【前編】この夏はどこに行く?ABSとSTUTS選ぶ“旅で聴きたい”10曲


天才MPCプレイヤーにして、国内外から高い評価を受ける屈指のビートメーカー、STUTS。そして類まれなるソングライターとしての才能、ラテン、ソウル、ファンク、フォーク、ロックなどを独自にブレンドした折衷主義的でユニークな音楽性で注目を集めるシンガーソングライター、Alfred Beach Sandal。共作やライブでの共演を重ね、プライベートでも親交のあるふたりが、ついにABS+STUTS名義での正式作品『ABS+STUTS』を完成させました!

STUTSが叩き出す躍動感溢れるビートに、Alfred Beach Sandalの文学性とメロディが重なる本作は、ふたりの個性が高度に混ざり合った極上のポップ・ミュージックに仕上がっています。ceroの荒内佑、ミツメのnakayaan、大比良瑞希など豪華ゲストの参加も聴きどころ!

今回はそんなふたりに「旅で聴きたい曲」をテーマにプレイリストを作って頂き、前編後編の2回に分けてインタビューをお届けします。前編ではまず、2人の出会いや新作『ABS+STUTS』の制作エピソードについて、そしてSTUTSさんが選んだプレイリストをご覧いただきましょう!

STUTS“移動が本作のテーマになっている”


—おふたりの作品上の出会いは2015年の「Soulfood」(Alfred Beach Sandal『Honeymoon』収録)が最初で、その後、作品はもちろん、ライブでも幾度となく共演してきましたが、最初の出会いはどういうものだったのですか?

Alfred Beach Sandal:
「Soulfood」を発表する前の年くらいに、イベントで知り合って、話したり、遊んだりするようになったのがはじまりだと思います。STUTSのライブがすごくかっこよかったので。で、仲良くなって、一緒に家でセッションするようになって、ノリも合うし、一緒にやったら面白いものができそうだなって。そんな遊びのセッションの延長から生まれたのが「Soulfood」です。

—STUTSさんはAlfred Beach Sandalさんにどういう印象をお持ちでしたか?

STUTS:
まず心に刺さる声だなっていうのが第一印象。あと声はポップなんだけど、音楽性がとてもマニアックなところを攻めているので、そのバランス感覚が面白いなと思っていました。変拍子を使ったり、展開も普通じゃないと思うんですけど、でも最終的にはポップなものに仕上がっているというか。

—逆にAlfred Beach Sandalから見たSTUTSさんの面白さ、独自性ってどんなところでしょうか?

Alfred Beach Sandal:
ただのビートメーカーというより、演奏する人というか、プレーヤーっぽい感覚があるのが面白いです。あとバックボーンは思いっきりヒップホップだと思うんですけど、他にもポップなものだったり、とても幅広いセンスを持っているところですね。

—同世代的な感覚だったり、音楽性だったり、お互いに共通していると感じるところはどういうところですか?

STUTS:
グルーヴの感覚だと思います。

Alfred Beach Sandal:そうだね。そこはもはや言葉がなくても通じる。最初から合っているから、話す必要もないというか。

—好きなジャンルやアーティストとかも共通しているんですか?

Alfred Beach Sandal:
いやたぶん一部だと思います。A Tribe Called QuestD'AngeloJay Dee、あと最近だとThundercatの新譜とかは共通して好きだけど、あとは結構それぞれかな。

STUTS:そうですね。あとソウルやファンクだと共通する部分がありますけど、ジャズだとまったく好みが違うと思います(笑)。

Alfred Beach Sandal:そうだね(笑)。

—新作『ABS+STUTS』を聴かせていただいて、ある日のはじまりから終わりというか、最初から最後までがひとつの流れになっているというか、そんな印象を受けたのですが、テーマのようなものはあったんでしょうか?

Alfred Beach Sandal:
まさにそうなんですけど、作ってる途中でそういう話になりました。なんかそういう感じっぽいねって(笑)。

STUTS:あと結果的にですけど、“移動”が本作のテーマになっているのかなという話はしました。

Alfred Beach Sandal:そうだね。旅ほど大袈裟なものではなくて、もっとライトに、外に出かける感じというか。街を歩きながら景色が流れていく感じだったり。

—制作はどういう感じでおこなっているんですか?

Alfred Beach Sandal:
前半の3曲に関しては最初にSTUTSがビートを作って、そこに僕がメロディや歌詞を乗せていきました。構成なんかはふたりで話し合って決めていく感じです。

STUTS:後半はセッションで作りました。ビーサンさん(Alfred Beach Sandal)が弾いたギターをサンプリングして作ったり、もっとバンドっぽいアプローチで作りましたね。

Alfred Beach Sandal:「Quiet Blue」という曲は、僕らのセッションしたトラックのデモにあわせて思い出野郎Aチームに演奏してもらって、それをSTUTSがさらにサンプリングして作っていったので、まさに後者のアプローチで作った曲ですね。

—ふたりでやることの面白さってどういうところでしょうか?

STUTS:
やはりひとりでは絶対にできないアイディアやサウンドが生まれるところですね。ひとりでは絶対に『ABS+STUTS』は作れないと思います。いいものができたと思うので、ぜひ多くの人に聴いて貰えたら嬉しいです。

STUTS“どこか知らない場所に移動しているというイメージ”


—さあ、ここでプレイリストについても触れていきたいと思います。おふたりが決めたテーマは「旅で聴きたい曲」ということですが、今回、どうしてこのテーマに?

Alfred Beach Sandal:
さっきSTUTSが言っていたように、今回のアルバムのムードがちょっと旅っぽいなと思っていたので、そこから連想しました。

—なるほど。では、まずはSTUTSさんのリストからいきましょう。1曲目に選んでくださったのは、Bob Jamesの「Take Me to the Mardi Gras」ですね。

STUTS:
はい。ヒップホップのリスナーには、サンプリングの定番ネタとしても有名な曲です。あくまでフィーリングなんですけど、僕の中でこの曲には“どこか知らない場所に移動しているというイメージ”があって。旅をする時の気分にぴったりなんです。

—ちなみに、山方面、海方面どちら方面の旅行に向いてそうでしょうか?

STUTS:
僕的には山です(笑)。ゆっくり電車で。

  • —次はNasの「Cherry Wine feat. Amy Winehouse」ですね。

    STUTS:
    この曲は旅の終わりのイメージです。旅を振り返りながら、名残惜しさを感じつつ、「いい旅だったな~」って回想する時に聴きます。これは海外旅行向きです。

    —具体的なシチュエーションがあるんですね(笑)。

    STUTS:
    そういう曲じゃないかもしれませんが、勝手に感情移入して聴いてます。僕的には旅の終盤の曲という感じ(笑)。

  • —次はガラッとムードが変わりますね。いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリーの「バイ・バイ・ジェット」です。

    STUTS:
    はい。この曲は歌詞の内容も「空港」と「別れ」という鉄板の設定になっていて、まんまと旅情を掻き立てられます。「空港」という舞台がやはり強烈に旅を感じさせますよね。詳しくないですけど、この時代のシティ・ポップ的なものは好きですね。この曲のドライな音像とか、すごくお洒落だなと思います。

  • —次も定番曲、Shuggie Otisの「Aht Uh Mi Hed」です。

    STUTS:
    大好きな曲です。ポップでメロウで、スモーキーなグルーヴも最高だし、ビートもかっこいいし、単純に大好きな曲です。

  • —最後は荒井由実さんによる1975年の名曲「COBALT HOUR」。これは夜から朝に変わるちょうど間の時間帯、星が残る濃いブルー(コバルト)の空の下、海に向かって高速道路を車を疾走するという設定もロマンティックなドライブの曲です。

    STUTS:
    最高ですね。まさに歌詞の世界観の通りで、海にドライブに行くときにぴったりです。夜の終わりの時間帯という、なんともロマンティックな設定も素敵だと思います。明け方の空、高速道路、海とシーンがはっきり見えてくるというか。

  • —今回のSTUTSさんのリストをご覧になって、Alfred Beach Sandalさん的にどうですか?

    Alfred Beach Sandal:
    らしいですね(笑)。

ORIGINAL PLAYLIST

NEW RELEASE

Alfred Beach Sandal + STUTS『ABS+STUTS』
2017.06.21(水)Release
    • ABS+STUTS/Alfred Beach Sandal + STUTS

      アルバム

      ABS+STUTS
      Alfred Beach Sandal + STUTS

      1,234

DISCOGRAPHY

PROFILE

STUTS
1989年生まれのトラックメーカー/MPC Player。2013年2月、ニューヨーク・ハーレム地区の路上でMPCライブを敢行。オーディエンスが踊り出す動画をYouTubeで公開して話題になる。MPC Playerとして都内を中心にライブ活動を行う傍ら、ジャンルを問わず様々なアーティストよりトラック制作、リミックスの依頼を受けるようになる。2016年4月、縁のあるアーティストをゲストに迎えて制作した1stアルバム『Pushin’』を発表し、大きな反響を呼んだ。 現在、国内外でのライブ活動を中心に、楽曲プロデュース、CM音楽制作を行いながら、新しい作品制作に没頭している。
STUTS アーティストページ

Alfred Beach Sandal
2009年に北里彰久(Vo, Gt)のフリーフォームなソロユニットとして活動開始。ロックやラテン、ブラックミュージックなど、雑多なジャンルをデタラメにコラージュした上に無理矢理ABS印のシールを貼りつけたような唯一無二の音楽性で、真面目に暮らしている。
Alfred Beach Sandal アーティストページ

LIVE

■“ABS+STUTS” Release One Man Show
日程:2017年07月16日(日)
会場:Wall & Wall
時間:OPEN 18:30/START 19:30
料金:ADV ¥3,000/DOOR ¥4,000

日程:2017年08月05日(土)
会場:新栄Live & Lounge Vio
時間:OPEN 19:00/START 19:00
料金:ADV ¥3,000/DOOR ¥3,500

日程:2017年09月01日(金)
会場:福岡KIETH FLACK
時間:OPEN 19:00/CLOSE 3:00
料金:ADV ¥2,500(150枚限定)/DOOR ¥3,000

日程:2017年09月03日(日)
会場:熊本bar Abyss
時間:OPEN 19:00/CLOSE 24:00
料金:ADV ¥2,500(150枚限定)/DOOR ¥3,000

詳細はオフィシャルサイトで


Interview&Text:加藤 直宏
Photo:山口 真由子

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