坂本龍一、THE YELLOW MONKEY ミュージシャンによる珠玉の音楽ドキュメンタリー2作品が今秋公開!

“坂本龍一、THE YELLOW MONKEY ミュージシャンによる珠玉の音楽ドキュメンタリー2作品が今秋公開!(1)
今年で30回目を迎えた東京国際映画祭にて、坂本龍一の『Ryuichi Sakamoto: CODA』とTHE YELLOW MONKEYの『オトトキ』と、2つのミュージシャン・ドキュメンタリー作品が出品された。 2作品は、それぞれ趣の異なる方向性で撮られているものの、そこに映し出されるメッセージには共通して音楽が誕生する場に寄り添う大切なものたちの存在が紡がれている。そしてこの2作品に共通していたのは、ミュージシャンが「再生の瞬間」に立ち会ったドキュメンタリーであるということ……。 「楽器に触れた瞬間」「自分の求めていた音に出会った瞬間」、子供のような純真な笑顔を見せる両ミュージシャンの姿から、改めて気づかされる音楽の素晴らしさ。ドキュメンタリー映画という表現を通して、是非劇場で再確認して欲しい。

坂本龍一のドキュメンタリー作品『Ryuichi Sakamoto: CODA』


5年間という長期密着取材のドキュメンタリー素材を中心に描かれた本作は、3.11の津波で水没したYAMAHAのグランドピアノを弾き「ピアノの死体のような感じを受けた」と、語るシーンから始まる。
防護服を着用し、福島第一原発を囲む帰還困難区域に足を運び、首相官邸前の原発再稼動反対のデモに参加する姿。そして2014年の癌公表から闘病生活専念による音楽活動休止から再生するまでの過程と葛藤……。
冒頭早々に被災地慰問で演奏される「Merry Christmas, Mr. Lawrence」の旋律に早くも涙腺崩壊。ハンカチ持参必須となる……。

坂本龍一のドキュメンタリー作品『Ryuichi Sakamoto: CODA』(1)

「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」など、当時の撮影現場やサントラを手がけるきっかけになった裏話と共に、懐かしい映像も盛り込まれている。映画ファンには堪らないエピソードに加え、YMO時代の貴重な映像やコメント、N.Y.で体験した9.11、東日本大震災、原発反対、といった社会・環境問題へのコミットメント、そして自らの闘病生活、新作の制作現場……と、氏を通して映し出される様々な要素に触れて居ながらも、それぞれのエピソードに物足りなさを感じることもなく、かつ内容を詰め込み過ぎて散漫になるようなこともなく、一貫してバランスが取れた深淵なドキュメンタリー映画に仕上がっている監督の編集手腕に驚かされる。

坂本龍一のドキュメンタリー作品『Ryuichi Sakamoto: CODA』(2)

ドキュメンタリー作中には新作「async」のレコーディング風景として、自然の音に耳を傾け、アルバムに取り入れていく姿が時折登場する。
こうした、自然音と音楽の融合の原点はタルコフスキー作品の映画サントラやSEに影響を受けている部分もあるようだが、雨音、風音、木々の揺れる音、小鳥のさえずり、虫の音……。地球が放つサウンド全てが氏にとっては音響なのであろう。
    • async/坂本龍一

      アルバム

      2,100

      async
      坂本龍一
  • 坂本龍一のドキュメンタリー作品『Ryuichi Sakamoto: CODA』(3)

    こうした自然音と向き合って行くうちに、冒頭で『死んだピアノ』と評した「津波ピアノ」に関する感覚にも変化が起きる。
    「今はあの壊れたピアノの音色がとても心地良く感じる」と語り、津波に流され「自然の調律」を受けたピアノの音は、やがてサンプリングを通じて作曲プロセスの一部になり、氏が集めた〈音〉と、紡ぎ出した〈音〉が新たな表現へとして生まれ変わるのである。

    坂本龍一のドキュメンタリー作品『Ryuichi Sakamoto: CODA』(4)

    また、今回の第30回東京国際映画祭にて、坂本龍一は「SAMURAI賞」を授与された。
    2014年に設立され、今年で4回目の授与となるこの賞は、これまでに北野武、山田洋次、黒沢清らが受賞しており、時代を切り開く革新的な作品を世界に発信し続けてきた映画人に贈られる。
    受賞の挨拶では、授与されたトロフィーに刻印された刀をみつけ、デビュー作「戦場のメリークリスマス」のシーンで刀を扱うシーンがあった際のエピソードを語り、会場を沸かせた……。
    取材陣に対してのサービス精神やユーモアも兼ね備えており、そうした人柄も含めて、人間坂本龍一の魅力が余すところなく詰まっている『Ryuichi Sakamoto: CODA』。被写体本人もさる事ながら、今回注目すべきは、スティーブン・ノムラ・シブル監督の手腕。

    坂本龍一のドキュメンタリー作品『Ryuichi Sakamoto: CODA』(4)

    本作が長編第一回監督作品とは思えない編集能力を発揮しており、坂本とシブルの共鳴が劇場に響き渡るのである。

    2017年11月4日(土)角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
    映画『Ryuichi Sakamoto: CODA』オフィシャルサイト: http://ryuichisakamoto-coda.com/

THE YELLOW MONKEYに1年間密着した『オトトキ』


続いて2016年に再結成されたTHE YELLOW MONKEYのドキュメンタリー作品『オトトキ』も、ファンならずとも必見の出来。

THE YELLOW MONKEYに1年間密着した『オトトキ』(1)

『ピュ~ぴる』『GOSPEL』などのドキュメンタリー、劇映画『トイレのピエタ』等を手がけた、松永大司監督による本作は、釜山国際映画祭など海外の映画祭でも注目を浴びており、映画祭舞台挨拶での監督の説明によると

「この手のドキュメンタリーって、そのミュージシャンのファンしか観てもらえない。そうではなく、イエモンを知らない人が観ても面白いと思ってもらえるような構成を心がけた。なのでタイトルも『オトトキ』と、一見ではどんな内容の映画なのかわからない題名にした」

とのこと。
自らもイエモンの大ファンであるという監督が、彼らを知らない人々に少しでも魅力を知ってもらいたいという思いが伝わってくるその内容は、単なる再結成の舞台裏だとか、バンドの密着ドキュメンタリーと言ったありきたりなものではなく、“家族と友情”の物語に仕上がっている。

THE YELLOW MONKEYに1年間密着した『オトトキ』(2)

“楽器を持つと50のおっさんが、一瞬にして少年になる”

そんな魔法がかかる瞬間にカメラが立会い、丸裸の彼らを記録する。
4人共が良い意味で飾らず、ありのままの自分をカメラの前でもステージ上でも曝け出す。
他のミュージシャンではそこまでカメラに踏み込ませないのではないか?と、思わせるほどにサービス精神旺盛に、かつ謙虚な姿勢でメンバーを家族同然の存在と語り、泥臭い感じが良い意味で印象的だ。
1年がかりで113本のLIVEをこなし、延べ55万人を動員する超人気バンドではあるものの、スクリーンに映しだされる彼らは、それを観ている自分自身が投影されているような親近感を感じさせる。そんな空気感が、このバンドに人々が惹きつけられる核の部分なのでは無いか? スクリーンに映る彼らを観ていると「バンドっていいな!?」「楽器触りたいな……」という気にさせられるのだ。

1989年に活動を開始し、2001年に活動休止。そこまでが12年。
その後15年間の沈黙を破り再結成……。
学生時代はバンドをやっていたけど、就職して辞めてしまった。家族が出来てそれどころではなくなった……。理由は様々あるだろう。
15年目の再結成に密着した彼らの姿を観て「昔のバンド仲間と集まって、もう一度音をだしてみよう」そんな思いに駆られるのも悪くない。

カメラはメンバー4人だけでなく、スタッフ他、関係者の声も拾う。
中でも彼らのシングル「プライマル。」を手がけたプロデューサー、トニー・ヴィスコンティが語る言葉が、とにかく深く、素晴らしい。

「私は今72歳、50の彼らはまだまだ若造。これからもどんどん良くなっていく。
自分自身、過去に自分が手がけてきた作品よりも、今の方が良いものを作れていると思う。
これからも更に良いものを作っていきたいし、残せて行けると思う」

と、その向上心と創作意欲に、観るもの達は啓発されずにはいられないだろう。
  • THE YELLOW MONKEYに1年間密着した『オトトキ』(3)

    イエモンをあまり知らずとも「音楽が好き」「音楽シーンに関わっている」「バンドをやっているorやっていたorやってみたい」という人は迷わず劇場に足を運んでみる事をお勧めする。
    あの頃に忘れて来た何かを、必ず思い出させてくれるはずだ。

    2017年11月11日(土)より全国ロードショー
    映画『オトトキ』オフィシャルサイト:https://theyellowmonkey-movie.jp/


    Text,Photo&Edit:KOTARO MANABE


    <mysoundアーティストページ>

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