101年目のジャズ vol.8 ~フェス音源でディープ・エモーション~

101年目のジャズ vol.8 ~フェス音源でディープ・エモーション~
お元気でしたか? この1ヵ月、どんな毎日を送っていましたか? ライブは行きましたか? さて、ラジオ番組のナビゲーター気分でお届けしている「101年目のジャズ」、今回はジャズ・フェスティバルで演奏されたご機嫌な音源にスポットを当ててお届けします。現在、世界中のあちらこちらでジャズ・フェスが開催されていて、日本でも毎月のように各地で行なわれています。アナタはこれまで、どんなジャズ・フェスを体験されたでしょうか? もしや、まだ未体験? これからご紹介する演奏を聴けば、腰の重い方もきっとどこかの会場に行きたくなるはずです。Enjoy!

#1. Woody Herman & His Orchestra - Four Brothers

まずは〈モントレー・ジャズ・フェスティバル〉のライブ音源からまいりましょう。サンフランシスコから南へ約190キロの場所にある港町、モントレーで初めてジャズ・フェスが開催されたのは1958年でした。今回、ご紹介する演奏は、翌年に行なわれた同フェスでの演奏です。1913年生まれ、1987年に他界したウディ・ハーマン率いるオーケストラ出身の人気ジャズ・ミュージシャンが大集合し“ウディ・ハーマン・ビッグ・ニュー・ハード”と称してプレイしたサックス隊大フィーチャーのヒット曲「フォー・ブラザーズ」をお楽しみください。スウィングしていますよ。

#2. Billy Holiday - My Man

続いては〈ニューポート・ジャズ・フェスティバル〉に出演したビリー・ホリディの歌声です。このジャズ・フェスは1954年にスタート。1958年の模様は『真夏の夜のジャズ』というタイトルで映画化されていて、今もDVDで楽しむことが出来ます。演奏シーンだけでなく、観客の様子や周囲の風景も収められていて見どころ盛りだくさん。まだご覧になっていない方は是非チェックしてみてください。同時に、1915年生まれ、女性ジャズ・ヴォーカルを代表する“レディ・デイ”ことビリー・ホリディの壮絶な半生を描いた映画『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』も一見の価値ありです。主演は多数のヒットを飛ばしたシンガー、ダイアナ・ロスと知ったら観たくなる人もいるのでは? では、1957年に行われたニューポート・ジャズ・フェスティバルでのパフォーマンスで、ビリー・ホリディが亡くなる2年前の「マイ・マン」どうぞ。

#3. 寺井尚子 - リベルタンゴ

さて、都市型音楽フェスティバル〈東京JAZZ〉が初めて開催された2002年、ハービー・ハンコック(p)のリクエストで飛び入り出演をしたのがジャズ・バイオリニストの寺井尚子さんです。彼女はその後も度々このジャズ・フェスに出演していますが、2011年に会場を沸かした演奏は今も楽しめます。イタリアの名門オーケストラ・カメラータ・ドゥカーレをバックに従え、フランス出身のアコーディオン&バンドネオン奏者、リシャール・ガリアーノと共にアルゼンチン出身のミュージシャン、アストル・ピアソラに捧げたステージから今回、選んだのは「リベルタンゴ」。ピアソラ生誕90周年、そして東京JAZZが10周年という2つの節目を飾るに相応しい情熱的な演奏は感情が揺さ振られること請け合いです。

#4. Hiromi/Edmar Castaneda - Libertango

続いても「リベルタンゴ」です。演奏しているのは世界を舞台に大活躍中の人気ジャズ・ピアニスト、Hiromiこと上原ひろみさんと南米コロンビア出身のハープ奏者、エドマール・カスタネーダ。ふたりは2016年に出逢い、初共演。翌年出演した〈モントリオール・国際ジャズ・フェスティバル〉の演奏をライブ収録し、昨年9月にアルバムをリリースしました。来日公演も大盛況で、私もスタンディング・オベーションのひとりになれたのは本当にラッキーだったと思います。では、終始刺激的なプレイで魅了する「リベルタンゴ」をご堪能あれ!

#5. Marlena Shaw - You Are The Sunshine Of My Life

〈モントリオール・ジャズ・フェスティバル〉の次は〈モントルー・ジャズ・フェスティバル〉です。スイスのレマン湖畔で行なわれるこのジャズ・フェスは1967年にスタートしました。ライブ模様を収めたアルバムも多数あるので、それだけで特集が出来てしまうほどです。その中から今回ご紹介するのは1942年生まれ、日本でも人気の高いボーカリスト、マリーナ・ショウのアルバム、タイトルもずばり『ライブ・アット・モントルー』(1973年録音)から、スティーヴィー・ワンダーのヒット曲で「ユー・アー・ザ・サンシャイン・オブ・マイ・ライフ」。彼はこの曲を1972年にアルバム『トーキング・ブック』で発表しています。つまり、マリーナは早々にカバーしたというわけです。いい曲ですものね。そして、完全に自分の歌にしているマリーナ、ブラボーです。

#6. Oscar Peterson - City Lights

お次はオランダの〈ノース・シー・ジャズ・フェスティバル〉です。1976年に開始したこのジャズ・フェスにも多くの著名なジャズ・ミュージシャンが出演しています。オスカー・ピーターソンもそのひとり。1925年生まれ、2007年にこの世を去ったカナダ出身の偉大なるジャズ・ピアニストは1980年に出演した際、その模様をレコーディングしました。今回、聴いていただきたいのは、彼が作曲したロマンティック・ムード漂う「シティ・ライツ」です。ギターはジョー・パス、ベースはニールス・ペデルセン。グラスを傾けながら聴きたいトラック!

#7. ウェイン・ショーター、デイヴ・リーブマン、リッチー・バイラーク、エディ・ゴメス、ジャック・デジョネット - ミスターP.C.

ラストは日本のジャズ・フェス〈ライブ・アンダー・ザ・スカイ〉からのホットな演奏です。1977年から1992年まで行なわれていたこのフェスには、スター・ミュージシャンがこれでもかと登場し、伝説となっているステージも数多くありますが、これから聴いていただくセッションもそのうちの1曲です。では、ライブ・アンダー・ザ・スカイ10周年&ジョン・コルトレーン(ts)没後20年という節目の1987年に行われたライブ音源から「ミスターP.C.」をお聴きください。
    • ミスター P.C./ウェイン・ショーター/デイブ・リーブマン/リッチー・バイラーク/エディ・ゴメス/ジャック・デジョネット

      ハイレゾ

      ミスター P.C.
      ウェイン・ショーター/デイブ・リーブマン/リッチー・バイラーク/エディ・ゴメス/ジャック・デジョネット

  • “フェス音源でディープ・エモーション”をテーマにお送りした今回、いかがでしたか?ところで、ジャズ・フェスの良さといえば、なんと言っても一度に様々なミュージシャンの演奏を楽しめることだと思います。私自身、フェスをきっかけにその存在を知り、ファンになったアーティストもいるんです。今後も、そんな出逢いを期待して色々な会場に出向きたいと思っています。因みに、初めてジャズ・フェスに行ったのは1987年の〈マウント・フジ・ジャズ・フェスティバル〉でした。先輩に誘われ、仲間たち数人と山中湖畔で寛ぎながら楽しんだあの時間は今も良い思い出です。
    では、今回はこの辺で。また来月最終金曜日、9月28日に再会しましょう!

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