mysound SPECIAL INTERVIEW!! DE DE MOUSE
今回はそんなDE DE MOUSEに、最新のオリジナルアルバム『farewell holiday!』を含む、デビューからこれまでに発表してきた楽曲に対し、「曲を作る時やタイトルを付ける時にイメージした10曲」をセレクトしていただきました。意外な楽曲たちから「この楽曲が関係しているの!?」との想像できない結びつきを知れば、独自の活動を展開し続けるDE DE MOUSEの、さらなる魅力に気付くこと間違いなしです!そして、まだ開催されるか未定だという『farewell holiday!』リリースパーティの秘話までお伺いしました。
NEW RELEASE
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New Album
『farewell holiday!』
DE DE MOUSE
2015.12.02 Release
NOT0011 / ¥2,200 (税抜)
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- 11曲収録
INTERVIEW
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"バックミュージックとして聴いている音楽が、とても刺激的に聴こえ始めたんです"
――『farewell holiday!』はこれまでのオリジナルアルバムと違い、"空想や想像の物語のような"作品だと感じましたが、リリースをするまでの3年間で心境の変化などはありましたか?
この3年間はやりたいことをやってきましたね。11年に独立してからは、自分のやりたいことをやりたくて、それまで僕に対して求められてきたものは、あえてやらないようにしていたんです。「DE DE MOUSEに求められている音楽とは」ということは考えずに、「自分の音楽はメロディが軸だ」と思って作ったのが前作『sky was dark』でしたが、作りあげた時に自分の可能性の扉、よりインナースペースな部分を開いてしまった節があったんです。その頃は、プラネタリウムでのライブなど、自分のやりたいことを広げていましたが、エレクトロやEDMブームも来ていて、僕はこの流行りのダンスミュージックに対して、アンチテーゼとして活動していた部分もありました。それに、元から好きだったクラシック、ディズニーやジブリのような、みんなが何気なくバックミュージックとして聴いている音楽が、とても刺激的に聴こえ始めたんです。これらは音楽的に紐解いていくと、しっかりと構成ができているんですよね。このEDMブームの流れの中で、現在のダンスミュージックに対して反旗を翻すDJや楽曲を作る人が絶対に出てくると思っていたので、「僕が極端に行き切ってしまったものを先にやらなくては」という気持ちがあり、結局3年かかりましたが「早く出さないと誰かがやってしまう」と、内心はすごく焦っていました(笑)。
――『farewell holiday!』には、様々なテーマやコンセプトが含まれ、幻想的なエレクトロのメロディが際立つアルバムですが、聴いていると小説や映画の世界に飛び込んでいくような感覚になりました。このように感じさせられるのは、音楽イベントの枠を飛び越えた活動を重ねることで生まれたのでしょうか?
僕自身の芯はあって、使っている楽器をシンセサイザーからオーケストラにしただけで大きな変化は感じていないですよ。様々な場所でよく話をしていますが、僕は東京の郊外が好きなんです。3月には<SXSW(サウスバイサウスウエスト)>出演のために、アメリカのテキサス州オースティンへ行きましたが、どこの州に行っても変わらないチェーンストアが並んでいそうな、郊外を思い浮かばせる景色が広がっていて、とても気に入りました。そこで、「ここに住んだら僕の音楽はどうなるんだろう?」ということも考えましたね。僕は音楽を作る時に重要視している部分があって、子供の頃の思い出や何かしらの景色が思い浮かばないような音楽は途中で作るのをやめてボツにしてしまうんです。僕の音楽を聴いた時には見ている景色がいつもと違う風に見えたり、いままで気付かなかった小さな発見をしたり、心や生活への余裕を持てるような、元気を少しでも分けてあげられるものへと繋がっていれば嬉しいなと、いつも思っています。
――今回のプレイリストでは、"曲を作る時やタイトルを付ける時にイメージした10曲"をセレクトしていただきましたが、意外なリストなので、どこにそのイメージがあるのかと、すでにワクワクしています。
「曲ができる時にインスパイアされている曲とは?」というテーマは謎解きみたいで面白いかなと思いセレクトしました。インスパイアされている曲から、実際に出てくるものは全然違うものになっていたりするんですよ。それと、僕はちょっとした細かい仕掛けが好きなので、曲のタイトルにもオマージュが多いんです。『A journey to freedom』は、スクエアプッシャーの大好きな"A Journey To Reedham"のオマージュとして付けました。
――このセレクトからの謎解きは楽しみですね。まずはバグルスの名曲"ラジオスターの悲劇"から、続けてそれぞれセレクトした背景を教えてください。 -
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オーディオマニアの父親がFMのエアチェックしたものを、カテゴリー分けしてプレイリストみたいなものを作っていたので、そこから勝手に拝借して色々と聴いていました。バグルスはそのカセットテープの中のひとつに入っていました。CDで聴きたくて購入したら、ライナーノーツに、「ラジオスターの悲劇は聴くとほっとする、楽しい感じのピアノのイントロから始まって・・・」こんなことが書いてありましたが・・・当時の僕にはまったく楽しく聴こえなかったんです。それでも、カセットでカットされていたアウトロをCDでしっかりと聴いた時に、ずっと聴いていられるほど好きになりました。このアウトロのような曲を作りたいとインスパイアされて"baby's star jam"が生まれました。 -
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父親のカセットに入っていた"Border Line"をCDで聴きたくて、『バーニング・アップ』を購入したら、収録されていた"Holiday"も気に入ったんです。ベースラインがとても特徴的で、ポップ感や80'sらしさを感じることもできる。「こんな曲を作りたい」と、ヒントを得たのがライブで盛り上がる"dancing horse on my notes"です。"Holiday"はコード進行が解りやすいので、"dancing horse on my notes"もベースラインをシンプルにしています。 -
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『銀河鉄道999』を好きになったきっかけはダフトパンクの『Discovery』からです。受験勉強中にアニメの再放送を見ていた時には特に興味をひかれなかったのですが、"One more time"などアニメーションクリップを松本零士さんが手がけていて、ミーハーなので(笑)、そこでアンテナにひっかかりました。それから『銀河鉄道999』を買って読み始めたら、宇宙ファンタジーが素敵だと思うようになり、宮沢賢治などと文学の方へのめりこんでいったんですよね。僕のファーストアルバム『tide of stars』を作り終えた時のイメージは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の世界で、「もし、カンパネルラをジョバンニが連れて帰ろうと思ったらどうなるんだろう?」という青春感や少年感がベースですが、その真後ろにあったのが『銀河鉄道999』。哲郎はメーテルが好きで旅についていき、少年から大人になっていく。「自分が欲しいものは絶対に手放さないぞ!」ここに青春の泣けるポイントがあります。"555 is in your heart"は、ふたりが作中で乗らない列車に乗車して旅をすることがテーマで、"the galactic nervous boy"は、哲郎やジョバンニを連想させるSFな部分を、僕自身のインナースペースへと変換させているんです。想い入れのある映画の主題歌がゴダイゴさんですし、これを聴いてなかったら『tide of stars』は違うタイトルになっていたかもしれませんね。 -
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彼らはアルバムやコンセプト、ライブの演出等、どれもポップアート的なセンスが抜群に良いですよね。曲もシンプルなのに気の利いた曲を作っていたので、僕もそういう曲が作ることができればいいなと思い、"east end girl"は、あきらかにペットショップボーイズを意識して、アンサーソング的なタイトルを付けました。 -
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『east end girl EP』に収録している、自身もとても大好きな楽曲"boy around the world"を作る時にインスパイアされたのが、"Never Ending Story"です。"boy around the world"では、病弱な少年が一夜だけ空を飛ぶ夢を叶えてもらうということがテーマ。その裏側に、『Never Ending Story』のファルコンで空を飛ぶ少年のイメージもあります。 -
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学生時代に、皆さんもご存知のJR東海のCMで知りました。ジョン・コルトレーンのアルバムを購入したら、この曲が収録されてて"私のお気に入り"だと知りました。それまではジョンのオリジナルだと勘違いしていて、18才の時に『サウンド・オブ・ミュージック』を見た時に、初めてこっちがオリジナルだと知りました。作中でトラップ大佐が子供たちの歌にコーラスで参加するシーンで泣いてしまって・・・それからとても好きになり、サントラも購入しました。『A journey to freedom』収録の"My favorite swing"は、春のようなワクワクするものと、やはりオマージュ要素が欲しいと思っていた時に、"My favorite things"が浮かんできたのと、Swingはシャッフルよりも楽しさという風に捉えていたので、このタイトルにしたんです。 -
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T.M.Networkが好きで音楽を始めたという一面もありますが、中高生時代だとCDは高いもので小室さんのソロまではなかなか攻められなくて、しっかりと聴き始めたのは大人になってからなんです。2008年頃によく『Digitalian is eating breakfast』を聴いていて、ぼくの『A journey to freedom』の収録曲、"sweet gravity" を制作していた時、タイトルをLove(愛)という言葉を使わずにラブソングっぽい感じにしたいって考えていたんです。その時『Digitalian~』に収録の"Gravity Of Love"がふと頭をよぎって、「甘い重力ってなんかなんかバブリーでいいな」と思い、タイトルを付けました。 -
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"『farewell holiday!』を作るきっかけのひとつに、
僕自身の軽音楽を作ってみたいという気持ちがありました"
――ここからの2曲は特に意外でしたね。
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『sky was dark』を制作していた時期は、まだ外部からの「DE DE MOUSEはこういうアーティスト」という印象に対して、消化ができない辛い時期で・・・純粋に「DE DE MOUSEの音楽をやりたい!」という気持ちが強くありました。"アローン・アゲイン"は「結局ひとりか」などと、寂しいというより重い内容ですが、その象徴的な部分にインスパイアされたんですよね。『sky was dark』の"my alone again"のタイトルは、ほぼそのままですが、これは僕の"アローン・アゲイン"なんです。アルバム制作に、曲のタイトルや楽曲、すべてにインスパイアされています。 -
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ルロイ・アンダーソンは、運動会やクリスマスシーズンに、必ず耳にしたことがある曲ばかりですが、みんなが知らない作曲家。これらの楽曲は軽音楽で、軽音楽といえば当時のポップミュージックですよね。『farewell holiday!』を作るきっかけのひとつに、僕自身の軽音楽を作ってみたいという気持ちがありました。ダンスミュージックはシンセの音やメロディ、キック等、「この音でしか成り立たない!」ようなものが多いですが、それを取っ払って、「一度音符に置き換えて、演奏してもDE DE MOUSEの音になるものをやろう!」という想いで作りました。もうひとつは「すり込み」です。ファンの人も、お子さんを持つ年齢の方が増えてきたので、お子さんと一緒に聴いて欲しいという気持ちも出てきました。この曲たちを、大人になって聴いてみたら「クリスマスを思い出す」そういう音楽を作りたかったんです。それと、「もし子供が歌っている童謡が収録されている簡素なアレンジの児童向けCDを、フィル・スペクターがプロデュースしたら」という裏テーマもありました。やはり、根底にあるのは軽音楽なので、その中でもみんなが知っている曲と言ったら"ソリ滑り"かな。と思いセレクトしたんです。
――"イン・ザ・ムード"はリストを見た時に初めて聴く曲だな。と思って聴いたら・・・。
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絶対に聴いたことありますよね!レッドロブスターのCMにも使われていましたし。実は『farewell holiday!』の最初の完成パーティは、レッドロブスターでやろうと思って、連絡もしていたんですよ。最後に収録されている"bloomy chorus"は、転調してからのストリングスのメロディを跳ねる感じで作っていたら、みんなでパーティをしながらロブスターを割っているイメージが湧いてきたんです。完成後にスタッフたちにも伝えたら、みんな笑いながら「確かにレッドロブスターだ!」という雰囲気になり「レッドロブスターでパーティしたい!」という話しをしたら、試み的にも面白そうだとさらに盛り上がりました。が、マネージャーには頑なに拒ばれました(笑)。それでも現場の熱意に押されて連絡をしてくれましたが、スピーカー以前の問題でイベントができる環境ではなかったんです。さらに「プラネタリウムやリキッドルームでのリリパに、3月のアメリカの準備もあるのに、レッドロブスターのリリパ実現までは抱えきれないよ!というか無理!」ともマネージャーに言われました・・・けど、僕は諦めていないです(笑)! -
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――レッドロブスターでリリパをしたいという話に変わってしまいましたね(笑)!
"イン・ザ・ムード"と"bloomy chorus"は曲としては全然違いますけど、ワクワク感は伝わると思います!『farewell holiday!』はテーマパークやフェアグラウンドミュージック、カートゥーンミュージックというオールディーズサウンドといった多面的に捉えられるアルバムでもありますが、コアなテーマにはルロイ・アンダーソンやグレン・ミラーのように、パーティをする時に聴きたくなるという部分もあるんですよ。
――今回のセレクトは繋がりが想像できない楽曲ばかりでしたが、『farewell holiday!』も含め、これまでの楽曲も改めて聴き直したくなりますね。それと、お父さまが作ったカセットのプレイリストから出会った楽曲が多かったという印象もうけましたが、影響などはありま
父親のプレイリストから、自分が好きなものへ紐づいて購入した80~90'sのポップミュージックは自分のベースのひとつかもしれませんね。僕は小さな頃に体験したことで印象に残っているイメージや子供の頃に見た映画や自分が住んできた街の中にあるファンタジーなど、そういうものを形にすることがデビューした時からのテーマなので、今もやっていることは変わっていないんです。
ORIGINAL PLAYLIST
DE DE MOUSEが“楽曲制作で影響を受けた”プレイリスト
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text&interview by Mako Masaya
photo by Kohichi Ogasahara
取材協力:CIRCUS Tokyo
DISCOGRAPHY
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- 11曲収録
PROFILE
遠藤大介によるソロプロジェクト。作曲家、編曲家、プロデューサー、キーボーディスト、DJ。また、自身の曲のプログラミングやミックス、映像もこなす。
織り重なり合う、計算しつくされたメロディと再構築された「歌」としてのカットアップサンプリングボイス。流麗に進む和音構成と相交わりから聞こえてくるのは煌びやかで影のある誰にも真似出来ない極上のポップソング。沁み渡るような郊外と夜の世界の美しい響きから感じる不思議な浮遊感と孤独感は、多くのクリエイターにインスピレーションを与えている。
ライブスタイルの振れ幅も広く、ツインドラムで構成されリズムの高揚感を体現するDE DE MOUSE + Drumrollsや、縦横無尽に飛び回るDJスタイル、即興とセッションで繰り広げるDE DE MOUSE + his drumner名義に、映像を喚起させるDE DE MOUSE + Soundandvisions名義など、多種多様のステージングを展開。 FUJI ROCK FESTIVALやTAICOCLUB、RISING SUN ROCK FESTIVAL、GREENROOM FESTIVALにSonarSound Tokyoなど多くのフェスティバルにも出演、イギリスやフランス、ドイツなど海外遠征も盛んに行っている。
近年では実験的な試みを体現する主催イベント"not"や即日完売が恒例となっているプラネタリウムを舞台にした演奏会や、盆踊りイベント等、音楽イベントを飛び越えた活動も始め、イベントの演出やその完成度が、各方面から多くの注目を受ける。また、ファッションやアニメ、ゲームなど他ジャンルからの支持も強く、作品、グッズ、イベントに至る全てのプロデュースを手がけると共にファッションブランド等とのコラボレーションワークも数多く行なっている。
2012年に〈not records〉を始動。2015年6月~7月にはレーベル3周年として『youth 99』『milkyway drive』の2枚のEPを発売。そして12月2日に、ジャケットイラストに『ファイナルファンタジーXII』や『タクティクスオウガ』のキャラクターデザインを手掛け、DE DE MOUSE 3rdアルバム『A journey to freedom』を手掛けた吉田明彦氏と再びタッグを組んだ
3年ぶり5枚目のオリジナルフルアルバム『farewell holiday!』をリリース。今作では本編収録楽曲のremix / リアレンジ音源等をパッケージ付属のDLカード上にて発表していくという新しい形のアルバムプロジェクトを敢行!
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