ハイレゾで味わうクラシック vol.10 ~新生活を彩る キラキラ☆サウンド~


かなり暖かい日が続き、ようやく春を実感できるようになってきましたね。お花見に行って年度末の疲れを吹き飛ばしたかたも多いのではないでしょうか? 新しい生活にドキドキ、ワクワクしているかたも多いと思います。そこで今回は、そんなあなたを応援してくれるような、キラキラとした、また春にピッタリの音楽をお届けいたします。これをお守りに新生活をスタートしたら、いいことがあるかもしれませんよ!?

春の風と陽だまりを感じ、モヤモヤをデトックスするピアノ曲 


♪ショパン:即興曲第1番op.29

春の風を感じるような、ショパンの軽やかなピアノ曲です。基本的には三連符の音型がずっと続く、ハッキリとしたメロディのある曲ではないのですが(中間部は少し切ないしっとりとしたメロディが弾かれます。ここも魅力的ですよ!)、終始流れるように、どこか無邪気に展開していく音楽は、妖精たちのおしゃべりのように聞こえてきたりもします。春の妖精がおしゃべりしながらいいことを運んでくれそうなこの曲、美しい音色と軽やかなタッチが魅力の三浦友理枝さんのピアノでぜひ聴いてみてください。ハイレゾ・サウンドでより一層美しさが増しています。 

即興曲(第1番 変イ長調 作品29)
三浦友理枝 

 

♪ドビュッシー:『映像第1集』より「水の反映」

「水に映る影」とも訳されるピアノ曲で、水を音楽で表現することを得意としたドビュッシーならではの繊細な作品です。輝きながら流れていく水を表した細かい音型と、夜を描いたかのような複雑な和音の響きとが重なり合って、絵画のような世界を創り出しています。とても澄みきった空気感があるためか、どこか冷たさも感じますが、最後はすべてが洗い流されていくような華麗さがあり、いろいろとモヤモヤしてしまっていることがあるかたにはピッタリの曲です。福間洸太朗さんの繊細なタッチをハイレゾ・サウンドで存分に味わいながら、ぜひドビュッシーでデトックス体験してみてください。 

映像 第1集 1.水の反映​​​​​​​
福間洸太朗 ​​​​​​​

 

♪シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番イ長調D.959 第4楽章​​​​​​​

シューベルトは亡くなる直前に3つのピアノ・ソナタ(第19~21番)を書きましたが、そのなかのひとつである第20番はもっともあたたかく、優しい旋律に満ちています。じつはこの曲のメロディはシューベルトが20歳の時に書いたピアノ・ソナタ第4番の旋律を転用したものになっています。このメロディがさまざまに形を変えながら終始優しい音楽を創り出していくのです。聴いていると、夢の世界にいるような、あたたかいお花畑にいるような気にさえなってくるはずです。さらにこの旋律は、シューベルトの「春に」という歌曲ともつながりがあり、シューベルトにとってなにかあたたかいもの、優しいものを最大限にイメージして生まれたものなのではないかと思われます。ツィメルマンの優しいタッチをハイレゾ・サウンドで間近に感じながら、ぜひこの陽だまりのような音楽に浸ってみてください。 ​​​​​​​

ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D.959: 第4楽章: Rondo (Allegretto) ​​​​​​​
クリスチャン・ツィメルマン​​​​​​​​​​​​​​

 

新しい生活への期待を盛り上げ、応援してくれる歌曲


♪ドニゼッティ:『シャモニーのリンダ』より「私の心の光」

貧しいけれどしっかり者のヒロイン、リンダと画家のカルロ(じつはお金持ちの公爵)の恋物語からの1曲です。このアリアはオペラの第1幕で、カルロとの待ち合わせに遅れてしまったリンダが家に帰るという、特徴があるシーンの曲ではないのですが、恋の喜びに満ちあふれたリンダの心情や、大好きな人との未来への期待など、幸せな気持ちいっぱいの曲になっています。新しい生活に胸躍らせているみなさんの気持ちをさらに盛り上げてくれること間違いなしです。コロラトゥーラ・ソプラノ(高い声と超絶技巧が可能なソプラノ)の重要なレパートリーのひとつで、曲の明るさとは裏腹に、演奏者にはこれでもかと超絶技巧が要求されます。森麻季さんはまったくその苦労を感じさせず、軽やかに、爽やかにこれを歌いきってしまいますので、聴いているうちに思わずノリノリになってしまうはずです。ハイレゾならではの立体感で、自分が歌っているような錯覚も味わえるかも!?​​​​​​​

ドニゼッティ:シャモニーのリンダ〜 ”私の心の光”
森麻季(ソプラノ)/大勝秀也/ヴロツワフ・スコア・オーケストラ​​​​​​​

 

♪プッチーニ:『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ!」​​​​​​​

2006年のトリノで荒川静香選手が金、2018年は平昌で宇野昌磨選手が銀と、日本を代表する二人のフィギュアスケート選手が輝かしい勝利を収めた曲です。オペラ『トゥーランドット』では、氷のような冷たい心を持った姫君トゥーランドットの求婚者に出される難題を見事に解決した王子カラフが、まだ結婚に難色を示す姫君に「自分の名前を夜明けまでに当てて見せれば、結婚をあきらめて命を捧げる」と申し出ます。姫君は国民に、王子の名前を解き明かすまでは寝ることを禁ずるというお触れを出すのです。そしてその晩、カラフは月に照らされた庭に出て、自分の名前をあきらかにしようと必死な国民たちの様子を見つつ、勝利を確信してこのアリアを歌います。さまざまな場で耳にしたことがある名旋律ではないでしょうか。最後に“Vincero!(勝ち取って見せる!)”と力強く勝利宣言するこのアリアは、あらゆる困難に立ち向かい、新しい生活を頑張るあなたの力強い応援歌になるはずです。アンドレア・バッティストーニが指揮する東京フィルハーモニー交響楽団のパワフルなオーケストラ・サウンドに、テノールのカルロ・ヴェントレの輝かしい声が見事に調和します。ハイレゾで大迫力のサウンドをお楽しみください。 ​​​​​​​

北京の人々よ! Popolo di Pekino!​​​​​​​
アンドレア・バッティストーニ指揮、東京フィルハーモニー交響楽団​​​​​​​

 

​​​​​​​いかがでしたか? 新生活では、楽しいこともあれば、今までとの違いに不安になったり、いろいろあると思います。これらの音楽を味方につけて、素敵な日々を過ごしていただけたら嬉しいです。
次回は5月2日(水)更新予定で、「5月病を吹き飛ばす、スッキリサウンド」(仮)をお届けします。​​​​​​​