冬に聴きたくなるアンビエント・エレクトロニカ音楽10選

冬に聴きたくなるアンビエント・エレクトロニカ音楽10選

個人ブログ「orange plus music」でアンビエント・エレクトロニカなどの落ち着いた音楽紹介をしている石松豊です。今回はmysoundの中から、「冬に聴きたくなるアンビエント、エレクトロニカ」というテーマで10曲選ばせていただきました。それぞれの冬の情景を思い浮かべながら、ぜひ聴いてみてください。
 

#1. Helios - Velius

「冬に聴きたくなるアンビエント・エレクトロニカ」と聞いてまず浮かんだアーティストがKeith Kenniff。彼のプロジェクトの一つHeliosは、ダウンテンポのリズムトラックの中、ディレイやリバーブが存分にかかった透明な電子音が耳に心地よく、冬の冷たい空気にぴったり似合う音楽です。コートを着て、マフラーを巻いて、白い息を吐きながら、ゆっくりと人通りの少ない道を歩くときに聴きたいような一曲。

Velius

Helios

 

#2. Taylor Deupree/Markus Fischer - Weaver

ブルックリンの電子音響レーベル「12k」のオーナーTaylor Deupreeと、同じく12kよりリリースしているアーティストMarkus Fischerによる楽曲。フィールドレコーディングを交えながら静かなサウンドスケープを届けてくれる2人が作り出す風景は、まるで冬の静けさの中、枯れてしまった木に囲まれた小さな湖で、少しだけ波打つ水の動きをずっと眺めているような気持ちになります。

Fischer: Weaver

Taylor Deupree/Markus Fischer

 

#3. Federico Durand - Mi pequeño mundo de papel

アルゼンチンには巨大な氷河があります。地球の歴史を感じさせるほど大きなものですが、今も成長と崩壊を繰り返すことから「生きた氷河」と呼ばれているそうです。アルゼンチン出身Federico Durandの音楽を聴くときは、静けさの中に氷が溶ける音が混じるように、丁寧に紡がれた小さな電子音を味わうような楽しみがあります。

Mi pequeno mundo de papel

Federico Durand

 

#4. Tobias Wilden - About Isolation / Ripples

アルバムジャケットのように雪がひとしきり降り積もった山にある小屋で、暖炉を焚きながらひとりピアノを弾くような情景が浮かぶ音楽。Tobias Wildenが住むドイツの冬は日が短く、太陽もあまり出ず曇った日々になるそうです。彼の楽曲を聴くと、そんな中でも小さくあたたまることができるような気がしてきます。

About Isolation / Ripples

Tobias Wilden

 

#5. haruka nakamura - harmonie du soir

教会に集まった人々の中に差し込む光のように、暖かく包まれるピアノと管楽器の音がここにはあります。haruka nakamuraさんのライブに行くと、即興演奏やゆっくりと奏でられるメロディに、その場所その時間でしか感じることができないような、優しく心に響く穏やかな波のようなものを感じる瞬間があります。このライブ録音版の楽曲からも、会場全体のぬくもりが伝わってきます。

harmonie du soir

haruka nakamura

 

#6. yutaka hirasaka - eau

冬の朝は寒い。特に休日はずっと寝ていたい。そうやってお昼頃まで布団にくるまっていると、外から子供が遊んでいる声が聴こえてくる。子供の頃の懐かしい記憶を思い出しながら、まだ起きたくないからもうひと眠り。yutaka hirasakaさんのソロ作品では、ノスタルジックなギターのアルペジオやピアノのメロディが、フィルム写真のような懐かしい情景を心に浮かばせる気がします。

eau

yutaka hirasaka

 

#7. Niao - sonicbrat

年中暑いシンガポールにも冬の情景を感じる静かな音楽があります。紹介したいのは、作曲家sonicbratことDarren Ngの2枚目のアルバムの最後の一曲。静かで寂しげなピアノのメロディに引き込まれて聴いていると、だんだん重なっていく弦楽器の美しい旋律にいつの間にか感動していて、どこか心を持って行かれたような気持ちになります。

Niao

sonicbrat

 

#8. Hirofumi Nakamura - Planxty Dermot Grogan

アイルランド音楽を演奏するユニットJohn John Festivalのギターでもある、Hirofumi Nakamuraさんの初のソロ作品から一曲。ギターのみで音の強弱や僅かなテンポを豊満に表現し、静かながらもエモーショナルなメロディを感じます。アイルランドでは、パブや家など日常生活に密着した場所で音楽を演奏する文化があるそう。食事をしながら親しい人と話すような賑わいも聴こえてきそうですね。

Planxty Dermot Grogan

Hirofumi Nakamura

 

#9. [.que] - Anymore feat. 別野加奈 (Kana Wakareno)

アコースティックギターやピアノを中心に、まっすぐ前を向いているような透き通ったフォークトロニカ音楽をつくる[.que]さんが、昨年リリースしたアンビエント作品。ボーカルには、ピアノと歌で映画音楽のようなソロ作品をつくられている別野加奈さんが参加。ダウンテンポのピアノと、静かな声に安心感を覚える、冬の一人の夜に聴きたい一曲です。

Anymore (feat. 別野加奈)

[.que]

 

#10. mus.hiba - Yuki

最後はインターネットを拠点に活動するmus.hibaの冬を意識した1stアルバム「White Girl」から、曲名は「☃(雪だるまの記号)」。ふわふわと重なる電子音と間奏の少し激しめな打ち込みに、窓の外に降る雪を見ながら家の中で一人踊っているような気持ちになるエレクトロニカです。ヴァーチャルシンガー「雪歌ユフ」が歌う歌詞には、実在しない彼女自身と、mus.hibaが感じる現実に対しての儚さが重なって聴こえてきます。

Yuki

mus.hiba

 

いかがでしたか。音楽を聴いて風景を想ったり、日常生活の中で音楽を思い出したりする機会になれば幸いです。気に入ったアーティストがいたら、ぜひ別の作品も聴いてみてくださいね。

 

Profile

石松豊(がちゃーん)

 

音楽とインターネットが好き。CINRAの制作ディレクター。orange+me名義で音楽を作りつつ、個人やGerbera Music Agencyでミュージシャンを支援しています。

 

BLOG:http://orangeplus.me/

WORKS:http://orangeplus.me/work/

Twitter:https://twitter.com/orange_plus_me

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