「Arduino(アルデュイーノ)」で電子楽器作りにチャレンジ 第1回

まずは“LEDを光らせる”というミニマムゴールを決める


アイディア1つで、まったく新たな電子楽器が作れる。その可能性を担保してくれるのがみなさんのお手を拝借。電子楽器を自作してみませんか?でも紹介したマイコンボードの「Arduino(アルデュイーノ)」です。

全3回で、「Arduino」を使った電子楽器作りを追っていきます。第1回目の今回は、「Arduinoをはじめようキット」(スイッチサイエンス)を用いて、LEDというパーツを光らせるところまでを解説します。

「楽器じゃないじゃん!」とお思いの方もいるでしょう。そのご意見は、確かにそうです。でも「Arduino」でどんなことができるのか、そのベーシック部分を実践して習うのにLEDを光らせるまでの手順はもっとも簡単。「LEDを光らせる」という結果を、「スピーカーなどから音を出す」「MIDI信号に変換してシンセサイザーなどに送る」とすれば、ほら、電子楽器の気配が感じ取れますよね。

実はギター好きだった中西さん。なぜ電子楽器の道に?


もともと日本大学芸術学部の情報音楽コースで音楽を学び、現在はサウンド・デザイナー、楽器デザイナー、そして同学部の講師としても活躍されている中西宣人さん。学生だった当時は音楽と心理学の関係性や音楽ビジネスなどの授業があったそうですが、ジャズ好きでギターをプレイしていた中西さんは、ジャズバーでセッションばかりしていたそうです。でも独特のスノッブなノリに疑問を抱き、もっとまっさらな状態でアイディアを出し合えるセッション空間ができないかと、自作電子音楽の道に入りました。

「シンセサイザーのインターフェースは鍵盤のものが多いですよね。生楽器の発想のなかで電子楽器が生かされているというのがあるので、それがなくなってもいいかなと思ったんですよ。また新しい楽器ができれば音楽の形も変わりますし、その逆もありますよね。でも最近は、そういう楽器側からのカウンターがないので、オリジナリティある楽器から新しい音楽カルチャーが生まれてくるといいかなと考えています。

だからこそ“演奏できるものに仕上げる”ことに気をかけています。

技術ベースで考えてしまうと危険なんですよ。なんでも音を出せばいいじゃん、と言う発想で作ったものだと、だいたい途中で演奏にならなくて挫折しがちです。なので、自分で演奏ができるレベル、表現できるレベルの楽器を作ってくださいと生徒には伝えています」


ジャズセッションのときの経験からか「見ている人が演奏を理解できるものに仕上げるのも大事」とのこと。なるほど!

「Arduinoをはじめようキット」に含まれているパーツのみを使う

では授業に入りましょう。今回行う過程を動画でごらんください。


Arduinoにはいくつかの種類があります。いずれもCPUやメモリ、各種センサーなどと接続するためのコネクタなどが組み合わさった、マザーボードというべき作りになっています。このボード単体では電子楽器などを作ることはできません。そこで、Arduinoを使った電子回路作りがしやすいように各種パーツがセットになった「Arduinoをはじめようキット」などの製品が売られています。本企画では、スイッチサイエンスというハードウェアショップの製品を使って、作業を進めます。


こちらが「Arduinoをはじめようキット」です。小さい箱のなかに、多くのパーツが入っていますね。


左にあるのがArduinoの基板です。具体的にはArduino Uno R3という製品になります。右にあるのがブレッドボードと呼ばれるパーツです。LEDや抵抗、小さいスイッチ(タクトスイッチ)などを挿しこんで使える、試作・実験用の基板です。

電子回路は本来、基板とパーツをハンダで接合させる必要がありますが、ブレッドボードを使うことで強固に固定する必要がなくなります。抜き挿し自由だからちょっとくらい間違えてもやり直ししやすいんですよ。


上図の緑色で示すように、ブレッドボードの中身は、列ごとに通電するように設計されています。同じ列にジャンパワイヤを複数挿したり、他の列を跨いだりして回路を作っていきます。


電線みたいなのが出てきました。これはArduinoとブレッドボード、またはブレッドボードのなかでの配線に使うジャンパワイヤです。いろいろな長さ、堅さが揃っています。


抵抗、LEDなどが入った小袋と、パソコンとArduinoを接続するためのUSBケーブルです。今回はこれらのパーツを使って作業します。


LEDは光らせることができる電圧が決まっています。その電圧をコントロールするために、抵抗を合わせて使います。ここで必要な知識は、昔、学校で習ったオームの法則です。

今回は「Arduinoをはじめようキット」に入っている270Ω抵抗(赤紫茶金の線が入った抵抗)と、赤いLEDを使いましょう。


ブレッドボードとArduinoをジャンパワイヤでつなぎます。


まず、Arduinoの13番ピンに赤いジャンパワイヤを挿し、反対側をブレッドボードの縦1列目・横F列目に挿します。赤いジャンパワイヤを挿したところの隣、縦1列目・横G列目に270Ω抵抗を挿します。抵抗の向きはどちらでもかまいません。そして反対側は縦5列目・横G列目に挿します。

抵抗の反対側の足が挿さっている列にLEDの足の長い方を挿します。ここでは縦5列目・横H列目となっています。短い方は縦6列目・横H列目に挿し、最後にArduinoのGNDピンと縦6列目・横F列目を黒いジャンパワイヤで結びます。


ジャンパワイヤはまっすぐ挿し込むようにしましょう。また抜くときも、真上にまっすぐと抜くようにしましょう。


LEDを光らせるための電源ラインとなる+と-のジャンパワイヤを接続したら、ArduinoとパソコンをUSBケーブルで接続します。


Arduinoにプログラム(Arduinoの世界では、プログラムのことをスケッチと呼びますが、ここでは“プログラム”と呼称します)を書き込むためのアプリ「Arduino IDE」は、公式サイトからダウンロードできます。パソコンのOSに合わせて「Arduino IDE」を入手して実行してください。

「Arduino IDE」のツールメニューから「Arduino/Genuino Uno」を選択します。この画面はMacとWindowsで異なるので注意が必要です。※ここではMacを使用しています。


ファイルメニューからサンプルのプログラムを呼び出します。ここではLEDを点滅させるための「Blink」を選びました。そして「マイコンボードに書き込み」ボタンをクリックします。




ブレッドボード上のLEDを見ると、光っています! 成功です!

「Arduino」は、あらかじめたくさんのサンプルプログラムが用意されているので、簡単な回路であれば初心者でもすぐに始めることができるのが特徴です。

次回は、「音を出す」という次のゴールを目指します。ただし、「Arduinoをはじめようキット」に付属しているパーツでは足りない領域に踏み込みます。他のパーツも必要になりますが、頑張ってついてきてくださいね!


監修:中西 宣人 yoshihito-nakanishi.com
Text:武者 良太
Video:Tea Kato
Photo:Great The Kabukicho
Edit:仲田 舞衣

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