【第2弾】LUCKY TAPES・高橋 × DATS/odol・早川のギター対談。ミレニアル世代に影響を与えたギタリストとは?

【第2弾】LUCKY TAPES・高橋×DATS/odol・早川のギター対談。ミレニアル世代に影響を与えたギタリストとは?
LUCKY TAPES・高橋健介×DATS/odol・早川知輝によるギタリスト対談も第2弾。今回は2人が憧れるギタリストや、ギタリストとして意識していることなどを中心に、それぞれのバンドの中でお互いがプレイの際に心掛けていることを話してもらった。お互いにブラック・ミュージックやエレクトロ、ギター・ロックなど様々なものに影響を受けながら、それぞれに違うスタイルを持つ2人。しかし性格として共通する部分も多々あるようで・・・。

バンドシーン最前線で活躍するギタリストが憧れるアーティスト

バンドシーン最前線で活躍するギタリストが憧れるアーティスト(1)

─前回の対談で高橋さんがCharさん、早川さんは戸高賢史さんの名前を挙げてくれていましたが、他にも影響を受けたギタリストはいましたか?

高橋:
たとえば、ペトロールズの長岡亮介さん。長岡さんは高校1年の頃から好きで、(浮雲名義で参加した)東京事変も大好きでした。どのバンドのときもそうですけど、長岡さんは発想がユニークで、「こんな風にしちゃうんだ!」という驚きがあって。僕自身はもっとギタリストらしいアプローチが多いですけど、すごく刺激になります。

早川:僕が影響を受けたのはアベフトシさん。実は(取材をしながら)今ギネス(ビール)を飲んでいるのも、アベさんが飲んでいたのがきっかけです。実際のプレイでも、最近古典的なロックのフレーズを弾いたりしているのはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTからの影響が大きいと思いますね。

高橋:アベさんはカッティングがすごいよね! あんなに速くできない。

早川:音の太さを重視して、単音でも全部の弦をカッティングしていて。それがステージングとしてもかっこいい。

高橋:僕はナイル・ロジャースも好きです。もともとCHICが好きなので。

─高橋さんはLUCKY TAPESでも、ナイル・ロジャースの十八番であるカッティング・ギターを多用しているイメージがあります。

高橋:
元々好きでずっと聴いていたんですけど、ギターを弾くようになってから調べると、ナイルのカッティングって他と違うんですよ。普通はピックを持って、手を拳にしてカッティングをするのに、ああいうファンクの人たちは手を開いて、1弦の下のビッグカード部分にカッティングしていて。僕は昔から自然にそのスタイルで練習していたので、もともと好きだったナイルと同じだったことに驚きました(笑)。ピッキングをスパンと切るような感じじゃないからあのスムーズなのに粘るようなグルーヴになるんだな、と勉強をしていく中で気づきました。

早川:僕は握って弾いていますね。これもアベさんの影響だと思います。

─早川さんの場合、DATSでは『Application』以降ギター以外の要素も増えてきていますが、まだギター・ロック然としていた15年のEP『DIVE』の頃は、歌と並走ししながらメロディを奏でているような印象がありました。

早川:
あれはフォールズから影響を受けたものですね。あの時期はシューゲイザーも好きだったので、その要素も入れようと思って、オクターバーや歪みも足していました。でも、今はライブでギターを弾くだけではなくてサンプラーも使うので、最近ワイヤレス・システムを導入したギターを買ったんですよ。そうするとステージングのやりやすさが随分変わりました。

─ギタリストでなくても、自分のギターに影響を与えている人/ものは?

早川:
ベース上がりなので、スピッツの田村さんですね。田村さんは歌うようなベースを弾くじゃないですか。あの感じには影響を受けていると思います。

高橋:何かあるかなぁ。僕はギタリストですけど、韻シストのTAKUさんも。

─LUCKY TAPESの『CIGARETTE & ALCOHOL』の制作中には、韻シストとCharaさんのEP『I don't know』のような音に近づけたいと思って、その作品でエンジニアを担当していたtoeの美濃隆章さんを招いたそうですね。

高橋:
そのEPがすごく好きなんですよ。韻シストはヒップホップなのでフレーズのループが多いですけど、フレーズそのものがかっこいいし、とにかく上手い。あと、自分の性格や周りの環境も、ギター・スタイルに影響を与えていると思います。僕はもともとあまり前に出ない性格だし、昔から出会うベーシストが何故か音数の多いタイプなんですよ。昔やってたバンドのベースもすごく上手かったし、今のKeityもそうだし。自分はそういう環境だったからカッティング中心のスタイルになったんだと思います。

─もちろん、高橋さんはカッティングだけでなく、ソロで前に出て来るところはグッと出てくる人でもあります。

高橋:
そうですね。だから、よくカッティング中心のイメージを持たれるんですけど、「俺そんなにカッティング弾いてる?!」という感覚で。

早川:(笑)。周りの環境の話で言うと、odolに入ってからはギタリストがもうひとりいて、そこからの影響もありますね。そいつがメタルやハードコア好きで、テクニカルなこともできるけどあまりやらない感じで。でもスタジオで一緒に遊ぶと「上手いな!」と思うので。

高橋:俺も早川くんもあまりテクニカルなタイプのギタリストじゃないよね。

早川:それより「いい塩梅のものを出す」タイプ。「俺が、俺が」ではなくて「この要素は要るな」と考えるというか。もちろん、出るときは出ますけどね。

高橋:早川くんは、性格的にはベーシストっぽいんだろうな。

バンドシーン最前線で活躍するギタリストが憧れるアーティスト(2)

─同世代のバンドのギタリストで刺激を受ける人を挙げるなら?

高橋:
Suchmos(TAIKING)やSANABAGUN.(隅垣元佐)のギタリストはめちゃくちゃ上手いですよね。

早川:あとは、最近対バンしたKing Gnuのギタリスト(常田大希)。足元がすごくシンプルなのにすごくいい音を出していて「腕があるんだな」と思いました。ギターのみではないですが、WONKのサポートの安藤さん(MELRAW)。あの辺りのジャズっぽいアプローチをする人たちにはちょっと憧れてます。

高橋:テクニックのある人に憧れる・・・(笑)。

早川:結局自分はロックっぽいギターしか弾けないけど(笑)。

高橋:僕も何だかんだでロックですね。もともとブルースとかが好きだったし、ギター・ソロもロック系のギタリストの影響を受けているので。

─では、2人がそれぞれ、ギタリストとして一番大切にしていることは?

高橋:
僕はライブではMCも担当しているのでギターを置くときもあって、ギタリストでありつつもフロントに近い役割もしているんです。それもあって、LUCKY TAPESではシンプルでかっこいいこと追究して、いつでも自分が動いたり、体を動かしたりしてお客さんを盛り上げることを心がけていますね。僕以外のメンバーがみんな喋らないので、僕が間口を広げる必要があるんですよ。だから、ギター以外の悩みが多いですね(笑)。大きくバンドを見たときに、ギターは意外と優先順位が低くなってしまうというか。

─サポートも含めて、ギタリストとしてこんな風になりたいというイメージはありますか?

高橋:
「いつ聴いてもかっこいい」というか、耳を傾けたらかっこいいんだけど、普通にボーッと聴いていたら気づかれないような、音に馴染むような存在になりたいとは思っていますね。

─実はそれが一番難しいことだったりもすると思います。

高橋:
確かに、スタジオ・ミュージシャンの方もそうですよね。でも、それでいて個性は出していきたいです。「あの人のギターだな」と聴けば分かるようなプレイには憧れるなぁ・・・。

早川:DATSの場合は目に見えてギターが入ってない曲もあるので、ライブでギターを持つ場面があるときは派手なことをやろうと意識しています。サンプラーやパッドも使いつつ、同時にライブでしか入っていないギターのフレーズを弾いたりもしていて。新曲はギターがより入ってきているんですけど、そういう曲ができはじめているのは、『Application』以降のライブで自分がギターを加えたりしていたのを、曲を作っている杉本(亘)が汲んでくれたのかな、と。新曲ではコードはあまり弾かずに単音のフレーズや派手なカッティングをしています。

高橋:僕もギターを持つからにはギターでしかできないかっこいいことをやろうとは心がけてます。ただ、新曲の方がギターが静かになってますね。

早川:うそ!

高橋:セカンドの時はベースよりも先にギターを入れたので手数が多くなったんですけど、そこでやり過ぎた結果、ライブでグルーヴを保つのが難しくて。それで最近は超シンプルにしているんですよ。グルーヴ重視で、ギターは主役じゃない感じ。バンドに楽器が多いので、アルバムに2曲くらいギターが主役の曲があればいいと思うんですよね。

─さっきのギタリストとしての考え方と繋がってくる話ですね。

高橋:
難しいことをやっていると前に行けないんですよ、純粋に。ギターを弾きながら「次は何を喋ろうかな?」と考えたり、お客さんの様子を見たりする必要があるので。

早川:僕も全体の中でちゃんと良いバランスで収まっていることは一番大切にしていると思います。

高橋:出るところは誰よりも出て、それ以外の時は主役をゆずる、というか。

早川:そうそう。バランス感覚は大事にしていきたいですね。曲がよくなるためならなんでもやるけど、曲に必要のないことはできてもやらない。あとはステージの佇まいで自分らしさは出したいので、目立つ時は一番目立つように心がけてます。「あいつなんかすげぇな!」って思ってもらえたら嬉しいので。

高橋:実際、早川くんのプレイはすごく写真映えするよね。

早川:そう?

高橋:だって、めちゃくちゃいい顔で弾いてると思うし。

早川:顔で弾くタイプなんでね(笑)。

バンドシーン最前線で活躍するギタリストが憧れるアーティスト(3)

バンドシーン最前線で活躍するギタリストが憧れるアーティスト(4)

─自分の理想のプレイのために欠かさず行なっていることというと?

早川:
高揚感を出したくて、DATSのときだけはライブ前に必ずビールを飲みますね。ほろ酔いまではいかないけど、1~2杯飲んでステージに立つようにしています。一度試しに飲まないで出てみたら、「何か違うな」と思ったんですよ。

高橋:逆に僕は全然飲まないです。一度飲んでライブをしたら、1曲目で弦を切ってしまって、「これはやめよう」と(笑)。

早川:あとは結局、毎日練習するということですよね。最近は特に、「どうやってお客さんを喜ばせるか」を考えているので。

高橋:うちの場合は、そういうことを考えているのが自分しかいないからやばいです(笑)。僕もほぼ毎日触ってますよ。考えごとをするときもギターを触りながら、という感じで。

早川:ギターを触ってると安心するよね。

高橋:そう、膝に乗っけてるだけで安心する。最近はアコギの練習もしています。表現力が変わってくると思うので。あとはこの間、LUCKY TAPESとは別の現場でテキサスから来たファンク・バンドと対バンをしたんですけど、その人たちのギターの表現力がすごくて。シンプルなのに表現の幅の違いを感じました。日本人は家が狭いのでアンプを使わないで練習しますけど、向こうの人って常に20~30ワットの大きな音を鳴らして練習してるんで、繊細なタッチの表現が全然違ってくる。「これは日頃から音を出して練習してるからだろうな」と思って、最近はスタジオに入ってギターを練習するようにしました。そうすると全然違うんですよ。小さい音のニュアンスをちゃんと確認できる。

─2人がギターに魅了されたのはなぜだったと思いますか。他の楽器とは異なるギターならではの魅力というと?

高橋:
ギターはどこのポジションにも行ける楽器だと思います。もともとギターはリズム楽器として生まれましたけど、ロックの時代が来たことでリードも取るようになって。カッティングもできるし、和音も鳴らせるし、エフェクターという飛び道具も使える。何でもできちゃう振り幅が魅力だと思います。

早川:僕は感情を一番出しやすい楽器なのかな、と思いますね。歌を除いたら一番感情を出しやすい楽器だと思う。実際、ベースをやっていた頃よりも、ギター・ソロの方が自分の思ってることを伝えやすいし、音色ひとつ取っても、フレーズも、弾き方も、すごく感情を出しやすい。

─早川さんは最初はベースから楽器をはじめて、DATSにギタリストとして加入して、その後メンバー・チェンジの際にも自分はギタリストのままで新しくベーシストを迎えています。これもギターに魅力を感じたからですか?

早川:
「このバンドではギターを弾きたい」という意識はあったんじゃないかと思います。それに、僕は「ギタリストっぽい」ってよく言われるんですよ。もともとはベーシストだったのに(笑)。

高橋:俺なんかよく「スタッフっぽい」って言われるよ!(笑)。自分の場合、もともとは小さい子が〇〇レンジャーやヒーローに憧れるような気持ちでCharさんのようなギターヒーローに憧れて、でも性格との兼ね合いで今のようになってきて。だから、実はギタリスト的な、バーン!と派手なことにも興味があるんですよね。

─ギタリストとしてソロ・アルバムを出すのもいいかもしれませんね。

高橋:
そういうこともやってみたいです。でも、自分のプレイがこの先どんな風になるのかは分からないですね。それはバンドの音楽ありきの話なので。

早川:面白いね。バンドのギタリストなのに、「どうなるか分からない」って。でも自分も、全く違うギターを弾いてるかもしれない。一年前はドロップチューニングで弾いてたもん。

高橋:やっぱり、バンドに合わせて変わっていくものなんだよね。自分のバンドの音楽が好きだったらなおさらね。

─リフやソロなど、2人がそれぞれ影響を受けたり、刺激を受けたりしたフレーズはありますか? 昔のものでも最近のものでもいいので、思いつく曲やアーティストなどがあれば教えてください。

早川:
最近他のインタビューで「一番聴いた曲」を聞かれたんですけど、そのときに挙げたのはカマシ・ワシントン

高橋:スティーヴィー・レイ・ヴォーンの「テキサス・フラッド」は出だしのイントロが好きですね。
    • Texas Flood/Stevie Ray Vaughan & Double Trouble

      シングル

      205

      Texas Flood
      Stevie Ray Vaughan & Double Trouble
  • 早川:あとは、ジョニー・グリーンウッドもすごく好きです。エモい曲が好きなので、「ジャスト」のフレーズとか。どれに入ってましたっけ?

    ─「ジャスト」はThe Bendsですね。

    高橋:
    最近はナイルが弾いているダイアナ・ロスの「I’m Coming Out」の中に一瞬出てくるフレーズが超かっこよくて聴いてます。
  • ─では、自分たちの曲の中で、一番気に入っているフレーズやリフというと?

    高橋:
    「シェリー」ですかね。あれは実は、レイ・ヴォーンの応用なんですよ。それを「シェリー」のイントロでホーンで吹いたらいいかもと思って、ギター・フレーズを少し参考にしつつ、ホーンの音を考えていきました。あれはすごくよく出来たなと。あと、「シェリー」のギター・ソロはスタジアム級の会場で弾いた時のイメージで、これもよくはまったと思います。LUCKY TAPESは他にもたくさん楽器があるから他の人にソロを任せることも多いので、入れるなら「そのギター・ソロいいね」って言わせるようなものを弾きたいですね。
  • 早川:DATSだと会場限定盤に入っている「Cool Wind」のギター・ソロは気に入ってます。ギター・ソロを久しぶりにちゃんと弾きました。あまり弦の移動をしないで、一本でやったのもいいな、と。odolだと最近出した“狭い部屋”の最後のサビで歌メロの裏を追っかけるフレーズ。色んなエフェクトをかけてちょっと飽和させるようなフレーズを入れられたのは結構気に入ってます。
  • ─2018年、もしくは今後、新たに挑戦してみたいプレイを挙げるなら?

    高橋:
    テクいことがやりたいですね。あとはファンクやルーツ・ミュージックが好きな部分を今まで以上に演奏に還元したい。海外のアーティストはカッティングの音ひとつ取っても違うので。たとえば、ザ・ルーツとベティ・ライトが出した共演盤『Betty Wright: The Movie』も本当にすごいですよね。フレーズ自体は簡単なのに同じようには弾けない。僕もそういうギタリストになりたいです。

    早川:僕もフレーズや音色を凝って、聴いただけで「この人のギターっぽい」と言われるようなものを弾きたい。シンプルなフレーズだけど聴いたことのないような音で、「どうやって出してるんだ?!」って思われるようなことはやりたいです。あと、やばいファズとか使ってみたい。ファズはロマン・・・。

    高橋:ファズの沼はやばい(笑)。

    ─ライブ・パフォーマンスでやってみたいことはありますか。

    高橋:
    僕は今年、ハンドマイクを持ってフロアに降りたんですよ。

    早川:それ観た!

    高橋:これもやってみたかったことのひとつでした。1年前は自分がそんなことをするとは思っていなかったので。

    早川:ワイヤレスも使ってみてよ。色んなパフォーマンスができるようになると思うしね。僕も来年まだわからないですけど、会場のキャパも大きくなっていくと思うので、そのステージに見合うパフォーマンスをしていきたいです。

    高橋:あとは踊れるようにもなりたい。なので・・・鏡を見ながら練習します(笑)。

    バンドシーン最前線で活躍するギタリストが憧れるアーティスト(5)


    Interview&Text:杉山 仁
    Photo:大石 隼土

    <mysoundアーティストページ>

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