今のPAELLASに影響している楽曲プレイリスト


ミニマムな音の配置とセンシュアルなボーカルが、日本のインディーシーンの中でも抜きん出たオーラを発するPAELLAS(パエリアズ)。昨年12月にリリースしたアルバム『Pressure』では、よりインディR&Bやメロウなサイケデリックのテイストに接近し、ワールド・スタンダードな世界観を創り出しています。今回は「今のPAELLASに影響している10曲」と題してプレイリストを作成してもらいました。新作のバックボーンが伺えると同時に、今、知っておきたい音楽の潮流も見えてきそうなセレクトです。

Anan “今回のアルバムでは、それを今できるベストの形は残せたかなと思います“


L→R : Bisshi(Ba), Satoshi Anan(Gt), MATTON(Vo), Ryosuke Takahashi(dr), msd.(Sp)

—より聴かせるアルバムになった印象があって、これまでと手法が変わったところはありますか?

Anan:前のミニアルバム(『Remember』)は、ここの3人(Anan、bisshi、MATTON)で作ってたんですが、今回は僕がデモである程度作って、それをみんなに投げて仕上げていくって感じにして。そこが変わったところですね。

—Ananさんにとって大きな影響はなんだったんでしょう。

Anan:以前はみんなで「ハウスがいいね」と言ってたりしてたんですけど、ここ2年ぐらいで僕がR&B——フランク・オーシャンとかを聴き出して、もっとスウィングした黒っぽい感じを出したくなって。それに前のドラムの人からRyosukeさんに代わって、できる幅も増えたんで、思い切って前までの四つ打ちのスクエアなものからグルーヴを出すようなスウィングしたリズムを取り入れました。今回のアルバムでは、それを今できるベストの形は残せたかなと思います。

MATTON:それまではどこかでバンド=ロックバンドというか、そこの線上にかぶせる形でハウスやR&Bをやったんですけど、今回のアルバムに関してはもはやロックバンドっていう概念はほぼなくて。バンドであるってことはもちろんあるんですけど、そこにロックはもうなかったっていうか。

—しかもMATTONさんはフロントマンとして、ライブで戦える人じゃないですか?

MATTON:どう振る舞うか結構悩んでいて。でも、このアルバムを作ってる期間中ぐらいに、自分はバンドの中の1ボーカルという立ち位置じゃなく、フロントマンとして前面に、ちゃんと自分という個人の力でも立てるようにならないとあかんなっていう風に意識は変わりましたね。

Anan:でも僕らの強みって、ちゃんとかっこいい音楽をやってるバンドはいるけど、ライブだとアイコン的なフロントマンがなかなかいないから、そこの間を突けるのかな?って。

Ryosuke:オーバーグラウンドとアンダーグラウンドの間みたいなところはあるのかなと思います。

—そうだと思います。アルバムのリリース後、ライブを重ねてる上でさらにでて来た欲はありますか?

Anan:ロングセットでもっと大きなとこでやりたいっていう欲が出てきました。

Ryosuke:自分たちの曲って長い方がライブでストーリー作りやすいっていうところで、確かにロングセットをやりたいですね。

—今回は「今のPAELLASに影響している10曲」ということでプレイリストを作っていただいたので、アルバム『Pressure』のことも紐解けるかと思います。まず、Ryosukeさんはボン・イヴェールの初期ナンバーですね。

Ryosuke:曲を作ってくアイデアってところでジャスティン・バーノンはすごいっていうのが選んだ理由です。中でもこの曲はツインドラムが印象的で、ツインドラムで一つのリズムの部分を表現してるところがすごいですね。そもそもこの人はコードを自分で作ったりするので、それは暗に俺がAnanに求めている部分でもあるんです。
  • —The Rootsのこの曲はミニマルですね。

    Ryosuke:これはただただかっこいい(笑)。8ビートだしギターのカッティングもまっすぐやってるだけでこんなカッコよくできんのか?っていうところですね。ドラマーとしては、この揺れ感を縦の感じだけで出せるのは俺はすごいなと思ってます。それが今後、僕のPAELLASでのプレイの課題でもあったりするんで、この曲を選びました。
  • —bisshiさんはなぜThe Drumsを?

    bisshi:PAELLASって、最初は日本のシーンの中のサイケバンドみたいな感じやったんですけど、MATTONがThe Drumsにハマってるって教えてもらって、初めて聴いたのがこの「Money」って曲で。今のPAELLASが洋楽の方を向いていくことのきっかけになったバンドなんです。
    • Money/The Drums

      シングル

      257

      Money
      The Drums
  • —そしてサム・スミスをフィーチャーしたディスクロージャーのこの曲は?

    Bisshi:ディスクロージャーは何がすごいって、一応バンドって俺は思ってて。兄弟がちゃんと演奏してやってるところとか、歌の使い方が楽器的で、しかもそれをハウスってところに納めるジャンルの尺度がすごいなと思ってます。俺らの今回のアルバムの「P house feat. ENNE」って曲はディスクロージャーを聴いてなかったら、たぶんできなかったという感じです。
  • ―msd.さんの選曲の理由は?

    msd.:頭のリズムの音にエフェクトがかかってっていくところから引き込まれて行って、シンセがフワ〜と入って、リアーナがフロウで畳み掛けてくる曲の展開がめっちゃ好きだなと感じて。僕、ブラックミュージックに傾倒したのはPAELLASに入ったことでの影響が大きいんです。だからこの曲は自分がPAELLASでどういう表現をしたいか?っていうところとリンクした部分があります。
  • —なるほど。次のSTORMZYはジャンルでいうとグライムですね。

    msd.:グライム自体がファッションとかスポーツ、イングランドのフットボールとかと共鳴して育って来たものだと思うんです。それで、僕もそれこそ10代の頃からずっとサッカーをやって育って来たのでそういう部分と共鳴してたところは正直あるかなと思いますね。
    • Shut Up/Stormzy

      シングル

      257

      Shut Up
      Stormzy
  • —確かにmsd.さんはサンプリング担当としてはすごくパフォームするタイプだし、ライブで見たら忘れませんからね。そしてAnanさんの1曲目は先ほどの話にも登場したフランク・オーシャン。

    Anan:僕がR&Bとかヒップホップを聴くようになったきっかけがフランク・オーシャンで。それまではチルウェイヴや、2011、12年のインディーロックを聴いていて、割とリバーヴィーでフォギーな音像を好んでたんです。で、フランク・オーシャンが登場した時に、黒人のR&Bでそういう感覚を取り入れてやるというのは僕にとってすごく新しい感覚で。それと同じぐらいのタイミングでケンドリック・ラマーのセカンドアルバム(『Good Kid,M.A.A.D City』)が出て、インディーズの音楽の感覚を持ち合わせつつ黒い音楽を出すっていう、新しいタームに入ったと思って。そこからPAELLASでこういうことをやっていこうと思った曲ですね。
    • Sweet Life/フランク・オーシャン

      シングル

      257

      Sweet Life
      フランク・オーシャン
  • —そしてJamie xxは?

    Anan:この曲自体が『In Colour』ってアルバムの中でめちゃ好きなんです。あのアルバムはがっつりリズムが前に出るハウスじゃなくて、その感覚にすごく共感したというか、すごくフォギーで曖昧なんですけど、キャッチーでメロディアス。しかもクラブミュージックとして成り立つ、その組み合わせがむちゃくちゃ新しいと思いました。
  • —どちらもミニマルな志向ですね。

    Anan:そうですね、全体的に。あと、Romyもちゃんと歌ってはいるけど、詞も少なくてサンプリングみたいな感じで歌ってたしするのもいいし。最高傑作の2曲です。

MATTON “自分にとっての音楽は夜一人で歩いてたりする時にハマるものが一番好きになる“


  • —MATTONさんの選曲の理由は?

    MATTON:やっとアルバムが出たフランスの人で、正直この曲じゃなくてもアルバムの曲ならなんでもよかったんですけど、このバンドの出すムード、それが全てかなと。自分にとってのPAELLASのイメージだったりにハマるものって感じですね。
  • —ヴァンゲリスは意外でした。

    MATTON:これは『ブレードランナー』のサウンドトラックに入ってる曲で、映画のあのちょっとB級な世界観というか。それがそんなに今のPAELLASにがっちりはまってるかわかんないですけど、ちょっとこのバンドっぽいなと思ってた時もあったんで。
  • —今のPAELLASへの影響というより、MATTONさんが好きなムードということ?

    MATTON:自分にとっての音楽は夜一人で歩いてたりする時にハマるものが一番好きになるので、そういう意味でこの二つは当てはまるかな。僕にとって音楽は現実を変えるものというより、そこに色を添えるものというか、ちょっとロマンチックになったりそういう感じのものが好きですね。ベタな表現ですけど、すごく切ないものとか儚いものだったりとか、いい意味で寂しいところに色を着けられたり、一人でちょっと甘い気持ちになれるっていう感じが音楽を選ぶ上で大事なところかな。

    —結果的にそれはPAELLASのまとっている雰囲気につながっていますね。

    MATTON:PAELLASの音楽性にわりと影響を与えた超わかりやすいセレクトはbisshiとAnanの二つかなと思いますね。めちゃめちゃわかりやすい。他の3人のはもうちょっと間接的な影響とか、プレイヤー視点で選んでたりします。でもなんかしら通じる部分はみんなあるんじゃないかとは思いますね。

    Ryosuke:みんな聴いてる曲ばかりだしね。



ORIGINAL PLAYLIST

今のPAELLASに影響している10曲

NEW RELEASE

    • Pressure/PAELLAS

      アルバム

      1,697

      Pressure
      PAELLAS

DISCOGRAPHY

    • Remember/PAELLAS

      アルバム

      1,234

      Remember
      PAELLAS

PROFILE

東京を拠点に活動する5人組。あらゆるジャンルの要素を独自のセンスで 解釈し生み出すサウンドは、セクシュアル かつロマンチック。都会に漂うメランコリックな情景やその儚 さを想起させるライブパフォーマンスも支 持され、あらゆるシーンや時代を超えた 存在になる可能性を秘めている。これまでにUnited ArrowsやPeach John、新宿のセレクトショップJackpotのCM等に 楽曲を提供し、ファッション業界やニッチな 音楽層からも注目を集め続けている。

PAELLASアーティストページ

LIVE

■<CONNECT 歌舞伎町 MUSIC FESTIVAL 2017>
日程: 2017年4月23日(日)
会場:新宿LOFT,新宿BLAZE,シネシティ広場,新宿MARZ,etc
時間: OPEN 12:00
料金: 料金 : ADV ¥6,000 / DOOR ¥7,000

■<ドンキーコング Vol.2.555>
日程:2017年4月27日(木)
会場 : 恵比寿BATICA
時間 : OPEN 20:00
料金 : DOOR ¥1,000(+1D)

■<SUBMISSION>
日程: 2017年4月30日(日)
会場: 渋谷Glad
時間: OPEN 17:00 / START 18:00
料金: 料金 : ADV ¥3,000(+1D) / DOOR ¥3,500(+1D)

■<Shimokitazawa SOUND CRUISING 2017>
日程:2017年5月27日(土)
会場 : 下北沢全域
時間 : DAY : OPEN 13:00 / START 14:00
NIGHT : OPEN 23:00 / START 23:30
料金 : DAY ¥4,800 / NIGHT ¥3,000 / 通し ¥5,900

詳細はオフィシャルサイトで
http://paellasband.com/schedule/


Interview&Text:石角 友香
<Profile>
音楽ライター/エディター。
ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Skream!」「PMC」「EMTG music」「NeoL」などで執筆。音楽以外のポップカルチャーの取材、執筆も行う。

Photo:Kohichi Ogasahara

Place:emma LOUNGE 渋谷店
〒150-0043
東京都渋谷区 道玄坂1丁目14-9 ソシアルビル2F
Tel:03-3461-6699
http://renovationplanning.co.jp/portfolio_page/emma-lounge

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