みなさんのお手を拝借。電子楽器を自作してみませんか?

電子楽器を自分でカンタンに作れる時代、到来!?

難しそうに思えるでしょう。でも、その気になればオリジナルの電子楽器が作れる時代なのです!

電子楽器といっても様々なスタイルのプロダクトがあります。黒鍵白鍵が並ぶキーボード型、パッドを並べたドラム型、管楽器型もギター型もあります。でも強引な言い方をすればアーキテクチャは一緒。鳴らす音階を定める鍵盤やパッドや弦というスイッチの形状が異なるけれども、スイッチの先には音のデータが入ったメモリ領域と、スイッチがどうかを見極めてスピーカーに音のデータを送り込む頭脳となるCPUなどで構成されています。

CPUとかメモリとかわかんない!という声が聞こえてきました。ですよね。Googleに「CPU」と入力して画像検索すると四角いゲジゲジのようなパーツがでてきて、コイツをどのように活用していいかわかる人はそういません。ヘタに触ったら壊れてしまいそうだし、第六感が「近寄っちゃいけない」とささやくはずです。

それでも、その気になればオリジナルの電子楽器が作れる時代なのです。

小さいマイコンボード「Arduino(アルデュイーノ)」がキーとなる

ブログやネットニュースなどで「Arduino」という文字を見たことはないでしょうか。これはCPUを初めとした各種パーツが1カ所にあつまっているマイクロコンピューターボードです。コンピューターやロボット設計の勉強が低価格で行えることから、技術系の学生やエンジニアが飛びつき、いままでに様々な作品が作られました。その一部を見てみましょう。

顔写真から人物絵をスケッチするドローイングマシーン

ロボットアームの先に備え付けられたペンを紙に押しつけ、顔写真から検出した輪郭を描いていきます。このように、「Arduino」はロボットの頭脳として使うことができるのです。他にも掃除機ロボットのように平面をまんべんなく動き回るロボットや、二足歩行ロボットの頭脳としても活用されています。

Androidマシンとして動くスマートウォッチ

Apple Watchほどの性能はありませんが、Android OSを使って簡単なアプリを実行できるスマートウォッチを作った方もいます。「Arduino」の基板とディスプレイを、大型とはいえ腕時計として使えるケースに組み込んでいる、実は難易度の高いチャレンジです。

他にもYouTubeで「Arduino robot」、「Arduino hobby」といった文字で検索すると、世界中の方々が作った様々な作品を見ることができます。

その上で「Arduino music」の文字で検索してみてください。どうですか? 次のような作品が出てきませんか?

加速度センサーエフェクターが入ったギター「Arduino Guitar」

エレキギターの内部に「Arduino」とセンサーなどを組み込んでいます。「Arduino」にはエフェクターのプログラム(「Arduino」の世界ではスケッチと呼びます。以下スケッチと表記します)をインストールしているようで、ギターの向きによって音が大きく変化。ステージ映えするでしょうねこれは。

リアルに音が鳴らせるエアドラム「Arduino Air Drums」

サンダルと縄跳びのグリップにセンサーを組み込んだのでしょう。足踏みするとキックドラムの音が鳴り、グリップを振るとスネアドラムとハイハットの音が鳴る。ドラムセットのように大きな機材は必要なし。細かな表現は難しいように感じますが、デメリットを補うほどのインパクトがありませんか?

コーラの空き缶を鍵盤代わりにしたサンプラー「Coke Piano and Launchpad made with Arduino」

こちらはコーラの空き缶にセンサーを組み込んだ作品です。缶に触れるとセットされている音が鳴る仕組みです。面白いのが動画の最後! 缶に入っている液体をストローで吸うと音が鳴るんですよ!

自由度の高い電子楽器が作れる「Arduino」

あえて、従来の楽器やエフェクターの形状を求めていない作品を紹介しました。「Arduino Guitar」はフットペダルではなくギター本体にエフェクターを組み込み、機能性を高めていますし、「Arduino Air Drums」と「Coke Piano and Launchpad made with Arduino」は“これを楽器といえるのか”という感情を抱くかもしれません。違和感があるかもしれません。

でもいままでの電子楽器を振り返ってみましょう。ミニ鍵盤を使ったもの、四角いパッドを整列させたもの、リボンに触れると音階が変わるものなど、アコースティックな楽器の形状をピュアなままに再現するのではなく、時代の移り変わりとともに新たなユーザーインターフェースを組み込んできました。ヤマハがリリースしたTENORI-ONも、新しい楽器のカタチを模索したものといえるでしょう。


音を鳴らすためのスイッチはアイディア次第でなんでもOK。どのようなセンサーをスイッチとして使えるのかという知識と、「Arduino」にインストールするスケッチの知識が必要になりますが、このインタラクティブアートともいえる自由度の高さを楽しめるのが、「Arduino」を使った自作電子楽器の面白さとなります。

おっと、“インストールするスケッチの知識”で引いてしまった方もいるかもしれませんね。大丈夫です。「Arduino」のスケッチは様々なものが無料で公開されています。最初はバイエル的な存在のスケッチを「Arduino」にインストールして、「Arduino」で音を鳴らしてみるところからチャレンジしてみましょう。

楽器デザイナーの中西宣人先生に学びましょう


では、次回からは3回に分けて実際に「Arduino」を使った電子楽器作りにチャレンジします。作り方を教えてくださるのは、新機軸の電子楽器やMIDIコントローラを作り続けている楽器デザイナーの中西宣人さんです。


中西さんが手がけたこちらの「CMG」は、柔らかい3Dタッチパッドを搭載したMIDIコントローラ。触る、なぞるだけではなく、押す、叩くことでも音をコントロールできます。2016年、日本のクラウドファンディングMakuakeで支援者を募集したところ、目標金額の192%を達成。多くの、新しい楽器を求めている人たちの手に渡りました。

既存のカタチに囚われず、新しい音楽のアイディアを具現化している中西さん。次回より、初心者でもカンタンに作ることができる、「Arduino」を使ったMIDIコントローラ製作をレクチャーいただきます。お楽しみに!

監修:中西 宣人 yoshihito-nakanishi.com
Text:武者 良太
Photo:mysound編集部 / 安井 信介(中西氏プロフィール)

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