マニアが集う“注文の多すぎる料理店”~ゲームカフェ編~

マニアが集う“注文の多すぎる料理店”~ゲームカフェ編~
皆さんは「ゲームカフェ」「ゲームバー」に、行ったことはありますか? ゲーム機に囲まれながら飲み食いし、ゲームを語り、一部のゲームで遊ぶこともできるゲーム好きには夢のような場所……。そんなお店の中で、最も有名なのが「エイトビットカフェ」だ。
店内には懐かしのゲーム機やゲームグッズがズラリ。しかもそれだけじゃない。懐かしのマンガやアニメなどのグッズが並び、ゲームミュージック、チップチューンなどのBGMが流れる。まるで80年代か90年代にタイムスリップしてしまったようだ。そう、ここは〝時代の空気を含め〟ゲームを楽しめるお店なのだ。 一度行った知人に聞くと、また行きたくなること必至とか。果たしてエイトビットカフェの実態とは? 早速行ってみましょう。

「この階段は、RPGにおける試練のようなもの。そこをクリアした勇者のみが、ウチの店に入れるんです」

お店の場所は東京・新宿三丁目のはずれ。猥雑なムードが漂うエリアの、お世辞にもキレイとは呼べない、古い雑居ビルの5階にある。早速、ビルの入り口へ。あれ?このビル、なんとエレベーターがない!勾配の急な階段のみ!マジかっ!

「この階段は、RPGにおける試練のようなもの。そこをクリアした勇者のみが、ウチの店に入れるんです」(1)

心を落ち着け……登って、登って、ようやく5階に到着!重い鉄の扉を開けると、ゲーム関係を中心にアニメやマンガなどのグッズが一面に!バースペースから店長のナヲさんが登場だ!

「この階段は、RPGにおける試練のようなもの。そこをクリアした勇者のみが、ウチの店に入れるんです」(2)

「あ、いらっしゃ~い!」

まるでウィザードのような満面の笑み。早速、話を聞いてみた。

─いやー、まさかエレベーターのない雑居ビルの5階とは。階段を登ってるうちに、息が切れてしまいました……。

「わははは。この階段は、RPGにおける試練のようなもの。そこをクリアした勇者のみが、ウチの店に入れるんです」

─な、なんと! ビルの入口からエンタテインメントなんですね!

「ま、本当は1階のほうがいいんですけどね(笑)」

エイトビットカフェのオープンは2005年。ナヲさんと友人が、もともと好きだったゲームを楽しめるお店をやろうと思いついたのがきっかけだ。

「僕は今年、43歳なんですけど、小学生のときファミコンが発売され、当時、夢中になった世代。ドラクエとかめちゃくちゃやりましたよ。お店をやるにあたって、好きなものに囲まれたいという割とシンプルな想いから始まりましたね」

店内にはファミコン、スーファミ、プレイステーションなどの懐かしいゲーム機から、珍しいものまでがズラリと並ぶ。これらは主にお客さんからの寄付によるものが多いそうだ。

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「最初は私物を持ち込んだり、ヤフオクで色々買い揃えたりしていたんです。そうしたら徐々にお客さんの方からの寄付が増えて。ここにあればミュージアム的で楽しいからとか、家にあっても奥さんにゴミだと思われるからとか言ってね(笑)。巨大なゲームボーイの筐体や、知る人ぞ知るパワーグローブもお客さんから譲り受けた物です」

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バーチャルボーイとパワーグローブ。パワーグローブはもともとアメリカメーカーによるゲーム端末。外国人客が泣いて喜ぶとか。

置かれているすべてのゲーム機は残念ながらディスプレイオンリー(家庭用ゲームは店舗では使用はできない)。だが、実際にプレイできるゲームも。店の中央に鎮座する、巨大ゲームボーイにあるゲームはなんと10人まで同時プレイが可能だ。

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「これはただの筐体で、中はPCなんですけど(笑)、ゲームはプログラマーのお客さんが、自分のオリジナルゲームを発表したいって置いてくれたんです。『PICO PARK』っていうゲームで、内容は、飲みの席でも気軽に出来る、協力型パズルゲーム。簡単なのですぐ楽しめます。知らないお客さん同士が仲良くやってることもよくありますね」

驚くのは店の奥にあるゼビウスのゲームテーブル! これは1983年のゲーム!しかもこれも50円を入れればプレイ可能。信じられない!
  • 「かなり昔のゲームですけど、常連のお客さんでゲームに詳しい人が時々メンテナンスしてくれるんです。ちなみにこれもまた違うお客さんからの贈り物です(笑)」

    「この階段は、RPGにおける試練のようなもの。そこをクリアした勇者のみが、ウチの店に入れるんです」(8)
    それまでのゲームにはない、隠しキャラが潜むゲーム性などで、シューティングゲームの傑作と言われたゼビウス。かつて細野晴臣氏が夢中になり、レコードをリリースしたことも。画面の右側のサインは、ゼビウスの作者、遠藤雅伸さんにご来店いただいた時に書いてもらったとか。

    「この階段は、RPGにおける試練のようなもの。そこをクリアした勇者のみが、ウチの店に入れるんです」(9)
    スーパーファミコンの業務用ゲーム機。最高2人同士で、スーパーマリオほか人気ゲームが楽しめる。

    店内にはマンガ、フィギュアをはじめ、ゲーム以外のものも並ぶ。またBGMとしてゲームミュージックやチップチューンミュージックが。こちらも懐かしさを誘うものが多い。

    「ゲームを楽しめる店を作ろうと思った時に、ゲームだけでなくその周辺のカルチャー全部がある方が面白いだろうなと思ったんですよ。マンガやフィギュアなど置いてあるものは、ゲーム同様80~90年のものが多いかな。音楽もゲーム関連。古いものもかけるし、チップチューンではサカモト教授や、YMCKさんのようなものもかけます。お二人はお客さんとしても来てくれてます。いずれにせよ、ただゲーム目当てなだけでなく雰囲気ごと楽しんでほしいですね。ゲームは家にいたってできますから」

    そろそろ食事を頼もうとすると、「取扱説明書」と書いたメニューが!頼んだメニューもゲームにちなんだ品だ。

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    「トマトと無限1UPキノコの2色パスタ」(Mサイズ¥980円。他にL、Dサイズあり)スーパーマリオをイメージしたキノコたっぷりのパスタ。オープンからの看板メニュー。

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    「いろいろお芋のピコピコポテトフライ」(Mサイズ¥800円)コンピュータのドット型をイメージしたポテトフライの盛り合わせ。

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    左から「ドクターマリオ」(¥800)Dr.ペッパーを使ったカクテル。謎のカプセルを入れると甘みが増す。「何が入ってるんですか? と聞かれますが、決まって『夢』と答えます。あはははは」(ナヲさん)、「ぷよぷよ」(¥700)黄緑赤と、ぷよぷよを彷彿させるオリジナルカクテル。ミックスジュースような味わい。

    長年にわたり、数々の常連客たちに愛され続けるエイトビットカフェ。時折、オリジナルイベントを開催し、新たなお客さん同士の交流の場を作っている。

    「イベントは半年に1度のアニバーサリーイベントをはじめ、DJを入れた音楽系のイベントをやったり、様々ですね。ゲームにちなんだイベントもやりますよ。今月末のハロウィンでは、【ゾンビメイク】がテーマのパーティをやる予定。仮装してワイワイやるのはもちろん、メイクアップアーティストを呼んで、希望者はゾンビになってもらいます。さながら『バイオハザード』の世界ですね。(笑)。あと『アナログゲームの会』って、ボードゲームとかカードゲームとか、電源の要らないゲームのイベントも近々開催予定です。前にもやったんですけど、盛り上がりました。手軽で簡単だから、初めて会ったお客さん同士でも打ち解けて楽しめちゃうんですよね。そこで仲良くなって、その後一緒に来ることもあります」
  • 最近は、お店の噂が海外まで飛び火し、外国人観光客が急増中。この取材時にも何組もの友人同士やカップルなどが、ヒーヒー言いながら階段を登り(笑)、やってきていた。多いときは来客の8割が外国人の日もあるという。

    「なぜなのか僕らでもわからないけど、聞くと、アキハバラ、ハラジュク、エイトビットカフェって、謎の並びで海外人向けの旅行サイトに載っているみたい(笑)。あとウチの店って、ご覧の通りインスタ映えするから、誰かが載せたら『なんだここ?』って興味を持つ人も多いみたいですね。たまに、海外に2号店?を出してほしいって言われますよ。でも海外にこういう店を出したら、モノを盗られちゃうよとも言われたりして(笑)。まぁ、状況が整えば考えるかもしれませんね」

    「この階段は、RPGにおける試練のようなもの。そこをクリアした勇者のみが、ウチの店に入れるんです」 (14)

    ゲームという軸をもとに東京中から、日本中からそして世界中からも毎日、お客さんが集うエイトビットカフェ。果たして今後は?

    「実はこの店には『放課後の部室』ってコンセプトがあるんです。部室って普段から理由なく集まってきて、ダラダラいちゃうものでしょ。仕事帰りという放課後に、なんとなく立ち寄って、お酒を片手にゲームやマンガ、音楽などで好き勝手に楽しんでもらえればいいなって。僕自身、そういう場がいつもあると嬉しいですしね。これからも、そんな居心地のいい空間を提供し続けたいですね」

    最後にこちらのお店、火曜日が定休日です。絶対に忘れずに。5階まで、階段を登りに登って、入口前に「定休日」と書かれた看板を見た時のショックと言ったら……。筆者の実体験から、切実なアドバイスです。

    「この階段は、RPGにおける試練のようなもの。そこをクリアした勇者のみが、ウチの店に入れるんです」(15)
    店主のナヲさん
    自らも『BIG ECHOS』というチップチューンのバンドをやっていて、店内でライブをやることも。曲はボウイや渋谷系など80~90年代サウンドのチップチューンカバーがメイン。ちなみに愛用のギタレレはヤマハ製。

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    【SHOP INFO】
    8bit cafe(エイトビットカフェ)
    東京都新宿区新宿3-8-9 Qビル5F
    TEL:03-3358-0407
    営業時間:
    日、月、水、木曜日
    18:00~24:00
    金曜日
    18:00~5:00
    土曜日
    18:00~1:30
    定休日:火曜日
    http://8bitcafe.net/


    Text:大野 智己
    Photo:渡邊 眞朗

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