まだ間に合う!『ボヘミアン・ラプソディ』〜クイーン、ガガ、クラプトン…この冬注目の音楽映画3選〜

『ボヘミアン・ラプソディ』公開記念 ~クイーン、ガガ、クラプトン…秋の夜長の音楽映画3選~
公開されるや否や、すでに世界中で話題沸騰中の映画『ボヘミアン・ラプソディ』。
本作は、1973年のデビュー以来、イギリス本国のみならず世界中で成功した4人組のロック・バンドQUEENのデビューから『LIVE AID』(1985年、米英同時に行われた20世紀世界最大のチャリティーコンサート)出演までのエピソードを、史上最高のエンターテイナーと讃えられるフレディ・マーキュリーの生き様、彼らの栄光と影を28曲の名曲とともに描いた感動大作だ。

フレディ天逝から27年 コンプレックス、差別と対峙し続けたスターの真の姿が 今、蘇る!


これまでにシングル&アルバム含め総計3億枚を超えるセールスを記録する彼らは「世界で最も売れたアーティスト」にも名を連ねている。それだけに、オンタイムで彼らの活躍期を知らないという世代でも、TVCMやドラマの主題歌など「曲だけはどこかで耳にした事がある」と言う人も少なくないだろう。

フレディ自身は1991年、45歳の若さで亡くなっている。あれからすでに27年の月日が経っていることは、劇場の観客の年齢層が自ずと物語っていた。しかし、そうした往年のファンは勿論のこと、若い世代にも是非とも劇場で観て欲しい屈指の一本であると断言したい!


エンターテイメント界の実話を元にした映画という事で言えば、一昨年前に公開された『グレイテスト・ショーマン』も、実在した興行師P.T.バーナムがモデルとなっており(ただしこれにはかなりの脚色が加えられているのだが……)世代を超えて世界中で大ヒットを記録した作品だ。そう考えると、本作は事実を忠実に描いた分、感動の説得力は『グレイテスト…』のそれをはるかに凌ぐポテンシャルを秘めており、特に主人公であるフレディ・マーキュリーの宿命的な人生設定は、“ゾロアスター教の厳格な両親の元で育てられる中で自己を肯定してもらえず” “移民としての差別” “出っ歯という容姿をバカにされ”“ “セクシャルマイノリティとしての差別“など、改めて羅列するとかなり壮絶だ。様々なコンプレックスと差別の葛藤の中で作品を生み出してきたことが改めて浮き彫りになっている。最終的にエイズに対して差別と偏見しかない無知な時代に発病してしまう……という時代の生贄的なポジションに立たされながらも、最後の最後までエンターテイナーとしてステージに立ち人々に夢を与え続けたフレディ。

伝説のアーティストを描く手法として、病床の末期ではなく『LIVE AID』をクライマックスに持ってくる本作の設定は、QUEENが遺した楽曲一つ一つの意味と重さをより理解できる構造になっている。

また、本先ではQUEEN達を演じた役者陣の成りきりぶりも見事。「フレディ生き写し!」と注目され、ラミ・マレックに賞賛が集中しているが、いやいやブライアン・メイ役のグウィリム・リーの脇を固める感とソックリ感は、まるでドキュメンタリー映画のよう。
(ちなみに、ブライアン・メイは映画の始まりで、アノ「20世紀FOX」のファンファーレを自らギターで弾いており、サントラにも収録されている)
ロック・バンドの伝記映画と言う位置付け以上に、そこには音楽愛、家族愛、友情の大切さ、コンプレックスや差別、同調圧力に屈することなく自分の信じる道を貫くことの大切さ、などがバランス良く描かれており、観るものに元気を与える栄養要素満点の心を豊かに満たしてくれる。今年1年で駆使し尽くした体にエネルギーを充填するには最適の1本と言えるだろう。

更に作品に説得力があるのは、ブライアン・メイとロジャー・テイラーらが音楽プロデューサーとして制作に関わっていると言う点だ。ミュージシャンを主人公に据えた作品なので尚更そう感じる部分ではあるのを前提に言わせてもらえば、改めて“映画の半分は音楽で成り立っている”と言うことを実感させられる。こうした作品は「劇場で観るべき作品」であり、なるべく音響設備の良い映画館を選んでの鑑賞はマスト!
特にクライマックスとなる『LIVE AID』の会場を再現したシーンは、コンサート会場の臨場感と一体感に劇場全体が包まれる圧巻の体験となるはずだ。

そんな劇中使用曲は従来のヒット曲に加えて11トラックの未公開音源(1985年7月の『LIVE AID』でのLiveバージョン5トラックを含む)が収録されており、劇場での鑑賞後すぐに余韻に浸る為に「既にQUEENのアルバムは網羅している」と言うファンと言えどもサントラ盤の事前入手を強くオススメしておく。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』

映画『ボヘミアン・ラプソディ』(The Original Soundtrack)

フレディからレディー・ガガへと受け継がれた 世界を熱狂させるエンターテイナーとしての歌唱力!

フレディからレディー・ガガへと受け継がれた 世界を熱狂させるエンターテイナーとしての歌唱力!

『ボヘミアン・ラプソディ』からの流れで、この秋、オススメの音楽映画をもう少し紹介させていただきたい。

まずは、レディー・ガガ主演作『アリー/スター誕生』。

歌声やステージパフォーマンス性をフレディのそれと比較し、QUEENの楽曲「Radio Ga Ga」にちなんで音楽プロデューサーのロブ・フサーリが"Lady Gaga"と命名した言うエピソードからも分かるように、レディー・ガガはフレディの影響を多大に受けたアーティスト。


そんなガガが主演を務める本作は、1937年の初版以来今回が3度目のリメイクとなる時代を超えて愛される普遍的なサクセス・ストーリー。ミュージシャンに憧れる無名の若者が有名になるまでを描いている点でも、『ボヘミアン・ラプソディ』と作品の構造上の共通点を見出しやすい。

また、先日開催された『第31回 東京国際映画祭』の特別招待作品オープニングで上映された際には、主演の二人レディー・ガガ/ブラッドリー・クーパーの歌唱による劇中楽曲、オリジナル・サウンド・トラックの完成度の高さも、かなり話題となった。故に本作がレディー・ガガ自身の自伝映画だと勘違いする観客も居たほどだ。

  • そんなガガ自身は、自身の主演作が控えるなか『ボヘミアン・ラプソディ』に

    『フレディは唯一無二の存在よ。音楽史上最大のスーパースターの一人ね。彼はシンガーであるだけでなく、素晴らしいパフォーマーでもあった。舞台を制する人であり、常に自分を変化させ続けていた。一言で言えば、天才よ。』

    ―― LADY GAGA

    と、コメントを寄稿。

    そのほか数々のミュージシャン達からも絶賛のコメントがある中「ギターの神様」と呼ばれる男からも

    『最近は、僕にはできないことができるギタリストたちがいる。クイーンには、僕ができたらいいのにと夢見るようなことをできる男が一人いる。心からそう思うね。』

    ―― Eric Clapton

    と言うコメントが寄せられた。

    そんなエリック・クラプトンのドキュメンタリー映画『エリック・クラプトン~12小節の人生~』を最後に紹介させてもらい、本記事を締めくくらせてもらいたい。


    貴重なアーカイブ映像と共にクラプトン自らが赤裸々に人生の苦悩と悲哀を語り、B.B.キングジョージ・ハリスンジミ・ヘンドリックス、パティボイド。ロジャー・ウォーターズザ・ローリング・ストーンズボブ・ディラン等の若かりし頃の映像も満載の、音楽ファン、ギターファン必視の珠玉の音楽ドキュメンタリーとなっている。

    http://ericclaptonmovie.jp/

  • 日に日に肌寒くなり、せわしない年末を迎えるこんな時期。是非、豊かな音楽で心から温まる感覚を味わいに、劇場に足を運んで欲しい。

    Edit&Text:Kotaro Manabe

KOTARO MANABEのその他の記事

もっと見る >