【2018年注目のバンド】宮内シンジ(YOUR ROMANCE)、佐藤栄太郎(indigo la End)井上まさやによるMISTAKESの時代を彩った邦楽集

【2018年注目のバンド】宮内シンジ(YOUR ROMANCE)、佐藤栄太郎(indigo la End)井上まさやによるMISTAKESの時代を彩った邦楽集(1)
mysoundイチ押しのアーティストにテーマに合わせた楽曲をピックアップしてもらい、その曲にまつわるエピソードから本質を掘り下げていくプレイリスト企画。今回は昨年12月に正式なデビュー曲「時代」をリリースしたばかりの3人組、MISTAKESの登場です。YOUR ROMANCEのボーカル宮内シンジ、indigo la Endでも活動する佐藤栄太郎、デリシャスウィートスのメンバーでもある井上まさやの3人が集まって生み出される楽曲には、海外の音楽シーンのトレンドともリンクするソウルのフィーリングと、普遍的なポップ・ソングとしての魅力が高い次元でひとつになっています。今回は「MISTAKESの時代を彩った邦楽集」をテーマに、メンバーが影響を受けた日本の音楽を選んでもらいました。

【2018年注目のバンド】宮内シンジ(YOUR ROMANCE)、佐藤栄太郎(indigo la End)井上まさやによるMISTAKESの時代を彩った邦楽集(2)
L→R:井上まさや(B)、宮内シンジ (Vo/G)、佐藤栄太郎 (Dr)

INTERVIEW

―今回はみなさんが影響を受けたJ-POP作品を選んでもらいました。まずはそれぞれの楽曲について、どんなところに魅力を感じたのか教えてもらえると嬉しいです。宮内さんの1曲目は菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールの「Super Rich Kids」ですね。

宮内シンジ (Vo/G):
今回は時代をテーマにしつつ、自分たちが影響を受けたJ-POPを選んでみました。「Super Rich Kids」はフランク・オーシャンのカバー。原曲が入っている『Channel Orange』が出た12年頃は周りのインディ・ロック・バンドを聴いていた人たちがUSメインストリームの音楽やブラック・ミュージックも普通に聴くようになってきた時期で、そのきっかけになったのが『Channel Orange』だったと思うんですよ。「ストロークスのファーストみたいなアルバムだな」と思いました。
    • Super Rich Kids/菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール

      シングル

      257

      Super Rich Kids
      菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
  • ―新しい時代のはじまりを象徴する作品、ということですね。

    宮内:
    そうです。最初に聴いた人はびっくりしたり、理解できなかったかもしれないけど、結果的にその時代の一番かっこいいものになったというか。今回は日本のアーティストで選ぶというテーマだったので、菊池成孔さんのカバーにしました。菊池さんは、面白いカルチャーがあるところにちゃんといる感じがすごい。14年の『戦前と戦後』(菊池成孔が洋邦問わず戦前/戦後の楽曲をカバーしたボーカル・アルバム)の曲ですね。

    佐藤栄太郎 (Dr):「Super Rich Kids」のカバーは今っぽい現象ですよね。フランク・オーシャンを筆頭に、ジャンルの輪郭を失くしていく最新のR&Bを受けて、菊地さんのような方がバンドでカバーするのはとても良いことだと思います。

    宮内:次の矢野顕子さんの「ROSE GARDEN」は81年の『ただいま』の曲。坂本龍一さんが一緒に作っていますけど、YMOやティン・パン・アレー(細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、佐藤博、林立夫によるバンド)周りの人たちがたくさん参加していて、フュージョン的な感覚がある。当時の海外の音楽を比べても遜色のない音を鳴らしていると思うので、これも時代を象徴する曲だと思います。安全地帯の「ラン・オブ・ラック」は、この人たちの曲の中でもポップスの黄金時代の雰囲気の曲というより、ギター・ポップなんですよね。
  • ―ネオアコのような雰囲気がある曲ですね。

    宮内:
    アルバム『リメンバー・トゥ・リメンバー』(83年)の楽曲は基本的にはハード・ロックですけど、中でもこの曲は唯一のギター・ポップ。安全地帯はポップスを作っているバンドというイメージでしたが、ストリーミング・サービスで過去の音源を初めて聴いて、安全地帯はロックバンドという認識に変わりました。
  • ―続いて佐藤さんは、なんと3曲全部がサザンオールスターズ(笑)。

    佐藤:
    (笑)。僕が最初にひとつの音楽を深く掘っていこうと思ったのがサザンだったんですよ。TVで観て、最初はすごく言葉が詰まっているから何を歌っているのか分からなくて。それで両親にTSUTAYAの会員証を作ってもらって借りに行きました。小学校の頃ですね。その後SHERBETSや椎名林檎さんを聴きはじめるんですけど、サザンは体のどこかにずっとある感覚でした。ジャンルが幅広くて、同じバンドとは思えないくらいプロダクションの幅も曲の幅も広い。中でもこの3曲は本当にやばいと思います。

    ―ドラマー的な視点で選んだ部分もありますか?

    佐藤:
    僕の場合、あまり自分のことをドラマーだと思っているわけではなくて、バンドでひとつの音楽を作っていく中で、自分の担当がドラムだという感覚なんですよ。後期のサザンは毎曲全然違うドラマーかと思うくらい幅が広くて、そういう部分は自分に影響を与えているかもしれないです。でもやっぱり、第一に曲としてパーフェクトなので。この3曲は好き過ぎて、いつも「トリビュート盤が出るなら誰にカバーしてほしいか」を考えています(笑)。「メリケン情緒は涙のカラー」は林檎さん、「君だけに夢をもう一度」はLEO今井さん、「よどみ萎え、枯れて舞え」はSuchmosにカバーしてほしい。

    井上まさや(B):小学校の頃だと、サザンを聴いていても湘南には行ったことないよね?

    佐藤:ないない。瀬戸内海だよ(笑)。もう一曲、「みんなのうた」のシングルB面の「おいしいね ~傑作物語」という曲も好きで、メンバーとカラオケに行ったときに歌ったりもしました。この間、29歳になってやっとサザンの曲だけを歌うカラオケに行けたんですけど、もう3時間があっという間で、みんな泣いていましたね・・・。
  • ―そして井上さんの1曲目も、桑田佳祐さんの「祭りのあと」です。

    井上:
    僕もこの曲はカラオケでよく歌う曲です。今回、時代がひとつのテーマになっていたので、男の一時代が終わってしんみり歌うような感じが合うなと思ったんですよ。「自分の人生も一花咲いたな」というときに歌えたらいいなと思う曲です。
  • ―歌詞に男の弱さが出ているところが魅力的ですね。

    井上:
    そうなんですよ。30~40代のいい塩梅の切なさがある曲。

    佐藤: A1とA2で歌詞にまったく違うライフスタイルを描くことが出来て、なおかつ各々の失敗と「でも、色々あったな」という感じでそれぞれ締めていて。本当にすごい。

    宮内:なんか、栄太郎さんが選んだ曲みたいになってるけど・・・・(笑)。

    井上:(笑)。でもまさに、そういう男の人生を歌った曲です。次のボ・ガンボス「時代を変える旅に出よう」は、時代というテーマもあってこれだ、と。僕はPファンクも好きなんですけど、当時の映像を観ると衣装も華やかですよね。フレーズもすごくセンスがある人たちで、もう「好きやーん・・・」って。久保田利伸さんの「LOVE RAIN~恋の雨~」は、大学時代の思い出の曲。コピバンサークルで卒業前の最後の演奏で選びました。アルバムとしては『BONGA WANGA』(90年)が一番好きですけど、久保田さんの曲のベースはすごくて、ブーツィー・コリンズが参加している曲もある。この曲もカラオケに行ったら必ず歌います。
  • 宮内:まさやさんはJ-POPもブラック・ミュージックもどっちも好きな人というイメージで、今回のセレクションもその雰囲気に合っていますね。

    井上:そういえば、僕らの「時代」のMVを撮っている休憩中に、なぜか僕が(ボ・ガンボスの)「魚ごっこ」をずっと弾いていたんですよ(笑)。4~5回続けていくうちにだんだんみんな笑うようになってきて・・・。反復の笑いです、ファンクの美学。

    佐藤:ダンサブルな笑い(笑)。

    井上:“♪魚じゃないとやってられないよ”ってね(笑)。

    ―小さい頃から、プレイリストを作るのは好きでしたか?

    宮内:
    俺はヒップホップを集めてプレイリストを作ってMDに焼いてました。西海岸と東海岸とか、地域ごとに分けたりもしていました。

    佐藤:僕は学生時代に気になる女の子がいて、「音楽詳しいんでしょ? 何か教えてよ」と言われたんで、8枚ぐらいMDをあげたら、何も反応が返ってこなかった・・・。

    ―気合を入れすぎてしまった(笑)。

    井上:
    僕は全然やっていなかったですけど、10曲入りのアルバムを好きな曲だけ間引きして7曲ぐらいにして聴いたりしていました(笑)。

    ―みなさん趣味はそれぞれだと思うのですが、このメンバーに共通する要素というと?

    宮内:
    MISTAKESのメンバーは、みんなリズムやグルーヴに厳しい人たちだと思うんですよ。ベースとドラムだけではなくて、楽曲全体のグルーヴへの感度が高いというか。それをみんなの共通項として理解し合えるような雰囲気はあると思いますね。

    ―今回リリースされたデビュー曲「時代」についても教えてください。

    宮内:
    この「時代」がデビュー曲ではありますけど、俺らはもう5年ぐらい活動してきて、実はもともと「時代」と同じイントロのフレーズを使った初期の曲があったんですよ。それにずっと手を付けていなかったんで、一度ぶっ壊して再構築したのが今回の「時代」です。コード進行も全然違うし、引用したのはフレーズだけで、ほとんど別の曲ですね。
    俺らとしては完全に新しい曲をやっているというイメージなんですよ。

    ―ソウルのフィーリングがあって、同時にポップで普遍的な歌心もあって――。この曲を聴けば、MISTAKESの魅力が分かるような楽曲になっていると思いました。

    宮内:
    たとえるなら、「綺麗な格好をして、ニコニコしているMISTAKES」です。今後リリースする曲にはヒップホップに寄り添った曲もあったりするので色々だとは思いますけど、「時代」はMISTAKESが持っているポジティブな一面に焦点を当てることが出来た曲で。だからこそ、俺らの最初の1曲としていい内容になったんじゃないかと思っています。俺らは今やっと「本格的に活動するぞ」という最初のスタートに立てたところなので、今後も色んなアイデアを入れつつ音楽を作っていきたいです。

    佐藤:2018年は歪んだギターがくると勝手に思ってるんですよ。

    井上:ライブももっとしたい。僕ら、あまりライブに呼んでもらえないので(笑)。

ORIGINAL PLAYLIST

MISTAKESの時代を彩った邦楽集

宮内シンジ (Vo/G)

NEW RELEASE

MISTAKES『時代』
2018.12.22(金)Release
※配信サイト限定
    • 時代/MISTAKES

      シングル

      257

      時代
      MISTAKES

DISCOGRAPHY

PROFILE

2014年に結成されたMISTAKES。都内を中心に活動するVo. 宮内シンジ(YOUR ROMANCE)、Dr. 佐藤栄太郎(indigo la End)、Ba. 井上まさやの3人組。

Twitter
https://twitter.com/403mistakes404


Text&Interview:杉山仁
Photo:nakamura shintaro

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