・バンドもやったりしてるんで、「今の時代のザ・バンドみたいだ」って言われると嬉しいよね。牛尾はギターのトーンも意識してると思うし。

    牛尾:ロックンロール的な流れのギターはザ・バンドからの影響が大きいですね。次のジョー・ウォルシュは、秋というより夏の終わり。イーグルスのときとソロとではイメージが違って、これは自分の理想形に近い。力が抜けてて自然体だし、仲間内でワイワイやってるけどにじみ出る哀愁があるというか。次のヴァン・モリソンは・・・ザ・バンド経由で知りました。(ザ・バンドの解散コンサートを収めた)『The Last Waltz』で、ぷくぷくの小っさいおっちゃんが出てきて、これを歌って最後足を上げて帰っていって。「何こいつ、かっこいい・・・!」みたいな(笑)。俺はこの曲が入ってるアルバム(『Moondance』)自体が好きなんです。そして、最後の"Rockin' Chair"は、昔のものが続いたんで最近のものを選ぼうと思ったら、オアシスになって。

    有馬:全然最近じゃない(笑)。

    牛尾:でも秋っぽいと思うんですよ。あいつらってすぐにエレキでジャーン!ってやりがちですけど、この曲は"Wonderwall"みたいにスロウなナンバーじゃないのに、全部アコースティックで珍しい。オアシスってオラオラ系なのに、結構こういういい曲があるんですよね。

  • Second Hand Store/ジョー・ウォルシュ
  • Caravan (2013 Remaster)/Van Morrison
  • ロッキンチェアー/Oasis
    ロッキンチェアー
    Oasis

    • シングル
    • アルバム

  • ――おとぎ話の新作『ISLAY』の中で、秋に似合う曲を挙げるなら?

    有馬:"蒼い影"じゃないですか?この曲は哀愁しかないし、個人的なテーマとして『あしたのジョー』みたいに倒れた男の背中を歌うつもりで作ったんで、絶対これですね。まぁ、僕らの曲ってもともと秋っぽいと思うんですよ。似てるバンドがなかなかいない。最近は「この曲はここがこうで」と曲を分析して作るバンドも多くて、それはそれですごいと思いますけど、僕はそういうこともしないですし。

    ――今のおとぎ話が曲作りで大切にしているのはどんなことですか?

    有馬:バンドって違う人間の集まりじゃないですか。なのに最初は自分のやりたいようにやろうとして、それでうまくいかなくて、レーベルも転々として。でも、〈felicity〉に来てからの2枚は、作り方が変わりました。4人ともやりたいことを自由にやって、それを俺が交通整備すれば、誰も思いもしないようなバンドになる。だから、今はみんなが何を思っているのかを聞くのが楽しいし、それがバンドだな、ということにようやく気づいた感じですね。

    牛尾:俺は基本的に、歌が聞こえてリズムがよければ、あとは自分が楽しむだけですけどね。でも確かに、4人でひとつのものを作るために、それぞれが妥協する瞬間も出てきたというか。

    ――昔より、メンバーの多様性を認めるようになったということですか。

    有馬:まぁ、上手く言えばそうです。だから、今はバンドとしてこれまでで一番楽になったというか。少なくとも、レコーディングはどんどん自然体で出来るようになってきてますね。





ORIGINAL PLAYLIST

秋の夜に聴きたいプレイリスト

DISCOGRAPHY

PROFILE

2000年に有馬とベースみたいな顔の風間くんが出会いバンドおとぎ話を結成。 旅の途中、右手にBOSSのエフェクターを持って佇んでた牛尾くんと、 りんごの星で野球帽をかぶった前越くんが仲間入り。 つまり 同じ大学で出会った男子4人組のバンド。 それが「おとぎ話」である。

アーティストページ

LIVE

■おとぎ話ニューアルバム「ISLAY」リリースパーティ
<New Moon,New Moon~ドラマとドラマ~>
日程:2016年11月15日(火)
会場:渋谷WWW
時間:OPEN 18:15/START 19:00
料金:ADV ¥3,300/DOOR ¥3,800


■おとぎ話ワンマンGIG
<夕暮れ時のおとぎ話>
日程:2016年11月3日(土)
会場:京都ネガポジ
時間:OPEN 17:30/START 18:00
料金:ADV ¥3,300/DOOR ¥3,800


詳細はオフィシャルサイトで

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