クルマと音楽 ~車内音響は至福のオーディオルームと成り得るか!?~

クルマと音楽 ~車内音響は至福のオーディオルームと成り得るか!?~
日本の住宅事情やライフスタイルを考えた際、自宅で思いっきり音楽を楽しむのは難しい。CDプレイヤー、アンプ、スピーカーという時代も今は昔……。
そもそも現代のライフスタイルの中で、自身の部屋にステレオシステムを所有している人は少ないだろう。昨今ではプレイヤーはスマホ、それをBluetoothで接続するスピーカーシステムというスタイルが主流になりつつも、やはり近隣に気を使って音量を気にして存分に音楽を楽しめていないのではないか!?
その点、クルマは最高のオーディオルームに成り得る重要なプライベート空間だ。

クルマと音楽 ~車内音響は至福のオーディオルームと成り得るか!?~(2)
クルマと音楽 ~車内音響は至福のオーディオルームと成り得るか!?~(3)

そういう観点から、筆者は先に開催された東京モーターショー会場で、ただただ車内音響に焦点を絞って、各車に内蔵されているオーディオシステムに注目をしてみた。リポートついでに、昨今のカーオーディオ事情と、車内音楽生活をより楽しくする術を検証し、最新のクルマと音楽の関係をリポートする。

クルマがプライベート・カラオケBOXと化す!

クルマがプライベート・カラオケBOXと化す!(1)
クルマがプライベート・カラオケBOXと化す!(2)

カーステ、カーナビ業界は、スマホの発展に伴って思考や発想を大きくシフトすることを余儀なくされた業種の一つ。
今回のモーターショーでも、車内オーディオシステムを手がける国内2大メーカー「アルパイン」と「カロッツェリア(パイオニア)」も、もはや音響というよりもカーナビ方面に力を注ぎ、その技術力は自動運転システムにまで及び始めていた。
完全な自動運転になる世界はまだもう少し先の話かもしれないが、運転に従事せず、車内空間は目的地までの移動時間を楽しむエンターテイメントの場となる……。そんな未来を見越してか!? ヤマハ「mysound」はアルパインカーナビとの製品コラボレーションで、リアシートでカラオケを楽しめる「スペースクリエイター」のカラオケ楽曲配信サービスの展開を開始している。


お盆や年末年始の帰省ラッシュ渋滞のストレス解消だけでなく、もはや自家用車が気兼ねなく歌い放題の「プライベートカラオケBOX」と化す画期的なアイテム。カラオケをしにクルマに向かう……ちょっとした買い物や週末だけしか使わないウィークエンドユーザーも、毎日の通勤通学に利用するヘビーユーザーも、移動手段という使命にとどまらず娯楽空間という新たな使用用途を歓迎する向きは多いだろう。
ありそうでなかった“車カラオケ”、これは注目に値するサービスだ。

ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入

大声で歌うだけでなく、大好きな音楽を思う存分味わいたい派にはオーディオルーム的役割を担うのも車内空間。どうせなら良い音で聴きたいのが心情というもの…。今回のモーターショー会場で、昨今の車載スピーカー事情を調べてみたところ、事前の予想通りではあったが、クラシック・ミュージックの歴史も重厚に、そして現代においてはテクノ大国であるドイツ車は全メーカー音響へのこだわりが圧倒的に優れていた。

ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入(1)
ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入(2)
ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入(3)

まず、BMWにはビートルズのアルバム名でも有名なアビー・ロード・スタジオにも採用されている英国製オーディオメーカー「Bowers&Wilkins」が搭載されている。アルミ削り出しのパネルの高級感とインテリアとの融合感も完璧だ。

ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入(4)
ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入(5)

一方のメルセデスは自国ドイツの音響メーカー「Burmeste」を搭載。パネルはカーボン素材を採用し、スポーティーな印象。
また、メルセデスのGクラスには昨今日本でもBluetoothスピーカーなどで、名前が知れてきた米国メーカー「harman/kardon」が搭載という使い分けがされており、この「harman/kardon」は他にもJeep、MINI、BMW 6シリーズ・7シリーズ、国産車ではSUBARUのレガシーやフォレスターにも搭載されていることを確認できた。

ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入(6)

ポルシェも同様に「Burmeste」を採用しつつ、車種によっては「BOSE」を搭載という使い分けを行っているようだ。

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ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入(8)

AUDIに至ってはデンマークの「Bang & Olufsen」を搭載。
聴く音楽のジャンルにもよると思うが、AUDIとBang & Olufsenというコンビネーションは、最強の車内音響空間を作り出すのではないか!? というイメージが即座に頭に浮かぶ。「Bang & Olufsen」スカンジナビア・コンビネーションとでも言おうか、このシステムはスウェーデン車 VOLVOにも採用されていた。
ただ、ドイツ車の例外としてフォルクス・ワーゲンがいまひとつサウンドシステム的に特出するポイントがなく、同様にフランス車はどこのメーカーもサウンドシステムに至っては残念きわまりなく、ドアを開けるたびにがっかりしてしまった。

同様に国産車もほぼ全滅。
先に述べたように、日本の住宅事情を考えたら、唯一の音楽鑑賞空間として機能する車内音響に国産車こそが着目し、注力すべきでは!? と、期待していたが、実態にリサーチをしてみると軽視されていたのが現状だった。
高級モデルに至ってのみ、ようやく有名オーディオメーカーのスピーカーを搭載し始めている車種が見られる程度だ。
いや、軽視というよりは、日本車の音響は後からオプションで自分好みのサウンドシステムを予算に応じて付け加えるという楽しみを残している「選択肢の配慮」がなされている文化層であり、そうした土壌が「アルパイン」や「カロッツェリア(パイオニア)」といった国内メーカーの活躍にも繋がっているのかもしれない…。

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ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入(10)
ドイツ車が圧倒する高級オーディオメーカーのカーオーディオ参入(11)

そんな中、大衆車種で唯一頑張っていたのが、日産LEAF。
最上モデルにはプリセットでBOSEが搭載されており、グレードが下のモデルでもオプション搭載出来る仕組みになっていた。
その他のメーカーは、標準装備で目立ったサウンドシステム搭載車は皆無で、レクサスが高級オーディオ・システム、Mark Levinsonを専用設計を用いて導入していたり、ホンダのレジェンドクラスでようやく圧倒的な臨場感を再生する米国有名音響機器メーカーKrell搭載車が展示されるという感じ。
国産外車を問わず、高級車はオーディオシステムも当たり前のように標準装備されているようであるが、LEAFが先導しているように、電気自動車やハイブリット車というエンジン音が殆どしない静音車種での音響空間は、これまで以上に鑑賞空間として最適な提案になり得るのではないだろうか? 否が応でも今後の展開に期待が高まるのだった。

クルマに寄り添う忘れてはいけない「ラジオ」という存在。

クルマに寄り添う忘れてはいけない「ラジオ」という存在。

ラジオの聴取環境として、切っても切れない空間が車内。
定期的に流れる道路交通情報を得る目的以外にも、運転のお供として、その日の最新ニュースやトピック、巷で話題のヒット曲などを収集出来る手段として「エンジンをかけると同時にラジオが流れる…」というドライバーは少なくないのではないか。
好きなアーティストのアルバムをBGMにドライブというのももちろん良いが、夜のドライブはDJに身を委ねてみるのも悪くない。
普段自分では選ばない曲や、思いがけなく出会う名作発掘は、やはり選曲のプロに任せるのがイチバンだ!
ということで、最後は現在J-WAVE(81.3FM)にて毎週日曜日20:00~20:54に放送中の「antenna* Travelling Without Moving」ナビゲーター、野村訓市氏に『夜のドライブ』にお勧めの楽曲をセレクトしてもらった。
寒い冬こそ嬉しい、車というオーディオルームで味わう至福のひととき。そのお供になれば幸いだ。

<Kunichi Nomura Recommend for Midnight Driving>

1:Nick Drake / Pink Moon
    • Pink Moon/ニック・ドレイク

      シングル

      257

      Pink Moon
      ニック・ドレイク
  • 2:The Alan Parsons Project / Don’t Answer Me
  • 3:Big Star / Thirteen
  • 4:Bruce Springsteen / Drive All Night
  • 5:Lou Reed / Coney Island Baby
  • 6:R.E.M. / Find The River

  • <野村訓市 プロフィール>
    編集、デザイン業。1973年東京生まれ。インタビュー雑誌『Sputnik』を手掛けたのち、内外の様々な雑誌で編集、執筆に関わる。『Studio Voice』 クリエイティブディレクターを務めたほか『BRUTUS』『EYESCREAM』『OSEANS』『GRIND』で連載中。またTripster所属としてブランディングや様々なインテリアデザインを手がける。現在はウェス・アンダーソン監督の次作『犬が島』の原案制作に従事。


    Text, Photo & Edit:KOTARO MANABE

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