mysound SPECIAL INTERVIEW!! fox capture plan

mysound SPECIAL INTERVIEW!! fox capture plan

ジャズをベースとしつつも、そのジャンルレスかつ洗練されたサウンドで、幅広い層の音楽リスナーから支持を得ているインストゥルメンタルバンド、fox capture plan。バンドにとって初のヴォーカル曲を含む最新作『透明色のクルージング』をリリースし、更に、<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>や<東京JAZZ>などの大規模な音楽フェスへの出演も決定するなど、益々、その注目度と存在感を増しています。

今回は、岸本亮(Piano)、カワイヒデヒロ(Ba)、井上司(Dr)のお三方に、自身の、そしてバンドのルーツとなった楽曲をそれぞれ3曲ずつ選び、全9曲のプレイリストを作っていただきました。メンバーそれぞれの個性があらわれた“ルーツ”についてエピソードを聞きつつ、最新作について、そして、夏から始まるイベントラッシュについてなど、様々なお話を聞いてみました。









NEW RELEASE

INTERVIEW



  • 井上"結果的に良いものができるのかが大事"


    ――最新作『透明色のクルージング』には、元riddim saunterのKeishi Tanakaさんが参加されています。この曲が生まれた経緯を教えていただけますか?

    岸本:もう、一年以上前の話になるのですが、Keishi君の"傘を持たない君と音楽を"という曲を、fox capture planでリミックスしたんです。僕自身も凄くriddim saunterが好きで、Keishi君がソロで活動しているのも知っていたので、リミックスの話をいただいた時は、「やります!」って二つ返事でやらせていただきました。去年の夏頃にはライヴでの共演もありまして、そこで、僕達がアレンジしたバージョンを彼が歌ったりして、そこから同年代なので一緒にやりましょう、アルバムを作りましょうと進んでいったんです。

    ――メンバー以外のクリエイターが参加したことで、バンドにとって何か化学反応はありましたか?

    岸本:そうですね。曲を作った人間が違うというのは、結構、新しい試みではありましたね。今回は、曲作りをKeishi君発進で行ったので、fox capture planらしさも勿論、出ていると思うんですけど、何か楽曲として新たな一面を引き出してもらったなぁ、という気はしますね。

    ――今回いただいたプレイリストを見ていてもそうですが、ジャズやロックといったジャンルにこだわらない、凄くボーダレスな音楽活動をされていますよね。

    井上:カテゴライズというものがあまり好きじゃないんです。何でも聴きますし。僕は、元々、活動もロック畑の人間だったので、fox capture planでも所謂「ジャズバンド」のスタイルとは全然違っているんです。例えば、打点が強かったりとか。だから、ジャンルとかは・・・結果的に良いものができるのかが大事というぐらいにしか意識していないですね。

    カワイ:僕も、ジャンルはあまり意識しないで、メロディとかが良ければいいいかな、と思っています。

    ――洋楽の名曲を中心に、カヴァー曲も多く手掛けられていますね。それらをコンパイルした『COVERMIND』というアルバムもリリースされています。よろしければ、オススメのカヴァー曲を教えていただけますか?

    岸本:最初に順々に出していったんですよね。デビューミニからファースト、セカンドといった具合に。最初のミニアルバムでビョークをやって、ファーストアルバムでオアシスの曲を選んで、セカンドアルバムにはマッシヴ・アタックが入って、サードアルバムではレディオヘッドをカヴァーしました。その最初の4つはお店のスタッフさんやメディアのリアクションも凄く良かったんですよ。インストゥルメンタルでも楽曲としての成立感が凄いし、メロディが強い曲です。

    井上:絶対にインストのバンドでカヴァーする人なんていないだろうと思われるトゥールの"Stinkfist"をオススメしたいですね。自分はトゥールが大好きで、その中から選んだ曲なので。

    岸本:他にも、企画盤でのディズニーのカヴァーや、ジャズのスタンダード曲でもある"Adam's Apple"(ミニアルバム『UNDERGROUND』収録)とか。カヴァーも割合的に多い方なんですが、それも自分たちの曲だけではなく、そうじゃない曲もやって、バンドとしての広がりも出るかな、と思ってやっています。それも自分たちの書くオリジナル曲に、オリジナリティーがあるというか自信があるからこそ、そういった遊び心を持ってやってきた感じですね。

    ――今後、カヴァーしていきたい楽曲はありますか?

    岸本:今、ちょっと考えているのは、ゼロ年代の名曲を色々とやってみたいということですね。

    井上:2000年代だとエモ系が盛り上がっていたので、メロディが光る曲もあって、そういうのもおもしろそうですよね。ジミー・イート・ワールドとか。もう、誰が聞いても即、歌えるぐらいの唄メロなので。

    カワイ:僕は、あまりカヴァー曲の案は出してないんですよ。どっちかというと、2人が洋楽の選曲をしていて。でも、音源化されてないカヴァーだとゲーム音楽とかですかね。ファイナルファンタジーの"ビッグブリッヂの死闘"なんかは、5月22日の新木場スタジオコースト<Sing Your Song!! 2016> で演奏したら好評で、「音源化しないの?」なんて声もいただきました。

    ――そんなお三方に、今回は、ご自身のルーツというテーマで、3曲ずつ曲を選んでいただきました。先ずは、カワイさんの1曲目。バート・バカラックの"Alfie"です。

    カワイ:今回選んだ3曲で共通して言えるのは、メロディが良いということですね。バート・バカラックは凄く好きで、迷った挙句この曲にしました。"Alfie"は、様々なアレンジをされていているのですが、やっぱりメロディがシッカリしているから、どんなアレンジでも映えるんだなと思わされた1曲というか。演奏する側にとっては、元々の素材が良いのでどう料理するのか腕の見せ所になるような曲だと思うんです。僕自身もライヴ用にアレンジしたんですが、改めてこの曲は凄いなと。

  • アルフィー/バート・バカラック

  • ――続いては、ジャズから1曲という感じでしょうか?

    カワイ:そうですね。ジャズを始めたぐらいの時に、元々はクインシー・ジョーンズのカヴァーで知ったんですが、その後に原曲を聴いて、そちらの方が好きになりました。この曲は、ハービー・ハンコックが普通の4ビートのジャズから抜け出そうとチャレンジしていた頃の楽曲だと思うんです。ファンクとか色々なリズムを取り入れようとしていた時代の目新しい楽曲なんですよね。

  • Tell Me a Bedtime Story/Herbie Hancock

  • ――3曲目は、歌モノでスティービー・ワンダーです。

    カワイ:これは、隠れた名曲です。コード自体は凄くシンプルなんですけど、ずっと聴いていられるというか落ち着く曲調というか。でも、これを歌えている人ってなかなかいなんですよね、カヴァーとかでも。転調も3、4回するので。これをちゃんと歌いきれる人に会ってみたいですよね。


  • ――この3曲は、お幾つぐらいの頃に聴かれていたんですか?

    カワイ:確か音楽を始めて、色々聴き漁っていた20歳前後の頃ですね "Alfie"は、バート・バカラックがオーケストラを率いてインストで演奏しているバージョンがあるんですけど、そのアレンジが凄くて、今後に活かせる気して、ずっと聴いていた記憶がありますね。

    ――お次は、井上さんお願いします。カワイさんのリストとは一転して、ヘヴィな楽曲が並びました。

    井上:15、6歳ぐらいの時に、最初にバンドをやろう、ドラムをやろうと思った頃に聴いていた3曲ですね。たまたま家のBS放送で、海外の音楽番組を観ていたら、ニルヴァーナが出ていて、この曲をやっていたんです。それを観て自分はドラムが一番カッコ良いと思って、そこでドラムに出会いました。完全にデイヴ・グロールがきっかけですね。それまでは、バンドとか別に興味はなかったんですが、この曲を聴いて始まったというか。まさに、自分の原点ですね。

  • スメルズ・ライク・ティーン・スピリット/Nirvana

  • ――次もヘヴィなアルバムです。

    井上:モトリー・クルーのトミー・リーも、デイヴ・グロールと同時期ぐらいに大好きになりました。この曲が収録されているアルバムは、唯一ヴォーカリストが違うんです。ファンの間では、かなり賛否両論がある作品なんですけど、断トツでヘヴィな音作りで、僕は、ドラムのグルーヴとかもメチャクチャ好きで、凄く聴いたんです。この曲は、ドラムのフレーズがあまりにもカッコ良すぎて、今でも全然よく聴くんですよ。全然、モトリー・クルーっぽくないんですけど、ヘヴィで燃えるアルバムだと思います。


  • 最後に選んだ1曲はmysoundの音源はライブバージョンなんですけど、元々は、『Total 13』というバックヤード・ベイビーズの日本でのデビュー盤に収録されていた曲なんです。『Total 13』は、バンドとして凄く衝撃的な音で、もう狂ったように聴きまくったアルバムなんですが、特に、この"Look At You"という曲が凄く好きだったので選んでみました。3曲とも完全にロックなヤツを選んだんですけど・・・。


  • ――カワイさんの選曲との間に、コントラストが強く出ていますよね。

    井上:全然、違う(笑)。

    カワイ:言われてみれば、ベースがカッコ良いとかで1曲も選んでいないな(笑)。

    岸本"エスビョルン・スヴェンソンはバンドのルーツ"


    ――ラストは、岸本さんお願いします。

    岸本:僕は、全然違う3つをセレクトしようと思って、この3つにしました。ロック・キーボディストというのがバンドをやろうと思ったきっかけなんですよね。ディープ・パープルのジョン・ロードとかキース・エマーソンとか、日本だとSOPHIAの都(啓一)さんとか。ドリーム・シアターは、中学生の頃に、洋楽に詳しい友達が「これ、聴いてみ」って言って、この曲が入っているアルバムを持ってきて、それで好きになりました。ギターとかメチャクチャにヘヴィなサウンドの上で、キーボードが主役級の活躍をする。そのメカニカルなフレーズが凄くカッコ良くて、鍵盤楽器が入ったロックの中でも、この曲は、かなり構築された名曲だと思いますね。オルガンとかシンセサイザーとか関係なく、こういう花形の楽器になりえるんだという。

  • 6:00/Dream Theater
    6:00
    Dream Theater

    • シングル
    • アルバム

  • 坂本さんの楽曲をセレクトしたのは、元々ピアノをやっていて "戦場のメリークリスマス"などを弾いていて。坂本龍一さんの曲って、やっぱり曲が素晴らしいので弾きたくなるんですよ。この曲も中学生の頃に知って、当時は"ウラBTTB"が大ヒットしたりしていて、イージーリスニングのイメージで捉えられている方も多いのかもしれないんですけど、やっぱり"千のナイフ"を聴いた時が一番衝撃的だったんですね。楽曲そのもののインパクトで坂本龍一さんのイメージが変わりました。坂本龍一さんは、最も尊敬する作曲家と言っても過言ではない。一番好きな、衝撃を受けた曲です。

  • サウザント・ナイブス(2016 リマスター)/坂本龍一

  • ――そして、3曲目に選んでいただいたのが、スウェーデンのジャズトリオ、エスビョルン・スヴェンソンの曲です。

    岸本:ピアニストのエスビョルン・スヴェンソンは、もう亡くなられていますが、その最後の来日が『tuesday wonderland』をリリースした時の日本公演だったんです。それを観に行って、ある種、エスビョルン・スヴェンソンの完成形というか。『tuesday wonderland』は今回セレクトした楽曲と同タイトルのアルバムなんですが、これを聴いて、ジャズとかそういう域を超えているなという風に感じたんですよ。プログレの要素も感じられたり、トランペットとかサックスが入っているような王道の編成のジャズバンドでは表現できない3人の対等な関係というか。fox capture planを結成する時のヒントになったというか、ドラムのアプローチとか、ベースのサウンドとか、まさにルーツだな、と。ピアノトリオの自由さとか、編成の美しさを凄く感じた曲です。


  • ――夏から秋にかけて、ビッグイベントが続きます。先ずは、目前に迫った<フジロック>での見どころなど教えていただけますか?

    井上:まだ、現時点ではセットリストも決まってないんですけど、MVを観ていただければ十分、予習はできるかな、と(笑)。

    岸本:やっぱり、フィールド・オブ・ヘブンのトップバッターということで、自分たちならこの曲だな、というのが今後決まってきて、それがセットリストになっていくと思います。例えばですけど、都会的な夜の匂いのする曲とかは入らないかもしれないですね。

    井上:僕は、2010年にレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下、レッチリ)が来た時に、<フジロック>に初めて行って、その時にレッチリを最前の方で観たんです。レッチリの前が電気グルーヴで、その時は凄く雨が降っていて、山登りとかもしないので勝手が分からなくて、普通の格好で参加していたんですよ。なので、あまりの寒さに、レッチリ見ずに帰りたいってずっと思っていて、でも、レッチリのステージが始まった瞬間に雨が止んで。

    岸本:スゲー!

    井上:その時、自分を連れていってくれた先輩がレッチリを観ながら、「お前、ここに出られるから!」みたいな話をしてくれたのが凄く印象に残っていて、そこから更に、10年経って、20周年でレッチリが来て、そこに参加できるというのが感慨深くて。

    ――それは、とても良い話ですね。フィールド・オブ・ヘブンの開放的なシチュエーションとしてもバンドに合っていると思います。

    カワイ:僕は、あまりフェスに参加をしない人間なので、客としても楽しみではあります(笑)。
    トップバッターなので、演奏が終わったらゆっくり飲みながら、他のアーティストを観れるな、みたいな。


    ――その後には、<東京JAZZ>もあります。客層なんかも違ってくるかと思うのですが、何か特別に意識することはありますか?

    井上:そこも自然体でいつもの僕らを観て欲しいという感じです。

    カワイ:逆に、考え過ぎちゃうと飲まれそうな気もしますし。

    岸本:<東京JAZZ>だとグランドピアノがあって、屋根があるホールなので、着る衣装なんかは、それなりにフォーマルな感じになるかもですね。

    井上:見た目の差みたいな(笑)。

    岸本:あんまり考え過ぎてもアレなんで、いつも通りに行きたいですね。






ORIGINAL PLAYLIST

for capture planのルーツとなった楽曲プレイリスト

DISCOGRAPHY

PROFILE

現代版ジャズロックをコンセプトに、それぞれ違う個性を持つバンドで活動する3人が集まり2011年結成。ジャズピアノトリオの編成を軸にポストロック、ドラムンベース、ダブステップなどの要素を取り込んだ新感覚な楽曲が特徴。2012年10月、タワーレコード限定ミニアルバム「FLEXIBLE」でデビュー。2013年12月にリリースした2ndアルバム『BRIDGE』が、JAZZ JAPAN AWARD2013アルバムオブザイヤーニュースター部門、CDショップ大賞2014部門賞ジャズ賞の2つの賞を獲得。ドラマ(TBS系『ヤメゴク』)の劇中音楽、CM(ASICS A77)、東京モーターショー(トヨタ プリウス)など多方面への楽曲提供も行う。
2015年はアルバムを3枚リリースし、トルツメに活動中。

アーティストページ

LIVE

■新爵醒世代 New Jazz Generation - Fox Capture Plan First Live in Taiwan
日程:2016年7月15日(金)
会場:Legacy Taipei Taiwan
時間:OPEN 18:30/START 19:30
料金:ADV 900元/DOOR 1,200元

■HandMade In Japan Fes 2016
日程:2016年7月23日(土)
会場:東京ビッグサイト東1・2・3ホール
時間:OPEN 11:00
料金:ADV ¥1,200/DOOR ¥1,500


■FUJI ROCK FESTIVAL 2016
日程:2016年7月24日(日)
会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場
時間:OPEN 9:00/START 11:00
料金:¥19,000(1日券)


■WORLD BEER SUMMIT 2016
日程:2016年8月5日(金)
会場:愛知県 名古屋市久屋大通公園 久屋広場
時間:START 16:00
料金:※観覧無料。


■TOKYO MUSIC CRUISE
日程:2016年8月12日(金)
会場:ザ・プリンスタワー東京
時間:OPEN 16:00/START 17:00
料金:¥10,000


■Survive Said The Prophet presents MAGIC HOUR 2016
日程:2016年8月26日(金)
会場:下北沢 SHELTER
時間:OPEN 19:00/START 19:30
料金:ADV ¥2500/DOOR ¥3000


■とやまJAZZ ~東京JAZZ CIRCUIT
日程:2016年8月30日(火)
会場:富山県民会館・ホール
時間:OPEN 18:30/START 19:00
料金:ADV ¥7500/DOOR ¥8000


■第15回東京JAZZ-the HALL夜公演-
日程:2016年9月4日(日)
会場:東京国際フォーラム ホールA
時間:OPEN 16:30/START 17:30
料金: ¥18,600


詳細はオフィシャルサイトで

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